テラーノベル
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元貴の白くて綺麗な指が、僕のバスローブの紐を解いていく。
キスをくり返しながら、僕の腰の辺りを優しく撫でる。元貴のキスが胸の辺りに移動し、同時に孔に指を沿わせた。まだ慣れないその感覚に、ビクッと身体を震わせる。
「…今日は、最後まで…いい?」
「ん…たぶん…。」
初めて元貴と身体を触れ合う関係に進んでから、何度か更にその先に進むべく、僕の…その、後ろの方を、元貴が優しく解してきた。
最初は指を一本だけ。それに慣れてきたら、次は二本…そんなふうに、回数を重ねて少しずつ、僕たちは進めてきた。
元貴の手にローションが垂らされ、僕の孔が丁寧に解されていく。
「ん…。」
「…大丈夫?」
「うん…。」
いよいよ、今日は、最後まで、元貴を僕の中に受け入れる。前回は、少し入れられただけで、僕が根を上げてしまった。初めての感覚すぎて、苦しさもあって、少し痛みもあって、怖さが勝ってしまった。
その度に、元貴がガッカリしているような、きっとそんな気持ちは隠してくれてるんだろうけど、僕はそう感じてしまうんだ。
今日こそは、頑張ろう、と心に決めた。
元貴が、いつもよりたっぷり目に、ローションをお互いの繋がる部分に塗っていく。僕は緊張を解すために、深呼吸を繰り返す。
「…いきます。」
「…はい。」
ふふ、と元貴が笑って、孔にあてがう。僕が手を伸ばすと、片手を絡ませてぎゅっと握ってくれた。
ぬぷ、と押し広げて挿入ってくる。グッと力が入りそうになり、意識的に息を長く吐いて、力を逃す。しっかりと柔らかくしてくれたし、ローションだってたっぷり塗ってくれた、大丈夫、大丈夫。あとは、僕の気持ち次第だ、たぶん。
元貴が僕の顔を見ながら、ゆっくりと押し進めていく。前回よりも深くへ入ると、苦しく、痛くなってきた。うう、と顔を歪めて、シーツを強く掴む。
「痛い?やめる?」
「いた、く…ない…。これで、全部…?」
「んー…半分くらい…?」
「は…!んぶん…か…。」
僕が泣きそうな顔になると、元貴が僕をぎゅっと包み込む。頭を撫でられて、キスをしてくれる。それだけで、僕の緊張が解けていく。
元貴を愛してる。愛しているから、受け入れたいんだ。ちょっと無理をしてでも、今日は最後まで。
「…いいよ、ゆっくり。」
「…うん。」
僕は、覚悟を決めて、元貴を促す。ぐぐ、と元貴が腰を進める。
「う…。」
「…はいった、全部。」
「ぜんぶ…?やった…。」
僕は息を短く吐きながら、元貴に抱きついた。元貴も、抱きしめ返してくれて、二人でしばらくそのままでいた。
ぬる、と元貴が腰を引いて、ゆっくりと動かし始めた。中が擦れて、最初は恐々受け入れていたその感覚が、だんだんと心地いいものに変わっていく…事はなく、やっぱり少し痛いような、苦しいような。
「う…ん…っ…は…ぁ…っ…ん…。」
「涼ちゃん、気持ちい?」
違和感を我慢する息に混じって声が漏れ出て、僕の反応に元貴が嬉しそうに笑う。僕は、痛い、とは言えず、こくこくと小さく頷いて、元貴に強く、しがみついた。
元貴がキスを何度かした後、そっと身体を離した。元貴が僕の腰を持って、更に動きを強くする。
「ぅあ…!」
僕が、快楽なのか苦悶なのか、どちらともつかない声を上げてのけ反ると、元貴が動きを緩める。
「いける?大丈夫?」
「う、うん、大丈夫…。」
「あんまり長くするとしんどいだろうから、早めにイッていい?」
「お願いします…。」
僕が弱い声でそう言うと、元貴が唇をかみしめて、僕の脚を身体で押すようにして、上から深く打ち付ける。
「う…っ…ん…ぁ…っ…!」
元貴の身体がぶつかる度に、声が漏れる。
「涼ちゃん、ごめん、頑張って…。」
元貴も息を荒げながら、僕を見つめる。
「あ…イク…!」
元貴が小さく震えて、動きを止めた。僕の中で、元貴のモノに力が入って、びく、びく、と何度か震える。
ふぅー、と息を吐きながら、元貴がゆっくりと僕の中から引き抜く。ズル、と最後に抜ける時に、ん、と声が漏れ、身体が震えた。
「涼ちゃん、大丈夫…?」
「…うん…。」
横を向いて小さく呼吸を整える。なんか、すごかった…。これが、愛しい人と身体を重ねる、ってやつなのか…。
ゴムの処理を終えて、後ろから元貴が抱きつく。
「…どうだった?」
「…うん、…ちょっと…。」
「…ん?」
「…き…もち…かった…かな…。」
なんとなく、そう言うしかなくて、でも、元貴がぎゅーーーっと強く抱きしめてくれる。く、苦しい…そして恥ずかしい…。
「うれしー…!」
「…元貴は?」
「めっちゃ気持ちよかった。」
「よ、よかった…です。」
元貴が上体を起こして、上から僕を見つめる。
「気持ちいいし、めっちゃ幸せだった。」
「あ、うん、僕も、そっちの方が大きいかな。」
二人で見つめあって微笑む。元貴が顔を近づけたので、僕は目を閉じて受け入れる。
元貴の手が僕のモノに触れた。
「ん…?!」
「…涼ちゃんも、出しとかないと…。」
元貴が優しく、妖艶に、微笑んだ。
『涼ちゃん、今日来れる?』
元貴から連絡が入る。僕は、少し憂鬱な気持ちで、返信を迷う。元貴には会いたい、会いたいんだけど…きっと…また…。
スマホを見てため息をついていると、後ろから若井が声をかけてきた。
「涼ちゃーん、この後ご飯行く?」
今日は、若井と二人でFC動画の収録だった。これが終わればお互いにフリーだったので、若井は声をかけてくれたのだろう。僕は少し迷って、若井に頷きながら、元貴にメッセージを送った。
『ごめん、収録終わりでご飯行くことになっちゃったから、難しいかも。』
なるべく、嫌味のないように、仕方がなさそうに…。いつの間にか、若井が後ろから覗き込んでいた。
「え、元貴じゃん、大丈夫なの?」
「あ、う、うん。 」
僕は慌ててスマホを鞄にしまう。若井は、じっと僕を見つめる。
「…ケンカ?」
「違う違う、何でもないよ。」
若井がまだじっと見つめてくる。目を合わせられない。
「…わかりやす。」
そう言うと、若井がマネージャーの元へ向かった。
「ごめん、涼ちゃんなんか疲れたみたい。ご飯また今度で。」
「あ、そう?わかった、ゆっくり休んでね。」
僕が若井を見ていると、若井がまた近づいてきた。
「俺んちにする?涼ちゃんち?」
「え?」
「…話、聞くよ?」
「…どうしようかな…。」
元貴に、なんか思われないかな。いや、こんなのもしかしたらもう気にしないかも…。僕が悩んでいると、若井が、提案してきた。
「じゃあ、俺んちにしよ。もし元貴になんか言われたら、俺が無理やり呼んだことにすれば大丈夫だろ。」
「…何も言わないと思うよ。」
僕が力無く笑うと、若井が肩にポンと手を乗せて慰めてくれた。
いつから、こんな感じになっちゃったんだっけ…。
初めて、身体を重ねた日は、あんなに幸せだったはずなのに…。
「んで、どーしました。」
スタッフの車で若井の家に送ってもらって、ソファーに腰掛けると、お茶を出してくれた若井が話を振ってきた。
「うん…ホントにケンカとか、何がって訳じゃないんだけど…。」
「うん。」
「…ちょっと言いにくいな…。」
「何でも言ってよ、俺何聞いても驚かないから。」
若井が、お茶を飲みながら話を待つ。
「…え…っちの…事なんだけど…。」
これまた綺麗にブーッと吹き出して、若井がむせた。
ゲホゲホと苦しそうに咳き込み、僕はやっぱりな、と背中をさする。
「え゛…そ、それは…俺聞いてもいいやつ?」
「…何でも聞くって言ったじゃん。」
僕は顔を赤らめて若井を見る。若井はタジタジになって、頷く。
「聞くよ、聞きます。」
「…最近さ、そればっかりで、呼ばれてる気がして…。」
「…うん?」
「元貴はさ、いつも仕事で忙しいから、基本僕からはあまり連絡しないし、向こうの区切りがついたら、連絡が来て家に行くって感じだったんだけど。」
「うん。」
「最近ね、元貴、友達?がいっぱいできたでしょ?」
「あー、ニノさんとか?」
「最近は、ケンティーとか、きょもくんも、かな。たぶん、他にも、いっぱい。」
「そうだね、人脈広げてるよね。」
「その人達とはさ、個別にご飯行ったりとか、遊びに行ったりとか、連絡なんかもよくしてるみたいで。」
「うん…。え、涼ちゃんは?」
「最近は、全く二人で出かけてない。」
「あー…そう…。」
「ミセスの仕事で会えてるし、練習とか打ち合わせとか、そういうのではほぼ毎日会ってるわけだから、まあ…と思ってたんだけど。」
「うん〜…?うん、まあいいや、それで?」
「最近さ、僕に連絡が来て元貴の家に行くと、すぐに、その…そーいうことになるというか…。」
「身体を求めてくると。」
僕は若井のストレートな物言いに、肩をバシッと叩く。
「…なんか、僕としては、もうちょっとこう…お話ししたり、ご飯食べたり、ゆっくりする時間が欲しいな、と思うんだけど…。」
「うん。」
「…やっぱり、もう10年以上一緒にいるし、そういうのはもういいのかな〜、とか、思うと、ちょっと寂しくて…。」
「う〜ん…。」
若井が、さっきから何か言いたげな顔をしている。僕は、若井を見て、その言葉を待った。若井が口を開く。
「…元貴の気持ちも、ちょっとわかる。俺も、やっぱ経験したては、結構お盛んというか、正直ヤリたい!って気持ちが強かった…かな。」
「う、うん…。」
「でも、涼ちゃんの気持ちはもっとわかる。他の人とは遊ぶ時間があるのに、何で俺に時間使ってくんないの?って思うよ、フツー。」
「…だよね?」
「もっと会いたいって言ってみたら?アイツ涼ちゃんに安心しきってんじゃない?」
「…それは、ちょっと無理かな…。」
「なんで。」
「前にね、言われちゃったんだよ、ウザいって。」
「は?」
若井の顔が歪む。明らかに怒っている。
「えっと、僕がさ、だいぶ前に、VIPが自分に言われてるみたいだって話したことあったでしょ?」
「うん、あったね。」
「そんな感じでさ、Lonelinessの中で、『死にたい今日も仕方がないでしょう?』ってのがあったじゃん。それがどうしても気になってて、付き合ってしばらくした時に、元貴に言っちゃったんだ、『死にたいと思う時とかあるの?』って。」
「ほう。」
「そしたら、その時ちょうど元貴がなんかイラついてたみたいで、涼ちゃんそうやって何でも結びつけんのやめなよって、そういうのウザいよって、言われちゃって…。」
「なんだそれ。」
「いや、僕も悪かったな〜と思って。」
「悪くねーだろ。心配したからでしょ?」
「いやいや、元貴にとったら、鬱陶しいよ。曲のあれこれを自分みたいだの、こんなこと思ってんの?、とかいちいち言われたらさ。」
「そー…かなぁ…。」
「うん。でも、やっぱそこからちょっと、踏み込んだこと言うの怖くなっちゃって。」
「よくないなー、そーいうの。」
「うん…。」
んー、と若井が天井を仰いで考える。僕も、お茶を飲みながら、下を向く。若井が、僕を見て話し始めた。
「…元貴さぁ、最近、涼ちゃんへの束縛酷くない?とはちょっと思ってて。」
「束縛?」
「うん。自分はさ、ソロだの特撮だの、友達も作ったり、結構好き勝手動いてんじゃん。それが悪いってわけじゃなくてね?」
「うん。」
「俺もさ、今度ソロの仕事決まってて、元貴抜きで今日みたいに二人で仕事もやってんじゃん?」
「…うん。」
「…涼ちゃん、ソロ仕事なくない?」
「…うん…。」
それは、僕も気になってた。元貴も若井も、二人ともそれぞれで、どんどん世界を広げてる。でも僕は…ミセスから全く世界を広げられていない気がする。
「…俺さ、元貴が止めてんじゃないかと思って。」
「え?」
「いや、涼ちゃんさ、嫌なこと言うけど、前にソロ仕事受けて酷い目にあったじゃん?」
「…。」
カゲヤマのことだ。耳が痛い。僕が勝手に暴走して、一人でも大丈夫だと言うところを見せたくて、結局危ない目に遭って、二人に助け出された。
「あれからさ、元貴は涼ちゃんと恋人になったけど、なんか危ういっていうか、涼ちゃんのこと、外に出さないようにしてるみたいな…。」
「…なら、僕の自業自得だよね…。」
「や、ちょっとやりすぎじゃない?」
「それだけ、僕が信用ならないのかも…。」
「もー、涼ちゃん!」
若井が僕の肩を抱く。
「いつまでそーやって自分サゲすんの?」
「うん…ごめん…。」
若井が、僕の両肩を持って、向き合わせる。
「…元貴とちゃんと幸せになってよ。 」
僕は、若井の目から視線を外せない。
「…じゃないと、…。」
若井は言い淀んで、唇を噛む。僕は、続きを言わせちゃダメだと思って、うん、と頷いた。
「がんばる、ありがとう…。」
若井の手を取って、肩から外そうとしたら、力を込められて、動かない。
「若井…。」
「…俺、涼ちゃんのこと、」
「やめ」
「諦めたわけじゃないから。」
顔をグッと引き寄せられ、以前と同じ、口のわずか横のところにキスをされた。
「…もし、元貴とうまくいかなかったら、今度は口にするから。」
若井が、優しく僕を抱きしめた。僕はまた、 この優しい若井の愛を、自分の慰めに利用してしまったと後悔しながら、腕の中から逃げることもできなかった。
コメント
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この3人の続きが読めるなんて、嬉しすぎます🫶 そして、💙がまたフェードインするのも、♥️💙💛好きには楽しみです✨ いつも更新ありがとうございます😊 続きも楽しみにしてます💕
くわぁぁぁぁぁぁぁ(?)
具体的時期ありがとうございます✨(すみません、前回聞いちゃって…)おかげであの頃かぁと思いながら妄想してます笑 いろんな悩みあるよねー、考えちゃうよねーて思いながら読んでました😊 絶対ないけど、若様頑張って!もうちょっと押せるよ!って若様応援してます🤭 愛されドロドロ大好きです♥️(ドロドロで合ってましたっけ?😅)