注意事項
・knkz
・空想りすなー
kn→「」kz→『』
配信画面がゆっくりとフェードインする。
見慣れた2人の並び、だけど、ほんの少しだけその距離が近い。
『……お、おひさしぶりです』
先に口を開いたのは葛葉だった。
少し緊張した面持ちで、それでも懸命に笑ってみせる。
『えーと……心配かけて、……ほんと、ごめんな』
コメント欄には「待ってたよ!」「おかえり!」の文字が流れていく。
その中に紛れて、「叶くんは?」「元気そうでよかった!」の声もちらほら。
隣に座る叶が、それに気づいて、小さく手を振った。
「こんばんは、叶です。……僕のことも、待っててくれてありがとう」
彼の声はいつも通り穏やかで、でもどこか、心の奥を打つような優しさが滲んでいた。
「今日は、少しだけ……ちゃんと話したくて。二人で配信、とってます」
『うん。……あのさ』
葛葉が息を吸って、いつになく真剣な表情を見せる。
『配信中、叶が倒れたとき……俺、ほんとに、何もできなかったんだ。ずっと無力だった。だから、……こうしてまた隣にいてくれるのが、信じらんねぇくらい嬉しくて……』
その隣で叶が、そっと微笑む。
「僕も……葛葉がずっとそばにいてくれてたから、ちゃんと戻ってこられたんだよ」
視線が重なって、ほんの一瞬、空気が甘くなる。
コメント欄がざわつくのも構わず、葛葉が続けた。
『なあ、叶』
「ん?」
『これからも……ずっと、一緒に配信してくれるか?』
問いかけは、冗談めかしていたけど、どこか本気が滲んでいた。
叶は少し笑って、葛葉の肩に頭を預けながら答える。
「……当たり前でしょ。僕たちは“いつものふたり”なんだから」
その言葉に、葛葉も安堵の笑みをこぼす。
『おーい、コメント、なんか“カップルチャンネルか?”とか言われてんぞ』
「それ、否定しないとまずいやつじゃない?」
『え、否定すんの?』
「……うーん、配信終わったら、考えるね?」
またざわつくコメント。
でも、2人の空気は、どこまでも柔らかくてあたたかい。
ほんの少しの間を空けて、葛葉がもう一度、リスナーに向き直る。
『……ほんとに、ありがとう。心配してくれて、待っててくれて。……“ただいま”、言わせてくれて、ありがとな』
そして、叶もゆっくりと頷いた。
「“行ってきます”も、“おかえり”も、全部……また、ここで言っていきたいです」
コメント欄には「おかえり」の嵐が続く。
画面の向こうと、こちら側――ふたりを繋ぐ、変わらない居場所。
“日常”は、ゆっくりと、でも確かに戻ってきていた。
コメント
2件
やられたわ、、、、、、😭ありがとうございます最高です
くろのわてぇてぇをありがとうございます