テラーノベル
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深夜二時。
刑務所の廊下は、不気味なくらい静かだった。
こさめの心臓はずっと壊れそうなくらい鳴っている。
本当にやるんだ。
戻れない。
もう絶対に。
🍵「……こさめくん」
低い声。
独房の前。
すちは鉄格子越しに静かに笑った。
🍵「まだ間に合うよ」
🦈「……」
🍵「今なら、“冗談でした”って戻れる」
こさめは数秒黙ったあと、小さく首を振る。
🦈「戻りたくない」
その返事を聞いた瞬間。
すちの目が、ぞくりとするほど優しく細められた。
🍵「……そっか」
カチ、と小さな音。
盗んだ鍵が回る。
重たい鉄格子が、ゆっくり開いた。
こさめは息を呑む。
独房から出てきたすちは、いつもよりずっと大きく見えた。
死刑囚。
本来なら、絶対自由になっちゃいけない人。
なのに。
すちは真っ先に、こさめの頬へ手を伸ばした。
🍵「怖い?」
熱い指先。
こさめは震えながら、すちの服を掴む。
🦈「……ちょっとだけ、怖いけど」
🍵「うん」
🦈「すちと離れる方がやだ」
その瞬間。
すちはたまらなそうに目を閉じた。
次の瞬間、すちはこさめの手を強く握った。
🍵「行こう」
二人は静かに廊下を走り出す。
足音を殺して。
息を潜めて。
曲がり角を抜けるたび、こさめの鼓動が跳ねた。
怖い。
見つかったら終わりだ。
でも、隣にすちがいる。
それだけで前へ進めた。
🦈「……っ」
途中、遠くで看守の声が聞こえる。
こさめがびくっと止まりそうになると、
すちはすぐ腰を抱き寄せた。
🍵「しー」
耳元で囁かれる。
低い声に背筋が震える。
すちは暗い物陰へこさめを押し込む。
身体が密着する。
近い。
呼吸まで聞こえる。
「大丈夫」
すちは静かに笑う。
🍵「絶対捕まえさせないから」
🍵「安心して?カメラが映らないとこも全部知ってるから」
その声には妙な確信があった。
やがて足音が遠ざかる。
こさめはほっと息を吐いた。
すると、すちはじっとこちらを見下ろしていた。
暗闇の中、その目だけがやけに熱い。
🍵「……こさめくん」
🦈「な、なに」
🍵「今なら、もうほんとに返せない」
🍵「家にも帰れないし、普通にも生きられない」
こさめは少しだけ笑った。
🦈「なんそれ。帰る場所、すちがいるならいい」
その瞬間。
すちは堪えきれないみたいに、こさめを強く抱きしめた。
🍵「……好き」
震える声。
🍵「おかしくなるくらい好き」
こさめもぎゅっと抱き返す。
🦈「こさめも」
もう、世界なんてどうでもよかった。
二人でいられるなら。
それだけで。
#御本人様とは一切関係ありません
#あ!こんなところにごみ絵が!(^p^)
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藍翠 瑠蒼
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コメント
1件
第24話、一気に引き込まれました。すちを逃がす覚悟を決めたこさめの震えと、「戻りたくない」という一言——あそこでもう二人の運命が決まった感じがして、鳥肌立ちました。特に暗がりで「もうほんとに返せない」ってすちが言うシーン、あれはもうプロポーズみたいで…こさめが「帰る場所あるならいい」って返すのも、純粋で怖いくらいの信頼ですよね。脱獄そのものより、二人だけの世界が完成してしまった瞬間が一番印象に残りました。背徳的だけど、とても美しい。続きが気になります。