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テラーノベル(Teller Novel)
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一通りの食事を終え、二杯目のドリンクバーに差し掛かっている私達。


食事中は、それなりに和やかな雰囲気ではあった。しかし、歩美さんが定時連絡の為に席を外すと、途端に重苦しい空気が流れる――


歩美さんに食事とカラオケへ誘われ、一気に舞い上がってしまった私。

それも当然だ。だって、あのトモくんと食事やカラオケに行けるなんて夢にも思っていなかった…………


いや、ごめん、ウソ。本当は何度も想像し、何度も夢に見たシュチュエーションだ。


込み上げる笑顔をセーブしつつ、タクシーでお目当てのフライング・カーテンへと向う私達。助手席に歩美さんが乗り、後部座席に並んで座った私とトモくん。


ずっと緊張しっぱなしの、心臓はドキドキしっぱなしだった。


そして和やかな雰囲気での食事。懐かしいトモくんの笑顔――

その笑顔が嬉しくて、私は浮かれ気味に三人の会話を楽しんだ。


しかし、いざ二人きりになってみると、途端に不穏な空気が流れ始める……


「ねぇ……なに辛気臭い顔してんのよ?」


私は、その重苦しい空気に耐えかねて口を開いた。


「ほっとけっ。辛気臭い顔は生まれ付きだ……」


飲みかけのジンジャーエールを前に、肩肘を着いて外を眺めているトモくん。

コチラに目を向ける事なく、無愛想な返事を返して来る。


「ちょっとっ! 何なの、その態度はっ? そんなに私の担当になったのが不満なわけっ!?」


確かに私も最初は、いきなりトモくんの顔を見て戸惑ってしまったけど、今は違う。

トモくんが新しい担当になるって事に、内心ではかなり浮かれている。


でも……

でもトモくんは私の担当になるのが、そんなにイヤなの? そんなに私の事が嫌いな――


「っん事はネェよ。よく考えれば、オマエの担当なら気楽そうだ。何より元ヤン隠すのに気を使う必要もねぇしな」


――え?


トモくんに嫌われているのかもしれない……

そう思っていた矢先に出たトモくんの言葉。その言葉に、私は心の底から安堵した。


「でもなぁ……オマエが工藤愛だってぇなら、オレの計画はイチからから見直しだ……」

「け、計画……? 計画って、なによ?」

「オマエにはカンケーネェ話だよ……んんっ」


そう言い捨てると、両手を上げて身体を伸ばすトモくん。

さすがの私も、そのトモくんの態度には少しカチンっと来た。


「ちょっとっ! なに、その言い草っ!?」

「っせーなぁ……コッチは徹夜で寝みぃだよ……」


再び肩肘を着いて窓の外へと目を向けるトモくん。


「アンタねぇっ! 少しは――」


と、私の声のトーンが、徐々に上がって行った時だった。


「えっ? ナニナニ?」

「もしかして、痴話喧嘩ですか~?」

「ギャハハハ~ッ!」


下品な声と共に、私達のテーブルに三人分の影が落ちる。


私がため息をつきながら通路側の方を見上げると、そこにはいかにも頭の悪そうな三人組の男達が立っていたのだった。


少女漫画に恋をして ~元ヤン達の恋愛模様~

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