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Sid W
「僕ってかわいい?」
それは元貴の家に皆で来てゆっくりしていたときだった。
急に言われたその言葉に二人共返事が遅くなってしまった。
「…やっぱりかわいくないのかな」
脳の処理が追いついていない状態でまた衝撃的な言葉が聞こえてきた。さっきと同じように返事が遅くなってしまった。俺と同じように、というか涼ちゃんに至っては意識が飛びかけている。
ようやく涼ちゃんが果てしない思考の海から戻ってきて慌てて否定の言葉を口にした。
「そんなことないよ!だって僕たちの自慢のフロントマンだよ?歌も上手くて作詞作曲もできて、面白い。その上こんなに可愛いんだから。そんなことないって!」
涼ちゃんの言葉でようやく俺も停止しかけた思考が戻ってきた。
「そ、そうだよ。たとえ誰かにそう言われたって、そいつは目が腐ってるだけだって。お前がおかしいんだって声を大にして言える自信あるよ?」
元貴は返ってきた返事が思った以上なのか目を見開いていた。
「…ふふっ、なにそれ、でも二人ともありがとう。おかげでまた自信持てる!だけどそんなこと言ったら若井が悪く言われちゃうからダメ、だよ?」
上目遣いで言ってくる元貴の可愛さは目が眩むほどだ。それは涼ちゃんも同じだったようだ。俺と同じように手で顔を覆って深呼吸している。
自分が嫌な思いをしたにもかかわらず、俺達の心配をしてくれる元貴の優しさに触れて涙が出そうになる。このやり取りだけでお互いのことをとれだけ大事に思っていることが分かる。そんな時間が俺は大好きなのだ。
「やっぱり元貴は笑ってる時が一番可愛いね。」
俺は、その言葉に強く首を縦に振った。
そんな空気を涼ちゃんの一言が引き裂くことになる。
「ところで、誰からそんなこと言われたの?」
涼ちゃんの言葉に元貴は体をびくつかさせた。
きた。俺たちが苦手としている、いつもと同じなのに怒っていると分かるあの笑顔。あの笑顔の前だと隠し事ができなくなってしまう。だから出来るだけそうならない様にしようというのが元貴と俺の暗黙の了解だった。
元貴は俺に助けを求めるようにこちらを見たが、今回に関しては俺も気になるので涼ちゃんの味方にならざるおえない。
「元貴、これは俺も気になる。もし身近な人だったらちゃんと圧かけて、後悔させないとだから。だから、ね、教えて?」
その言葉を聞いて俺が助けてくれないと分かったのか、さっき引っ込んだはずの涙でまた泣きそうになっている。
「むぅ…」
「元貴…お願い」
少し涙目になってしまっている元貴にできるだけ優しく聞こえるように聞く。言わないと解放してくれないと理解したのかようやく元貴が話した。
「……少し前に共演した若い人たちと局のひと…」
少し前となると丁度元貴だけの仕事が少なかった時期と被る。ということは俺達ともあっている可能性が高いということだ。
「「は?」」
「でも、少しの人だし、そんなに酷いこと言われてないから大丈夫だよ。ね?若井、涼ちゃん?」
「なんでそんな奴のこと庇うの?ダメだよ、俺たちの元貴に酷いことを言う奴は一回でも痛い目見ないと。」
「そうだよ、思い出したくないだろうけど名前言える?」
そう言っていると元貴の目から本格的に涙が流れてきた。
「そんなこと….しなくていい….」
「「なんで…」」
「さっきも言ったけど!僕は二人が悪く言われてほしくないの!そんな危険なことしてほしくないの…三人で楽しく一緒にいれればいいの…..」
泣いている元貴には申し訳ないが俺達が愛されていることがより分かってしまい、ニヤけるのが止まらない。
「「元貴…もときぃ…大好きぃ!!」」ヒシッィ
2人で元貴が安心できるように強く固く抱きしめた。
「分かったよ。元貴の言うとおりにする。僕達も元貴に泣いてほしいわけじゃないから。」
「ふふっ、二人とも大好きぃ//」
「「グハッ」」
「流石の破壊力//」
「だね、やっぱり最上級に可愛いわ//僕らの神様だ。」
………
それから元貴を甘やかしまくっていたら、そろそろ寝るのに適したいい時間になっていた。
いつもなら眠くないと言っていた元貴も泣いて疲れたのか俺達に挟まれながらウトウトしていた。
「んぅ、わかい…りょうちゃん…」
「ん?元貴眠い?」
「ん…」
「寝よっか、みんなで」
三人で一緒に寝室へ向かった。
いつもの立ち位置と同じ位置に三人で川の字に寝る。
挟まれていることで俺達の温もりを感じたのだろう。ほぼ目が空いていない。
「おやす…み…」
「「ふふっ、おやすみ、元貴」」
二人で元貴が安心できるよう額にキスをする。
「…んふ…りょうちゃん…ひろぉと…だいすき…」
元貴から規則正しい寝息が聞こえてくる。
「やばい、最後に爆弾落とされた。可愛すぎかよ」
「やっぱり僕らの神様は最高だね…滉斗もおやすみ」
「おやすみ涼ちゃん」
お互いに頬にキスを落としてから眠りにつく。
俺らはこれからも 三人で楽しく幸せに過ごしていくために日々を、一秒一秒を大切にしていく。
そうして、この三人でいる当たり前のような奇跡を噛み締めながら眠る。
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