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#溺愛
翌朝。眩しい朝日の下、私は全員を見渡した。
「いい? 各自、配置について。今日からここを、王国で一番の『憧れの地』に作り替えるわよ!」
それだけ言うと――
三人は、ほぼ同時に動いた。
アレクは迷わず街道へ向かう。フローラは厨房へ駆け出し、 レオンはすでに人が集まり始めている花畑へ。
***
「地面は20cmほど掘り下げて。雨水が溜まらないよう、中央を高く、両端を低くするのよ」
私が指示を飛ばした直後――
――ドゴォォォン!!
轟音が大地を揺らし、土煙が広がった。
デコボコ道の原因となっていた大きな石が、アレクの手の一振りで粉々に砕け散る。
背後では、ベルシュタイン領の精鋭騎士団が無言で動いていた。砕けた石を敷き詰め、魔力を帯びた巨大な石槌を振り下ろす。
――ドスン、ドスン、ドスン。
一糸乱れぬリズム。それは土木作業というより、陣形を組む軍隊のようだった。
「……軍隊みたいね」
思わず呟くと、
「当然だ」
アレクが答えた。
「お前の行く手に、障害物は要らない。たとえ小石一つでもだ」
(……相変わらず、重いわね……)
仕上がりは完璧だ。馬車が揺れない平坦な道。さらに、排水のための傾斜まで設計されている。
「……お嬢様の頭の中に、最初から設計図があったようですな」
フレッドが、感嘆したように呟いた。
「ええ、あるわよ」
(建物も、土地も、“どう使うか”で価値が変わる)
「道ができれば、人が来るわ。来られる場所にするのが、私の仕事よ」
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