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夜の風は、まるで誰かの泣き声のようだっ た。 窓の外を眺めながら、いろははまた今日も、 自分を責めていた。
「どうして、こんなに弱いんだろう」
手首を隠すように袖を引っ張りながら、布 団に潜り込む。
学校ではまた、知らないあだ名で呼ばれ た。教室の空気が、今日も重かった。
誰かが笑うたび、自分のことを笑っている 気がして、呼吸が浅くなる。
トイレに逃げ込んで、ODした。そうでもし ないと、壊れてしまいそうだった。
そんな日々のなか、兄たちはいつも優しか った。
だけど、それがかえって辛かった。
「元貴くん、混斗くん、涼ちゃん….. ごめん ね。何も言えなくて」
リビングでは、兄たちの声がかすかに聞こ える。
「… 最近、○○の様子、やっぱおかしくな い?」
「うん。笑ってるけど、目が笑ってない日 が多い。手首も…..」
「俺たち、信じてもらえてないのかな」
その言葉が、○○の胸に深く突き刺さっ た。