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タイムスリープ凄ー(オカルトなど好き)
タイムリープ。それは過去の自分や未来の自分の身体に意識だけ移動してしまうことを言うらしい。 …信じていなかったが。だが、信じざるを得ない出来事がまさかこの身に起こるとは当時の俺は知る由もなかった。
「ただいま〜、日帝兄さ〜ん。ちゃんと生きてる〜?」
「勝手に殺すな。おかえり。」
にゃぽんが帰ってきた。雑誌?が大量に入った袋を両手で持ちながら。察するに、にゃぽんがよく読むBL…?の本だろう。すごい大量にある。この前良さを熱く語られたが、さっぱり分からなかった。
にゃぽんはソファーにドサッと倒れるように寝転んだ。
「あーあ〜疲れた〜!何店舗かハシゴしたもんな〜。」
「どうしてまたそんなに買ってくるんだ?」
「え〜?好きだからだよ〜。」
…普通そこまでして手に入れるものだろうか。BL…本?って。 てかそんなに買ってきていいのか。 今更ながら我が家の家計が心配だ。
「もう〜。日帝兄さんは良さがこれっぽっちもわかってないな〜。」
「うるさい。」
「ところでさ〜日帝兄さん。」
「何だよ?」
「タイムリープって知ってる?」
「え?」
「ほら、よくあるじゃん。寝てて、目が覚めたらなんか別の場所にいた〜とか。」
「はぁ…?」
「日帝兄さんそういう映画とか見ないもんなぁ〜。」
…悪かったな流行りもの知らずで。
てか信じてないし。そんな現象。
にゃぽんは気がつくとすやすやと眠っていた。よっぽど疲れたんだろう。
布団でも持ってこようかと立ち上がった瞬間だった。急に頭がクラッとして、そのまま倒れてしまった。
次の瞬間。俺は空を飛んでいるような、落下しているような、不思議な感覚に陥った。
気がつくと、俺は何故か軍服を着て、木にもたれ掛かるような形で寝ていた。ここはどこだろう。 港が目の前にある。
なんだか見覚えがある。かと言って思い出せない。もやもやするが、とりあえず時間が気になった。ほら、アレだ、アレ。
信じていないが、タイムリープってやつの可能性がある。
でも、どうやって時間を知ればいいのだろう。 あいにく俺は時計を持っていない。そして場所も分からない。
途方に暮れていると、目の前の港から船がやってきた。と、同時に懐かしい顔があった。
「日帝〜!元気だった〜?」
手をブンブン振りながらやってくる。
「イタリア王国!」
手を軽く振り返す。
「お久しぶり〜!今からナチのところに行くんだけど来る?」
「じゃあお言葉に甘えて。」
「よーし!じゃあ乗って!」
イタ王が手招きしてくる。
船に乗りながら、聞いてみた。
「なぁイタ王。今日って何日?」
「へ?今日?えーと…1944年の…10月…じゃないかな?ごめん、時差ってのがあるからさ…。」
「そうか…ごめん。ありがとう。」
「ううん!役に立てたみたいで良かった!」
ニコニコと屈託のない笑顔だ。イタ王らしい。
それよりも時間が知れただけで大きな収穫だ。 どうやら、タイムリープなるものをしてしまったらしい。 ありえないが、そうなんだろう。 何となく本能的に感じた。
さて、このまま年月が過ぎれば、俺はまたあの米の原爆を食らうんだろう。それまでに戻る方法を探さなくては。
まぁ、戻ったとしても1度食らったことには変わりないが。もう一度食らうよりはマシだ。
それより、軍服を着ているということは今は第二次世界大戦中か。ていうか、イタ王とナチがいる時点で戦時中は明らかか。
「…帝!日帝!」
ハッとしてイタ王を見る。どうやら、考え事をしすぎていたようだ。
「あぁすまん…どうした?」
「あ、もうそろそろ着くよ〜って。」
「ごめん。ぼーっとしてた。」
「いやいや!いいよ!じゃあ降りよう!」
俺たちは船から降りた。…それよりどうやってタイムリープするか、だ。 さっきタイムリープした時はにゃぽんに布団を持っていこうとしていたんだったか。
…ダメだ。条件が分からない。とりあえずイタ王やナチに怪しまれてもあれなので後で考えよう。
そのまま一日が過ぎた。今日過ごして気づいたことだが、どうやら、大まかなことは記憶に残っていても細かい事ーーつまりこの日誰と会ったとか、何を食べた、などの記憶は曖昧なようだ。
思い出そうとすると、霧がかかっているかのように。
だが、その出来事が起こる直前に思い出されることがある。それはそれで意味の無いものだったが。
そこで、気になる事があった。かつての自分が選んだ選択と別の選択を選んだらどうなるのか、という事だ。いわゆるバタフライエフェクト…というものが起こるのかも知れない。
ものは試しだ。やってみよう。
ちょうどいい所にイタ王が。確かこの後、明日の朝は何がいいか〜とか聞いてくるはず。
「やっほ〜日帝!明日の朝ご飯何がいい〜?」
ここで俺はおにぎりって言ったはず。だからピザって言ってみよう。
「そうだな…おにぎりがいいかな。」
「分かった!ありがとう!」
…え?俺は確かにピザって言ったはず…なんで…口が勝手に動いたんだ?
とりあえず、俺は部屋に戻った。
しばらく考えて、ようやく理解した。どうやら、選択を変えることはできないらしい。
まぁ、それはそれでわざわざここはどう答えるのかと考える必要はなかったが。
そういえば、にゃぽんは…
「ータイムリープって知ってる?」
「ーほら、よくあるじゃん。寝てて、目が覚めたらなんか別の場所にいた〜とか。」
コレだ。多分。寝たら、元に戻るんじゃないだろうか。
ちょうど夜なのも相まって、そのまま寝ていた。
俺はさっき経験したように、空を飛んでいるような、落下しているような、不思議な感覚に陥っていた。 俺はそのまま身を委ねた。
俺は目が覚めると、見慣れた家にいた。にゃぽんはまだ寝ている。
どうやら、戻ってこられたようだ。
ホッと安堵の息をつくと、にゃぽんが起きた。
「んーん…ふわぁ〜。おはよう、日帝兄さん。」
「おはよう。なぁにゃぽん。」
「何〜?」
「俺、タイムリープしちゃった。」