眠れない暗い夜に若井に貰った元貴の写真を見つめる。
「元貴···すき、もっと触ってほしい···っ」
想像の中の元貴は僕だけを見つめてキスをして甘く愛してくれる。
「···っふ、ぁ···」
触れられたい、その手で愛されたい、もっともっと···そう思いながら自分を慰めて···汚い自分が嫌になりながら落ちるようにも眠りにつく。
そうすれば少しは深く安らげる。
けど毎日そうするわけにはいかなくて···そしてだんだんと自分での刺激に満足出来なくなっていく。
元貴に何かを期待してるわけでもない、この気持ちなんかとっくに心の奥にしまって見ないようにしてきたのに。
それなのにこんなにも君を好きで仕方ない。
「···ちゃん、りょうちゃん!」
「えっ?あ、ごめん、なんだっけ···」
「···もういいよ、ちょっと休憩しよう」
いけない、打ち合わせ中なのに少しぼんやりしてしまっていた。元貴が立ち上がって部屋から出ていってしまう。
気を使わず僕に休憩してほしいからの行動とは分かっていても、やってしまった、と後悔のため息をついてしまう。
「···涼ちゃん、夜ちょっと家に行ってもいい?俺が料理するからご飯一緒に食べよう」
「···ごめん、気を使わせて。けど僕もう大丈夫だから、気をつけるから」
若井の優しさが痛い。
僕はそんなに優しくしてもらえるような価値のある人じゃない。
「いいから。俺がそうしたいの!だからお願い、行くからね」
元貴が戻ってきて僕の背中をトントン、と叩く。
「ほら!続きしよう」
元貴が帰ってきて若井は話をやめた。
若井に来ないほうがいいと言いたかったのに。
今の僕はきっと正常な判断が出来ないくらい、おかしくなりかけている。
夜、約束通りに若井はやってきた。
「···ほんとに来てくれたの」
「うん、ほら美味しいお素麺買ったからさ、一緒に食べよう?他にも色々買っちゃった。最近···涼ちゃん痩せたよね。食欲ないのかなって、しかと眠れてない?」
「若井はほんとに···僕のことなんでもわかるんだね」
若井が茹でてくれたお素麺は確かに美味しくて、久しぶりに若井と2人きりで食べる食事も楽しかった。
少しだけ、とお酒をあけると若井が俺も一口ちょうだい、と勝手にグラスに注ぎ、止めるまもなく美味しそうに飲んだ。
「若井、もしかして泊まるつもり?」
「バレた?···一緒に寝ようよ、久しぶりに」
最初からそのつもりだったなんて。
少しだけと思ったお酒はあっと言う間に空になり、僕はもう一本冷蔵庫から取り出す。
「飲んだら眠れる?」
「···別にそういうわけじゃないけど」
開けてごくごくと飲み干していく。
いつもなら酔っても眠くなることはない。ただ少し、妄想に耽る手伝いになるだけだ。
「···なんでそんなに苦しんでるの」
パッと若井が僕の手を押さえて缶を取り上げる。
「···別に苦しんでなんか···返して」
「俺には言えない?酔い過ぎたら眠りが浅くなるって」
「···飲んでも飲まなくても眠れないよ」
僕なんか見ずに元貴をみればいい。
そしたら2人は···元貴は幸せになれるのに。
諦めもつくのに。
「どしたら眠れるの···俺に出来ることはない?」
どこまでも優しい若井に苛立ちを覚える。
その優しさってどこまであるの?
僕が言ったらなんでもしてくれるの?
取り返したお酒を飲みながら若井に近づく。
「案外溜まってるだけかもね?忙しくてそんな相手もいないし」
冗談っぽく笑う。
けど若井が小さく息を飲んだのがわかった。
コメント
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えーん、私の中のもりょきが泣いてるし、りょつぱが騒いでるよ〜 助けて〜はるかぜさーん😭 ちょっと投げやりなりょさんも最高でーす😭
ひゃ〜となりながらもドキドキしてます🤭❣️ ♥️くんが好きだけど、💙の優しさや♥️くんが好きな💙でと色々な感情が入り混じる感じが好きです❣️
しかもそれを自分を好きかもな人に発言しちゃうという🫣どうするどうなりたい藤澤さん···?