gtさんが嫌われる話
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rdside
「ふぅぅ….疲れたぁ、、」
ここ3日は作業漬けだった。ずっと溜まっていた編集を一気にして、投稿できる状態にできた。
それにしてもここ3日はSNSというものを触っていないかもしれない。
「久しぶりにエゴサでもするかぁ」
たった3日かもしれないが俺にとっては3日もSNSを開いていないとは何年ぶりだろうか、というレベルのことだった。まずは心配してるであろうリスナーに生存報告だろ、そう思い、内心うきうきでスマホを手に取りtwitterを開いた。….だが、twitterを開いた瞬間変なトレンドが飛び込んできた。
「ぐちつぼ炎上…」
生存報告なんかより、このトレンドの方が気になりタップする。その内容はぐちつぼが、自分の女性リスナーと会い、暴力を震い、レイプしたという内容だった。
「そんな訳ないじゃんw」
長年ぐちつぼと一緒にいたからこそわかるが、あいつはそんなことする奴じゃない。絶対に。
配信では何があっても気丈に振る舞っているが、ぐちつぼは意外と繊細なのだ。小さな事をずっと気にして、一人でずっと抱え込んでしまう。昔からぐちつぼはそういう奴だった。
もう少しエゴサをしていると、1枚の写真が出てきた。背の高い後ろ姿の男性が前にいる女性に殴りかかっているような写真だった。ツイートを見ている限りだと、この投稿主が今回の被害者を名乗っているのだとわかった。ツイートは『これが証拠の写真です。たまたま通りかかった友人が写真を撮って助けてくれたときの写真です。』といった内容だった。
「たしかになぁ、後ろ姿だけだと似てるけどw」
思わず笑いがこぼれてしまった。そんな後ろ姿の写真で証拠になるわけがないし、服のセンスがぐちつぼと違いすぎる。しかし、そんな証拠になってない証拠写真を信じてる人達も多数いるようだ。
「なんだ、してるじゃん」
ぐちつぼはしっかり弁明ツイートをしていた。こんなに大荒れで叩かれまくってるから弁明してないのかと思っていた。
『今、俺に関するニュースが沢山出てると思うけど事実無根だから騙されないでね。写真に写ってるのも俺じゃない。』そんなツイートだった。しかし、内容なんかより、びっくりしたことがあった。
「3日前…」
そのツイートが3日前のものだったのだ。今トレンドに上がっていて沢山の批判的なツイートがされているから、てっきり今日か昨日の夜くらいの話だと思っていた。それよりなんでこんなに大荒れしてるのか。しっかり弁明もしているのに。そう思い、ぐちつぼの弁明ツイートのコメントを見る。
そこには批判的なコメントしかなかった。
『嘘をつくな』『今更何言っても同じだよw』『さっさと認めて謝れ』『謝ることも出来ないんですか?』などとツイートを1ミリも信じないコメントは勿論、『死ね』『消えろゴミ』『お前を応援してた自分が恥ずかしいわ』などといった誹謗中傷も多数あった。
「大丈夫かな…」
ぐちつぼは意外とメンタルが弱い。自分のリスナーでさえ、誰も信じてくれないというのは結構辛いことだろう。
「電話掛けよう」
心配になって電話を掛けてみた。…が、電話には出なかった。
ただ電話に出なかったという可能性もあるが、俺に嫌な予感が襲いかかった。
その瞬間「何かあったとき用に」と貰っていた合鍵を握りしめ、家まで走り出した。
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カチャ
「ごめんぐちつぼ」
まだ緊急時とわかった訳ではないが、合鍵を使わせて貰う。俺予感は大体当たってしまうから。今だって…
「…ぐちつぼ?」
ぐちつぼはベットの上で布団にくるまり、頭だけだして心底怯えた目で俺の事を見ていた。
体は震えており、顔色も悪く、目は沢山泣いたのか赤く腫れており、今も涙を溜めていた。
俺が慰めようと近付くと、体をビクッとさせてか細い声で「…やだ、やめて…」といった。
その言葉に驚きぐちつぼの顔を見ると、頬にアザもようなができていた。これは想像以上にヤバい状態だった。ご飯も食べていないのか元々痩せていた体がもっと痩せている。
「ぐちつぼ、大丈夫だから、俺は敵じゃない、俺はずっとお前の味方だ」
そう声を掛けると目に溜まっていた涙がポタポタと溢れだした。そんなぐちつぼが怖がらないようにそっと近付き、抱き締めた。
「怖かったなぁ、もう大丈夫だから」
少し経って、落ち着いてきたと思い声を掛ける。
「ぐちつぼ?」
しかし返事は返ってこない。びっくりして顔を覗き込むとスヤスヤと眠っていた。
決して安らかな寝顔とは言えないが魘されている様子もないため、少しは安心してくれたのだろう。
そのうちに俺はしなければいけないことがある。
まずは犯人を特定して問い詰めるところからだろう。
行動は早い方がいい。
ポケットの中のスマホを取り出してとある人に電話を掛けた。
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「んぅ、…..」
「おっ、起きた?」
そう声をかけるとやはり体をビクッとさせた。
「大丈夫、大丈夫だから」
そういうと、今度はぐちつぼの方から俺の胸に飛び込んできた。
「ふ、…ぅ…..っ、…」
泣き始めてしまったぐちつぼを優しく抱きしめてそっと頭を撫でた。
普段はあんなにでかいのに今は凄く幼く見えた。
「辛かったねぇ、」
優しく抱きしめる俺に対してぐちつぼは、離さないとでもいったように強く抱きしめてきた。
相当今まで一人で辛かったのだろう。
聞きたいことは山ほどある。
何でこんな炎上騒動になっているのか、限界のメンバーになぜ連絡しなかったのか、頬の傷はどうしたのかなどなど。
でも、無理矢理聞き出すとぐちつぼの負担になってしまう。
だからぐちつぼが自分から話し出してくれるまでは側にいてサポートしようと決めた。
コメント
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うわぁぁめちゃくちゃいい( ߹ㅁ߹) ぐっち〜泣かないでぇ泣''大丈夫だよぉ〜(´;ω;`)