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カタカタとパソコンのタイピング音が静かな部屋に響く。
仮面を付けたミスターブラックが無心でパソコンに視線を向けていた。
すると、コンコンとドアを叩く音が。
ブラックはパソコンをタイピングする指を止め、振り返る。
そこには、腕を組んだミスターバナナがドアに寄りかかっていた。
どうやら、バナナがドアを叩いていたようだ。
「・・・なんですか・・・」
「・・・お前、何日寝てないんだ」
バナナはそうツカツカ詰め寄り、そのまま顎を掴まれ、顔を上に向けられた。
そして、至近距離でバナナの顔がブラックを見つめた。
黄緑色の綺麗な瞳が、サングラス越しに見える。
「・・・隈が酷いぞ。あれから寝てないな」
「・・・うるさいです、離してください」
ブラックはバナナの腕を掴んで、離そうとするも、上手く力が出ない。バナナは“やっぱり”と言うような表情でブラックを見下ろした。
「あまり食べてないだろう、筋肉も落ちてる。このままだと、お前の方が倒れるぞ」
「うぐ・・・」
ブラックは何も言えなくなり、思わず呻く。
ふと、バナナがここに来る前に料理をしたのか、僅かにいい匂いが漂ってきた。
そして、その匂いにくぅとお腹が鳴った。
「ほら見た事か」
「うるさいです」
ブラックはバツが悪そうに睨みつける。そんなブラックに、バナナはこぼれるような声で笑った。
「なんだ、意外と元気そうじゃないか・・・チョコケーキ、いるか?」
「・・・ください」
バナナは嬉しそうに笑う姿に、ブラックは内心顔を顰めていると、
自動ドアが開いた。
ミスター銀さんだ。
「ブラックー!大丈夫か?最近ずっと研究所に引きこもって・・・」
銀さんは目の前に広がる状態に固まった。
現在、バナナがブラックの顎を掴んで、至近距離で見つめあっていたのを。
「お、お、お邪魔しましたァ!!!」
銀さんが慌ててその場を走り去った。そんな銀さんを見て、バナナたちは今の状態に気づいた。
「待て待て待て待て待て!!銀さん!!」
「誤解です、戻ってきてください」
急いで誤解を解くために銀さんを追いかけた。
✵✵✵✵✵
「あぁ、びっくりした・・・入ろうとしたらキス1歩手前みたいな感じだったから・・・邪魔した!!って思っちまった」
「いや、何故私とバナナがそんな仲になると思ってるのかツッコミ入れたいんですけど・・・」
そうブラックは、チョコケーキをもぐもぐ食べながら、ツッコミを入れる。
ふと、銀さんが研究室の奥、ガラスで仕切られている部屋に目を向けた。
「・・・“すまない先生の容態はどうだ?”」
その銀さんの発言に、ブラックはフォークを止め、俯いた。
「・・・怪我の具合は大丈夫です・・・“ただ”」
「“ただ”?」
ブラックは少し目を泳がせ、そして、答えた。
「“意識は相変わらず戻りません”」
ブラックの言葉に、銀さんは腑に落ちた。
「・・・そうか」
その一言だけでも、部屋の空気は少し重かった。
ブラックはガラスで仕切られた部屋に目を向けた。
そこには、すまない先生が沢山の点滴や管に繋がれて、目を固く閉じていた。
数週間前、すまないスクールにとある依頼がやってきた。
村を襲っている略奪者・ピリジャーの討伐だ。
そこで、すまないスクールは、その依頼された村へ赴き、崖の上にそびえ立つピリジャーの塔を制圧した。
だが、最期の悪あがきでか、ラヴェジャーはブラックに突進した。それに気づいたすまない先生がブラックを突き飛ばし、代わりにすまない先生が、ラヴェジャーと共に崖から転落した。
大雨の中、レッド達はすまない先生を見つけ出し、病院へ。
だが、すまない先生は怪我が治っても、一向に目を覚まさなかった。
そのため、ブラックの研究室で運び、色々調べていた。
「・・・なんだっけ、確か、お医者さんが言うには“夢を見ているような状態”なんだっけか?」
「はい、検査によると、ノンレム睡眠N3のように深い眠りについている脳波らしく。そこから動く気配が全くないらしいです」
「・・・ノンレム睡眠?」
銀さんは初めて聞いた単語に首を傾げる。すると、バナナが説明した。
「分かりやすく言えば、“脳と体の本格的な休憩時間”だな。」
「へぇ・・・」
ブラックは俯いていた。
「・・・すまない先生は、ずっと目を覚まさないのでしょうか・・・“私のせいで”」
「ブラックのせいじゃねぇよ!!」
銀さんがブラックの手を取り、握った。
「そりゃ、目を覚まさないのは不安でしょうがねぇ、俺だって不安だ・・・けど、すまない先生はブラックを庇って後悔なんてしない!絶対!!」
ブラックは少し俯き気味に頷いた。
「・・・ほら、少しブラックも休め、な?」
銀さんに休むよう促され、ブラックも小さく頷いた。
✵✵✵✵✵
すまない先生に繋がったモニターは、今もピッ・・・ピッ・・・と機械音を流し続けていた。
ふと、すまない先生の手の甲に黒インクが滲むように現れ、まるで紋章のように現れた。
そして、それはゆらりと消えてしまった。