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「ふぇ…?!」



唐突なお願い。迷惑だろうか、とこちらを気遣いながら打ち明けた様子の彼に胸が苦しくなるほどのときめきを覚える。



「え……かわいい、何そのお願い」


「なんっ、かわいくないから。ねぇ、嫌?」


「いいよ。そんなのいつでも受け付けるよ」





そう言えば恐る恐る、といった様子で彼は僕を抱き締めてきた。


強張りながら身を寄せてくる姿の可愛いこと。思わず笑みがこぼれてしまう。


お日様の香りの洗剤の匂いがして、とくとく鼓動が伝わってきた。



「赤城はぼくのこといつもかわいいって言うけどさ」


「うん」



カゲツが首元に顔を埋めて小声で喋るから少し擽ったい。



「ぼくからすれば赤城の方がずっとかわいいんやからね」


「え?」



何を喋り出すかと思えばまさかの僕がかわいいとかいう話。


ぎゅっと背中にまわされた腕に力が込められて更に彼を近くに感じる。





「楽しかったとか嬉しいとかちゃんと言ってくれるんやもん。会えばニコニコして出迎えてくれるし」


「ぇあ、ちょっ 」


「本当にかわいいんだよ、ウェン」




埋めていた顔を上げて、耳まで赤くしながら目を見てそう言う彼の熱が伝播したようにこっちも頬が熱くなる。




「ちょっ、ちょっと」


「褒められると言葉が出てこなくなるとこもね」




赤くなりながら言葉を紡ぎ続ける彼から思わず目をそらせば頬に手を添えられる。


見てて、目をそらさないで、と。

口にはしていないけれどもそう言われた気がして。


赤城は混乱と羞恥からくるキャパオーバーになりそうになりながらぎゅっと目を瞑った。




知らない。知らない。

こんなにグイグイくるカゲツを知らない。なんでこんなに積極的なの。まさかこのままキスしようとして………







「……本当だったらキスしたいくらいだけど……恥ずかしくて無理やったわ」



頬に添えられていた手が離れて目を開けると項垂れた彼がいた。



多分、漫画だったらぷしゅー、と擬音付きで蒸気が出ていただろう。

彼も慣れないことしてキャパオーバーらしい。




「ねぇ…キスはぼくからさせて」


「へ……え?」





俯いたまま、ぎゅうぎゅうと強く僕を抱き締めながら、ちっちゃいちっちゃい声で言う。






「ぼくからしたいから……その、待ってて欲しい。平気になるまで」




本日二回目の唐突なお願い。



「いい、よ。待ってる…よ」



言いながら赤城は顔を覆った。初めて見たカゲツの姿に動悸が止まらない。






こんなんでこんなに動揺しちゃうなんて、カゲツからキスされた日には僕はどうなっちゃうんだろうか。



















アイデア下さったヘアピンさん


素敵なアイデアありがとうございます。


雰囲気ふわふわよりも初心で互いにドギマギした感じになりましたが、書いてて楽しかったのでよしとさせて下さいませ。



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