【僕たちの最善案】
本当のはじまり
**********************
kr視点
…やべ。どうしよ。勢いで家出てきちゃった。
まあ…スマイルに泣いてるところ見られたくなかったしBroooockとスマイルがイチャついてんの見るのも嫌だったから別にいいんだけど…、
何処に行こうか。
………nakamuの所か…?
俺は、恐らくnakamuがいるであろう家の近くの公園へと向かう。
泣いてんのかな、何してんだろ…何、考えてんだろ…なんて、思いながら………。
「…いた」
あの公園ブランコと砂場だけの小さな公園だから、いつも人がいないんだよな…。泣くんだったらうってつけの場所〜…。なんて思ってたら、本当にいた。
え、俺の感凄くね?天才かよ。
nakamuは少しサビの入った青いブランコに腰掛け、1人静かに泣いていた。
不覚にも…涙を流す彼の姿を見て、“可愛い”と、思ってしまった。
今まで、スマイルのことがこれ以上にないくらいに好きだったのに。
スマイルとBroooockが(多分)付き合って…諦めて、こんなにもすぐに新しい恋をするなんて…
「…マジかぁ………」
俺はnakamuの後ろに立ち、ブランコの鎖を緩く握り…nakamuにも聞こえるように、そう言った。
nakamuが俺の声に反応して上を向く。
大粒の涙を溜めた大きく綺麗な空色の瞳は真っ直ぐに俺を見つめた。
「…きりやん」
「何泣いてんだよ。可愛い顔が台無しだぜ?」
「…フッ……、んだよお前。そんなキャラじゃねぇだろうがw」
笑ってくれた。可愛い。
…嗚呼、俺…nakamuに惚れたんだ。
「…なんか、誰でもいいみたいだな。俺。…違うはずだけど」
「?何が…?」
「俺、nakamuのこと…もっと知りたくなっちゃったみたいなんだけどさ、………どう?」
俺は、遠回しにnakamuに告白をした。
…多分、伝わったはず。
nakamuは…自分を知って、知った上で愛してくれる…
…そんな人が好きだとか何だとか言ってたから…。
多分、伝わってる。
「…知って、愛してくれる?認めてくれる?…俺のこと、全部…満たしてくれる?」
「勿論。…知って、認めて、愛するよ。それで…満たしてあげる。だからさ、どう?」
確定演出。
嗚呼、お互い、誰でもよかったのかな。
…そういや俺…スマイルの泣き顔に惚れたんだっけ。
………そうか、俺…人の泣く顔が好きなだけか。…ヤバい奴みたいだな…。
…まあ、いいとして。
…それでnakamuは、知って認めて愛してくれる人が好きなだけなのか。
「…付き合っちゃう…?」
「…ん。…宜しく」
よろしくお願いしますの挨拶は、
軽いキスだけで済ましておいた。
俺たちはそれだけで傷心なんて消えてしまうような…
“愛”を知らなかった奴等だった。
…まあ、nakamuの束縛激しそうだから…
“愛”を知らなくてもそれなりにはやっていけそうなんだけどねw
**********************
sm視点
きりやんが家を出ていってすぐ、俺はとりあえず Broooockの部屋に入った。「一回2人きりで話そう」そう、言われて。
「スマさん」と、彼は自らの横に座るよう、ベットに腰掛け隣をポンポン…と叩き、俺を呼ぶ。
ギシ、と音を立て彼の横に腰掛ければ、
俺の大好きな暖かな彼の甘い香りが鼻を撫でた。
「………」
「………」
………沈黙。
そりゃそうだよな。急展開が過ぎたんだから。
「…えっと、事実確認なんだけどさ…?」
Broooockがふと、口を開いた。
事実確認。それは、きりやんの言った例のことだろう。
「…なに」
俺は恥ずかしさからぶっきらぼうに返事をしてしまう。
嗚呼、こんな無愛想なやつ、Broooockはどうせ好きじゃないんだろうな。
…つい、そう思ってしまう。
「スマイルはさ?…僕のこと…好きなの?」
「…僕はスマイルのこと、好きなんだけど…」
「っあ、恋愛的な意味でね?」
「………どう?」
………好き…?
…Broooockの海のような綺麗な瞳が、ゆら…と俺を映した。
「ぇ、あ…え、と…」
恥ずかしさから俺は俯いてしまう。
…Broooockが俺の膝にある俺の手を、優しく包み込んでくれる。
……やさしい
「言うの恥ずかしがってんの?…僕、期待しちゃうよ〜?w」
「…いま、優しいなって思ったとこだったんだけど」
「えぇ〜?w」
「…別に、いいけどな。変なことじゃないんだったら…」
「………ぇ、…なにが…?」
「…期待しちゃう…ってやつ」
「…へ?ぇ、な…、いっ…、いいの…⁈」
「…期待するぐらいならな」
ふっと俺が笑うと、Broooockも安心したように笑ってくれた。
「w、許してくれんの期待することだけなの〜?w」
俺は、Broooockの頬に手を当て、彼の顔と自らの顔を近づける。
「…ん……」
触れるだけ。小さなキスをしてやった。それから、そっと彼から離れて「何まで許して欲しい?」そう問いた。
彼は頬を赤らめ、「…ぜんぶって…アリ?」そう、解いた。
「…いーよ」
彼になら、俺は全てを許したい。
…好きだから、
ほんとに、ほんとに…
……………大好きだから。
**********************
kn視点
俺の腕の中でシャケがしゃくりをあげて泣いている。「ごめん」…と、謝罪の言葉を述べながら。
Broooockとスマイルは2人、話をすると言ってBroooockの部屋へつい数分前に行ったばかりで。
「…シャケ」
名を呼べば、シャケはびくりと肩を震わせた。
「ッ…」
シャケは俺の肩をぐ、と押し、俺から少し距離をとった。
「ごめ、ごめん…ごめん…ッ」
シャケの目に溜まり溢れ続けるその涙は、俺には拭わせてもらえなかった。
「…ね、シャケ…?」
俺は、出来る限りの優しい声で彼に問い掛ける。
これ以上距離を取られたら流石に傷ついちゃうしね。俺が。
「シャケは俺と付き合いたいの?」
「俺は、シャケと付き合いたいな‥って思ってるよ」
彼は自身の瞳に溜まった涙を拭い俯き、「俺も、俺も…きんときのこと、好きだよ」と答えた。
「…付き合うのは、嫌ってこと…?」
恐る恐るそう聞けば、彼は小さく頷いて。
「nakamuが悲しんじゃう…、から…」
そう、小さな体を更に小さくして呟いた。
「…そっ…、か。そうだよね。…うん。わかった」
彼の気持ちを尊重しない訳にはいかない。だからこそ伝える俺の意思。
「シャケは、nakamuの気持ちを尊重したいんだよね?…自分よりも、nakamuの意思の方が大事」
シャケはまた小さく頷いた。そして俺は続ける。
「…でも、俺はシャケ以外を愛そうと思ってない。それに、シャケ以外を愛そうとは思えない。思いたくない」
パッとこちらを向いた綺麗なエメラルドの瞳が俺を映し、ゆらりと揺れた。
「…フフ、どうしたの…?そんな顔して」
俺はその場で立ち上がり、シャケに背を向け
「俺はシャケの答えに合わせるよ。だから、好きにしな。…でも、だけど、俺が好きなのはシャークんただ1人だってこと、忘れないでおいて欲しいな」
そう言って、俺は自らの部屋へと戻っていった。
**********************
sh視点
どうしよう
どうしよう
どうしよう
どうすればいい…?
…俺は知ってるんだ。nakamuの気持ちを。
深い愛がないことも、欲を満たすためだけの恋だということも知っている。
だけど、俺はその小さな気持ちの恋にすら…追いつけなかった。
俺の気付けなかったことは、nakamuは気付いている。
俺の気持ちは本当だって…俺が1番わかってるのに、その…事実が、俺の恋の邪魔をする。
…邪魔なんて、人聞きが悪いか……。
…俺は、きんときの気持ちを知らない。
どれ程まで俺の事を好いていてくれているのか、俺は知らない。
nakamuは知ってんのかな…。
『シャケ以外を愛そうとは思えない』って言ってたとき…きんとき怒ってた…?
わかんないなぁ…。nakamuなら、分かったのかなぁ…。
はは…
………涙が
…………止まらないや…。
なぁ、nakamu
…俺は、どうするのが正解だった…………?
**********************
br視点
僕とスマさん、nakamuときりやん、きんさんとシャークんが結ばれて1週間が経った。
nakamuときりやんはもう行為もしたらしく、
nakamuは…nakamuときりやんは、すごく…幸せそうだった。
僕とスマさんもそれなりに仲良くやっていて。
まだ手繋ぎとかハグとかしかしてないけど。まったくも〜スマさんのツンデレ〜!(?)
僕的には…すっごく幸せ。雰囲気がピンクいもん。
…きんときとシャークんは…なんか寧ろ『口数減ってんじゃん』状態。なにこれ不仲?マジ卍?
nakamuがしょっちゅう『俺今幸せだからお前らもっと堂々とイチャついてもいいんだぞ?』って言ってるけどその度にきんさんが『今俺シャケの返事待ちだからw』って言ってる。どゆこと?
君ら付き合ってないん?
シャークんもなんか隈酷くなってるわ泣きそうな顔してるわで…
1組だけバットエンド?
え、君ら好き好き同士でしたよな?
…マジで、どゆことなん……?
**********************
na視点
きんときとシャークんの様子がおかしい。
両思いのはずなのに。なんで?
Broooockとスマイルは結ばれて幸せそうにしてるのに…。
俺も、きりやんと付き合えて満足してるのに…。なんなら俺ときりやんは失恋してすぐ付き合ってるからな?最初の俺らなんも愛無かったからな?なんなら今もお互い行為もしてるにも関わらず今までの好きを忘れきれてないレベルだからな?
なのになんで両思いのお前らがそんな悲しそうな…苦しそうな顔してんだよ。
…きんときに聞いても「シャケの返事待ち」の一点張り。
シャケに聞いても「ごめん」とか「違う」とかしか言ってくれない。
…幸せになれよって…、自分の幸せを考えろって…何度も言ってんのに…
…やっぱり、俺のせい………?
シャケもきんときも違うって言ってくれてるけど…
気にするよ…?流石に…
……………………
「…きんとき」
「ぁあ、nakamu。どうしたの?」
「…シャケの事なんだけど……」
「 」
「…え…、…それは………ッ」
「…まあ、あとはきんときに任せるから」
「頑張ってね」
俺は、きんときに俺の出来る精一杯のアドバイスをし、その場を後にした。
**********************
kn視点
nakamuからのアドバイスは凄まじいものだった。
…寝込み襲わなきゃいけねぇしさ〜?ヤバいよ。マジ。
「俺の理性持つかな〜…w」
決行日は今日の夜。nakamuにそうしろって言われたからね。
「…本当にこれは最善案だったのかってのが」
「……分かっちゃうね〜w」
「…本当にやんの?」
「やんなきゃきんときとシャケ一生結ばれないかもしんないでしょ?」
「ん〜…w」
現在時刻は10時50分。シャケはベットの上、静かに眠っている。
なんでそんなことが分かるかって?…そう、今俺がシャケの部屋にいるからだ。
nakamuをチラリと見れば、グッドの仕草をし、瞳をワクワクと輝かせている。あいつ絶対楽しんでるな。この状況。
「…よし」小さく俺は、意気込んで
シャケの首下、膝下に自身の腕を通し、抱き抱える。
「軽…ッ」
クッとシャケの身体を俺の方へ寄せれば、コテンとシャケの顔がこちらにもたれ掛かり、俺の肩にシャケの髪がさらりと垂れる。そして、ふわふわとした彼の甘い香りが俺の鼻をくすぐる。
嗚呼…可愛いなあ、としみじみ思う。
「…nakamu。いいよ」
小さく俺は呼びかける。その声に反応してnakamuが俺の部屋の扉を開ける。
「どーぞ」
「ん。…ありがと」
「…お幸せに」
パタリとゆっくり扉が閉まり、一つの部屋という空間に2人きりの状況になる。
「…ぅ……ん、」
「!ぁっ…、と…」
シャケが可愛くうなり、俺のただでさえ煩かった心臓が更に煩く動き出す。
ギシ、と俺のベットにシャケを寝かせて、その隣に俺も静かの寝転がる。そのまま抱きしめれば、これ以上ない幸せに包まれる。
俺はそのまま、眠りについた。
**********************
sh視点
「………んぅ…」
瞳を開けると、目の前には人がいた。そして聞こえる小さな寝息とすうっと香る爽やかな柔軟剤の香り。
…まさか、と思い顔を上げようとすれば肩にぬくもりを感じ、…腰にも、ぬくもりと重みを感じた。…あれ、俺…抱きしめられてる……?
視界に入った手は、彼の手…そのもので。おずおずと俺を抱きしめる彼の顔を見てみれば、…やはり、彼だった………。
「きっん、とき……ッ」
「……ん…」
俺がきんときの名を呼べば、きんときの俺を抱きしめるその腕がグッと更に俺を強く抱きしめる。
「ッひゃっ………」思わず声が漏れる。
トク、トクときんときの心音が近く聞こえてくる。
「…ッ」
「はぁ…ッ」
自身の心音がバクバクと鳴り響いて。どくどくと…好き、が…溢れ始める。
「…だめ………っ」
きんときと離れなければ。
好きが溢れきってしまって…離されたくなくなる、その、前に。
ぐ、ときんときを押す。押せど、力の入らないその手は、意味を成すことは無かった。
手遅れだ。
そりゃそうか。
もう…ずうっと前から、大好きで…大好きで、堪らなかったんだもんなぁ…。
諦めたい。諦めたくない。諦めさせて欲しい。諦められない。
ごめん。ごめんね、きんとき。
こんな俺を好きになってくれてありがとう。
好き。大好き…。世界でいっちばん…大好きだから…
お願いだから、これ以上好きにさせないで?
「ッひぐッ…」なみだがこぼれる。
「っん、く…」声を殺してなみだを流す。
背中を、ポン…ポンと優しく規則的にたたかれる。…撫でられるように、優しく。
…起きたんだ。
「きっん…ひくッ…ぅ、と…きッ…」
「ん〜?」
優しい声。
俺の大好きな声。…起きたばっかだからかな。いつもより少し、ふわふわしてる。
「…苦しくなっちゃた?」
甘い声。
…多分、俺しか知らない声。
「…ん………」
「…そっか。ごめんね。俺のせいだよね」
辛そうな声。
俺の事を1番に考えてくれてる声。
「…んうん…。っ違う…ッ……」
「んふ、…そ〜お?」
柔らかい声。
俺の不安を取り除いてくれる声。
「…ッ好きっ…すぎてぇッ…、くるしっ…なっちゃ…ンッ、く…」
「……え、」
嗚呼、どうしよう
ほんねがポロポロ、こぼれてく。
涙と一緒に、今まで溜めていたすべてが、吐き出されるように…。
彼に包まれ、自然と…溢れ出す。
ここからはあまり、覚えていない。
俺はしゃくりをあげて泣き続け、きんときはそんな俺を抱きしめていてくれた。
俺が落ち着いてからきんときは俺にもう一度、最後だと言って俺に告白してくれた。
俺は泣きながら散々“好き”って言っちゃったから、拒否権なんて無かった。
だから俺は小さく頷いた。そしたら、軽いキスをされて…。
2人で、微笑みあった。
**********************
br視点
きりやんがnakamuをおぶってリビングに来た。昨日は行為をしたらしい。
…なんかnakamuの首にキスマ見えるんですけど…。
「…やべぇ。俺今めっちゃ幸せw」
「〜ッ!うるせぇよ!」
うわー…きりやんの全力ハグ。苦しそ〜…w
…でも「…2人めっちゃ幸せそうだねぇ〜w」
…僕がそう言ったら、2人ともキラキラした顔で笑った。
「「当たり前」」…だって。
…よかった…。
「…Broooock。ぉはよ…」
「ん、おはよう。スマさん」
スマさんは僕の服の裾をキュッと掴みながら僕にくっつく。
「んふ〜…可愛い」
「…るさい…。…今日の朝ご飯Broooock作ったの…?」
僕のスマさんは可愛いって言われても否定しないんだよね〜。…朝は。
本人曰く「可愛かったらBroooock好きでいてくれるでしょ?」っていう意味らしい!この前の初夜の時に聞き出したんだ〜!
…可愛かったなぁ…
「…ね、スマさん」
…僕は、朝ご飯を食べるべく席に座っているスマさんに話しかける。
「…スマさんは今、幸せ?」
スマイルはふわりと笑って僕の欲しい言葉をくれた。
「嗚呼。Broooockがいるからな」
僕は目一杯の笑顔を彼に向け、
「僕もスマイルがいるから今すっごい幸せなんだよね〜wおそろい‼︎」
そう、言った。
「ぅお、うまそ」
きんさんの声が耳に入った。
起きてきたんだ、と僕は声の方を向く。そこにはまだ半分寝てる様子のシャークんもいて。
仲直りしたのかな、なんて思えば、
きんさんが「ほら、シャケ〜?朝ごはん食べるよ〜w」なんて言ってシャークんの髪を撫でる。
それに対し、シャークんも寝ぼけながらもへにゃりと嬉しそうに微笑み頬を赤らめるもんだから…
ようやくか、と心底安心した。
「…幸せだね」
と僕が呟けば
みんなは口を揃えてこう言うんだ。
「そうだね」…って……。
幸せになって初めて
…嗚呼、これがか…と僕らはようやく気付くんだ。
これが、僕たちの最善案だった…ってことにね
end
コメント
2件
泣いてる🦈慰める🎤めちゃくちゃ良かったです😭