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思考が急に途切れ、
目の前の風景が目に飛び込んできた。
外は寒いはずだが自分の体だけが熱く感じる。この現象にも何か名前がありそうなものだが調べるほどのことではない。
何を考えていたのだったか。
体と同時に脳が揺られる感覚で現実に
引き戻されたが、さきほどまで何を
考えていたのかを もう忘れてしまった。
これ以上本を読んでいたら酔いそうだと
思い開いた本を閉じてバスの窓を眺める。
「今日みんないるかな…」
紙袋の中には友達にあげようと思って
昨日作ったチーズケーキが入っている。
「あぁ…そうだった」
何を考えていたか思い出した。
自分は何のために友達にこんなプレゼントをするのかについてだった。
自分でも何で急にこんなことを 考え出したのかはよく分からないが、 そう思ってしまったのだから仕方ない。
私はこのプレゼントを本当に
友達のために するのか。
普段は全然料理なんてしないし、
別に好きでもない。むしろめんどくさい。
じゃあなんでこんなものを作ったのか というと、そういう話になったからだ。
お菓子作りについて話している時に
なんとなくじゃあ作ってみるかという
気分になっただけである。
ただふと思った、
これはきっと 自分のためでもあると。
私は人によくプレゼントをする。
誕生日、クリスマス、お土産。
別にお返しを求めているわけではない。
ただこれからも一緒に居てほしい、
そう思ってはいる。
言葉にはしていないし、強制力もない。
ただ自分に自信がない。
人が私と一緒に居てくれる
理由が 分からない。
私はたいして面白い人間でない。
それなのに一緒に居てくれるのは
なぜなのか。ただの気まぐれか、
一時的なものだからか。
私はあなたたちと居て楽しいけれど
私自身は楽しさを提供できていないのでは
ないかと。だからモノに頼る。
これは悪いことだろうか。
悪い、というより冷たいのだろうか。
離れていってしまったのなら仕方がない。
追いかけたりもしない。
あぁそうか、とひそかに落ち込むだけだ。
ただこれが悪いことだと私は思わない。
自分に自信がないのはしょうがないではないか。ないものはないのだ。
それに友達は私のプレゼントにたいして
そこまで考えていないだろう。
私が私をどう思うか、それだけだ。
たとえモノで人を釣ろうとしていたって、
喜んでくれた顔を嬉しく思う気持ちも
事実だ。どれもが本当だ。
なら別にいいだろう。
これは悪意ではないのだから。
結論としては稚拙すぎるだろうか、
まぁ私の思考などそんなものだ。
これでいい。
外の空気が流れてきたことに
気づいて立ち上がる。
「喜んでくれるだろうか…。
そう言えば明日はハロウィンだ。
また何か作ろうかな。」