東雲高校。私が通っている高校の名前。
私は紫瑞茉莉子、高校三年生。周りと変わってることと言えば体を傷つけることで生を謳歌していることであろうか。
袖をめくればたちまち赤い切り傷が露出する。
「どうしてこんなことをしたの?」だとか「相談に乗るよ」とか余計なお世話をされる。だから、隠す。見せない。
一時間目、道徳….ね。わたしに一番欠けている要素の一つ。
生存しないと社会不適合者という名のレッテルを張り付けられるのでしょうもない人生を歩んでいる。ホントは今すぐ身を投げ出したい気分だ。
「それじゃあ道徳、始めるぞー」
すぐに声はお経となって耳に入らなくなった。
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「おーい、発言だぞー」
がば、と起き上がると皆の視線はこちらに向いていた。
「ぇ、あ、ぅ」
間抜けな声が口から紡ぎだされる。
「なんだ、話聞いていないのか?内申点下げるからな」
「だっさー」「やばww」「バカじゃん」
ぐるり、と脳内に言葉がめぐる。
最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ、最悪だ。
その時、授業終わりのチャイムが鳴った。
トイレに慌てて駆け込むと、胃液を吐き出す。
「っえ”、ぁ、うぇ、かは、ッ」
教室に戻り、慌てた手つきで筆箱をまさぐる。
「なんで、かったー、どこぉ、」
小さくつぶやく。しょうがない、はさみで代用するしかない。鋏の刃で手首を必死に切りつける。
「ょぉ…いたい、、よぉ」
聞き間違え?そんなわけない、傷がしゃべった、
「しくしく、いたいよ…」
またしゃべった。涙を流すように、血液が腕を伝う。しまった、包帯を切らした。保健室で巻いてもらうしかないか、、、
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カラカラカラ
戸を開けると、養護教諭の足立先生が待機していた。
「あらま、ひどいおけが。包帯を巻いておきましょう。」
クルクルと包帯がまかれていく。ミイラになった気分だ。
「それで紫瑞さん、この切り傷はどうしたのかな?言いたくなかったら、言わなくていいのよ。」
あ….なぁんだ、理由なんてなくてもよかったんだ。
「うん、じゃあひみつ。ありがとね、足立せんせー。」
今日は、一段と空がきれいに見えた。
コメント
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わぁ、!めっちゃ好き!!