TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

「死ぬ前に、俺と付き合わない?」

某ドラマや漫画にある、某台詞と全く一緒の事を言われる日が来るなんて、予想していなかった。

「そんなこと、急に言われても。」

海岸沿いの、ある柵の上。一歩踏み出せば、落ちて海の藻屑となるかもしれない。

「もう俺に、生きる意味なんて無いから。放っておいてや。」

「こんな人目が付くような場所で自殺しようとしてる人を、黙って見届けるだけなんてできないよ。」

何て正義感の強い青年なんだ。その言葉に、思わず『死にたくない。』なんて口走ってしまうところだった。

そのエメラルドグリーンと、そこに映った夕日が、あまりにも綺麗だったから。この柵を降りて、ずっと眺めていたいって思ってしまった。

「どうして泣いてるの?」

その問いかけに、少しだけ戸惑う。

「泣いてなんか…」

そう言いかけて触れた彼の手が、あまりにも暖かくて視界がぼやける。

「俺と一緒にもうちょっとだけ、頑張ってみない?」

そう言って差し出された手に、少し間をおいて考える。

「俺なんか生きてたってなんも出来へんし、才能無いし…。俺一人減ったところで、そんなに世界変わらんから。」

「俺には必要だよ。」

たぶん、いや、ずっと欲しかった。それが、例え赤の他人でも。

初めてもらったその言葉は、ちゃんと俺の事を認めてくれた気がした。



久々に、懐かしい夢を見た。

今、俺を認めてくれた彼は、隣で俺にくっつきながら寝ている。

「…ありがと。じゃぱぱ。」

そう言って、彼に触れるだけのキスをした。

「うわぁ!」

今起きたのか、それとも狸寝入りだったのか。よく分からないが、馬乗りにされてしまった。

「何がありがとう?」

にやにやしながら近づいてきた彼はたぶん、『そんなの当たり前だよ。だって好きだし。』とか言いそうだ。

だからあえて教えない。あの時泣いた理由だけは。

この作品はいかがでしたか?

220

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚