テラーノベル
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商店街の灯りがぽつぽつと灯り始める。
買い物袋を片手に持つ悠真の歩幅は大きく、咲は少し小走り気味になった。
「……っ」
気づけば、咲の指先はそっと悠真のジャケットの裾をつまんでいた。
「……どうした?」
立ち止まった悠真が振り返る。
「……なんでもないです」
慌てて手を離したけれど、頬は熱くなるばかりだった。
悠真は一瞬黙り、視線を逸らして歩き出す。
「……妹ちゃん、そういうの、反則」
その低い声に、咲の心臓はさらに跳ねた。
何気ない帰り道なのに、世界が鮮やかに色づいて見えた。
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