そう確か彼女は…遠い記憶の彼方にある気分だ。名前以外は思い出せない
「もしかして…覚えていませんか?」
そう彼女が言うと美しい目に涙をためる。罪悪感がある。しかしその涙も綺麗だと思ってしまった。
「すみません。…名前以外思い出せなくて…」
「…そっか、まあ、結構昔の話だもんね」
彼女は謎の納得感があるようだが俺はまだそんなに生きていないはず…確か、12だったような…奴隷時代の記憶を年数にするのが怖く不確定になってしまう。自分の年齢すら分からない。この事実を受け入れたくなかった。俺は頭の中が糸に絡まったような不快なった気分になった
「お久しぶりです。えっと…本名は…覚えてなさそうなので言いますね」
ナチュラルに忘れたって思われている。名前ぐらいなら覚えてる。確か名前は…俺は思い出そうとして頭の中を整理し、考えてみた。──────分からなかった。
「私の名前は…黒間 めめです。」
それは俺の元の1ピースだったかのように綺麗に頭の中ではまったような感覚になった。奇妙な納得感がある。
「…ボソッ」
(?)
めめさんがなにか言ったようだが、俺には分からなかった。
「あ、俺の名前は茶川 イエです。」
「茶川さん…めんどくさいのでイエモンさんと呼びますね」
「え?そっちの方が長くないですか?」
「まあ、いいじゃないですか」
「まあ、いいですけど…」
「私のことはめめかめめさんって呼んでください」
「じゃあめめさんで」
「はい、お願いします」
…この人は思ったより雑のようだ。ただめめさんという名前を俺はどこかで聞いた気がする。思い出そうとしても良かったが奴隷の時の記憶も一緒に蘇りそうで嫌だった
「ひとまずここから離れませんか?」
「あ…」
言われてみれば確かに。ここには酷い悪臭と血の匂いが人の死を知らせるように俺の鼻に入ってくる。
「そうですね…死体は見たくありませんから」
そう言ってドアに手をかける。…がビクともしない。
「ドア、開かないです。え?でもめめさんはどうやって──────」
思い出した。この人、窓から入ってきた。色々なことがありすぎて忘れていた…。え?窓?ここ5階なんだけど???
「めめさん…どうやって5階まで来たんですか?」
「え?」
めめさんも驚いている。しかし驚きたいのは俺の方だ。
「え?いや、普通ドアから入りません?」
「いや、それより私の能力も忘れたの?」
能力?…能力!?俺はめめさんが能力持ちなことなんて知らない。いや、忘れてるだけかもしれない。…そういえば能力者だったっけ?うーんわからん
「ごめん、ちょっと混乱で頭まわってない」
「あ、なるほどいや、私の能力さ、
─────『死神を使役する能力』じゃん?」
は、え?死神は異種族の中でもトップレベルで強い。あの死神を…?
「だから応用で死神をこの身に使役して一時的に死神になってるんだよ」
…便利な能力だな…俺も弱いのでいいから能力が欲しかったよ
「じゃあ、理解してくれたみたいだしほいっと」
俺は軽ーいノリでめめさんに姫抱っこされる。
「え?いや、え?」
「え?何?もしかして飛ぶの初めて?」
飛ぶのは人間なら誰でも初めてだろ!っとツッコミたかったがそれどころでは無い
「なぜ姫抱っこ!?」
「???それが1番守りやすいからだけど?」
「おんぶは!?」
「注文が多いな…別にいいでしょっと」
めめさんが窓の枠を思いっきりけるとものすごい勢いで宙を切った。俺は初めて空を飛び…いや、飛んでるのか?これは?まあ、その速さに怖くて気絶してしまった──────
はい!ここで切らせていただきます!気絶するわけねぇだろって思う人もいるかもですが、忘れないでください。めめさんは慣れてますけど、イエモンは能力なしで飛んでるんです!めめさんの気まぐれで落とされるかもしれない…怖いに決まってるでしょ!
はい、じゃあ今回はここまで!見ていただきありがとうございます!引き続き頑張っていきます!おつはる!
コメント
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イエモンさん絶対慣れてる訳無いもんね。ジェットコースターとか乗ったことある訳でもないし