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『双子の名探偵は今日も嗤う』〜謎あるところに闇は生まれる〜
第4章 『愛するが故に犯してしまった罪
破った約束』
〜護る為に嘘を吐く〜
第5話 早とちりは身を滅ぼす
『どうして貴方がここに……!?捕まったんじゃ…。』
『私は謎を解きに来ただけです。優秀な執事と妹のおかげでね。』
『っ……。』
『よくもまぁ私の可愛い妹に罪を擦り付けようとしてくれましたね。』
『主様には触れてはいけない逆鱗があるみたいですね。』
『そうだな。百合菜っていう逆鱗な。』
『…そういえばお姉ちゃん昔から――。』
小学生の時。
『やめてよ〜!返してよ〜!』
よく男子に物を隠されてた時お姉ちゃんめっちゃ怒ってたんだよね…。
『百合菜に謝りなさい。土下座しなさい。ほら、早く!』
その度に先生にはやり過ぎだって言われてたな…。
『…まぁ私が妹を守ったからお咎めは謎解きの後にたっぷり致します。まずは謎を解いて差し上げます。まず貴方は料理長に深い恨みを抱いていた。料理長になれない自分勝手な恨みを凶器に込めた。その証拠に料理長の胸を一突き。一切の躊躇がありません。怨恨としか考えられません。』
『っ…。』
『凶器として使われた波刃ナイフ……。これはパティシエがスポンジを切る時に使うものです。パティシエ以外使うことはほとんどありません。』
『波刃ナイフなんて、パンを焼く人でも使いますよ!硬いパンを切る時なんて…っ。』
『確かに、その通りですね。でも貴方が犯行に使った波刃ナイフには他のとは違うところが一つだけあった。 』
私は凶器のナイフを取り出す。
『刃のところに名前があるんです。貴方の名前が。』
『く……っ。』
『これは私の勝手な想像ですが、料理長からプレゼントされたものでは無いですか?パティシエとしてこのナイフは欠かせないものですからね。』
『オーダーメイドで作った貴方だけのナイフです。パティシエとして頑張って欲しいという料理長の想いが込められた…大切なね。』
『…違う。あいつは私を見捨てたんだ!支配人には私は料理長には相応しくないから私のことを…っ!』
『…はぁ。それも違います。これは料理長のメモ帳に書かれてたものです。』
私はその文面を読み上げる。
『あいつのスイーツの腕は素晴らしい。いずれ私の跡を継ぐに相応しい。私にとってあいつはかけがえのない存在だ。』
『嘘だ、だって…っ!』
『……執事たちが聴取で…支配人の方が仰っていました。』
回想
『次の料理長は副料理長の彼だと私は考えている。どうですかな?支配人。』
『パティシエの彼ですか?いやぁ、彼はスイーツの腕はいいが料理の腕は如何なものかと思います。やはり新しく雇うのがいいのではありませんか?』
『ふむ…。分かりました。ではその目で見てみるといい!彼の技術を!私の知識を吸収して彼はスイーツだけでなく料理脳でも素晴らしいんだ!』
『分かりました。貴方がそこまで言うなら彼を私の目でじっくり見させて貰おう。』
『嘘だ…。それが本当なら私は…!!』
事件の夜。
『料理長。私以外の人を料理長にするというのは本当ですか?』
『ん?何を言ってるんだ?私はお前を…』
『とぼけるな!私はずっと貴方のような料理長になりたくて…っ!』
グサッ!
『うぐ……っ!』
ドサッ!
『はぁ、はぁ……!』
『そん、な…。それなのに私は料理長を……。この手で…うわぁぁぁぁぁぁぁ…!!!』
副料理長はその場に座り込んで落胆した。
『悲しいですね……貴方の殺人は身勝手でとても杜撰です。その上に私の妹に罪を着させようとした…絶対に許さない。貴方の早とちりで殺された料理長…。貴方の身勝手で身勝手にされた百合菜…2人に謝ってください。』
『黙れ……。黙れぇぇぇ!!』
私はテーブルにあったナイフを持って襲いかかる。
『っ…!』
私は身構える。
と、その時――。
ガシャンっ!
『ぐあっ!』
『る、ルカス……。』
『そこまでです。主様に手出しさせませんよ。私も、執事のみんなも百合菜様を貴方を許さない…!私達の大切な主様を傷付けた。
絶対に許さない……!!』
『ルカス…っ。』
こうして、副料理長は逮捕され、事件は幕を閉じた。
フロントにて
『この度は申し訳なかった。俺のせいで貴方を危険な目に…。』
『大丈夫です、こうして無事に出てこれましたから。それに、貴方のおかげで事件を解決できましたから。ありがとうございました。』
私はニコッと微笑む。
『っ……。』
(罪な人だ…主様は。)
『お姉ちゃん…。ごめんなさい…!
私のせいでお姉ちゃんが怖い目に…。』
『大丈夫よ。百合菜。ほら、泣かないの。可愛い顔が台無しよ。』
私は百合菜の頭を撫でる。
『主様……。』
その手が震えていたことを我々は見逃さなかった。
次回
第4章 最終話 強がらないで
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