🦍社二次創作
戦争系
「そのコトバを俺は知らない」
第3話 敵と己
「僕はおらふ。おらふくんって呼んでね。」
怖いほどの笑顔でこちらに手を出してくる。
自分は、その手を取れない。
敵だから。
「…ごめん、この姿見られたら君は罰でも食らうんやな?じゃ、退くね」
立ち上がって、辺りを見回す。
「君の名前は?」
「……おんりー、って言います」
「へぇ…おんりーね、わかった‼︎ええ名前やな‼︎」
「…その訛り…」
「僕、日本から来とるねん‼︎大阪なんよ〜」
どうやらこの敵のおらふとかいう人は日本人らしい。
じゃあどうしてこんな激戦地に居るのだろう。
「大切な友達、を探しにきたんよね」
「あの子、戦争について調べる、ってここまで来て、行方不明になったんよ。」
「やから、僕が兵隊やりながら探すねん。」
「友達…」
友達なんて、出来たことがない。
産まれた頃から戦争が酷く、親は4歳の時に行方不明になった。
その後はあちこちを浮浪児として彷徨い、
両親を救う為、懇願して入隊したのだ。
人と関わったことが余りない。
人は、怖いから。
それでも、怖さに立ち向かい、両親を、見つけて救い出さないといけない。
「いいなぁ…」
「…?おんりーは友達になりたいって人、
居らへんの?」
「…うん」
軍隊の基地でも、同い年位の子どもとの交流を極力避けてきたから。
「じゃぁ、僕が最初の友達やんな‼︎」
友達。ともだち、か。
冷えていた心がじんわりと温まった。
日が少しずつ、暮れ始めている。
「おんりー、僕帰るわぁ、道教えてくれんか?」
「ん?北方向に君の基地があるんじゃないの?」
「わかったわぁ…ありがとうな‼︎」
彼は、北方向に歩き始めた。草むらの中を、ゆっくりと。
姿が見えなくなるまで彼の姿を追い、自分も基地に戻ろうと、歩き出した時。
後方で、銃撃音が鳴った。
恐らく此方の軍の物だ。
おらふくん、は?
慌てて探しに行くと、そこにおらふくんが倒れていた。
「おらふくん…?」
「おんりー…離れたほうがええで…おんりーも殺されちゃう…」
「そんなの駄目だよ、手当するから…」
「おらふくん、大丈夫?」
背後から声がする。
咄嗟に草むらに隠れた。
「ぼんさん…偵察から帰ろうとしたら、撃たれちゃって…」
ぼんさんと呼ばれていた男は、黒い髪の毛で、サングラスを掛けていた。
「はぁ…敵軍かぁ…」
「帰ろう。」
おらふくんを絵本の中でよくみるお姫様抱っこをして、敵軍側に連れて帰ってしまった。
彼は敵軍だから、俺は何もできない。
敵軍に手を差し伸べてはいけないから。
それは、おらふくんが1番よくわかっていた。
規約
敵軍を発見したら、直ちに撃て。
敵軍には自分の名前は絶対に話すな。
敵軍に基地のありかを教えてはいけない。
長くなり始めたわ
コメント
5件
浅間さんもしかしなくても神作者様ですよね!? ...あれ、おんりーもうルール破ってません、?