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《 注意 》

文スト中敦BL

なんでも許せる人向け




その日は随分と遅くなった。

ポートマフィアの急な仕事が入って、予定していたよりも遅い時間に帰宅した。

( もうこんな時間か、、、今日は敦に会いに行く予定だったが今の時間じゃもう無理だな )


敦と交際を初めて約半年。

ポートマフィアの幹部ともあろう人間(?)が敵対組織の下っ端と恋愛ごっこなんてと思うこともあったが、好きな物は仕方がない。

それよりも問題なのは、その下っ端の上司で元ポートマフィアのクソ野郎に交際がバレ、毎度の如く茶化されることだ。

( というか太宰の奴も芥川と、、、いやこの件を考えるのはやめた方がいいな )


なんてことを考えながら、等間隔に蛍光灯が光る夜道を帰っていた。

手に持った袋の中はそこの店で軽く買った夕食の材料と安物の酒、お気に入りのウィスキー入りのチョコが入っている。

したたかな自分へのご褒美だ。


( 明日は久しぶりの休日だな、、、敦と何処か出掛けるか。というか、彼奴は明日休みなのか??探偵社の首領ボスはウチの首領よりかはホワイトだと思うが、、、 )


自宅は都内某所の高層マンションの一角で、エレベーターを登ればすぐの場所だ。

いつものようにエレベーターに乗った。

エレベーターを折り、顔を上げると確かに自分の家のドアの前に1人の人間が佇んでいた。


( 、、、誰だ?敵襲か?)

恐る恐る近づく。


「 あ、中也さん!お帰りなさい 」


万遍の笑みで此方を迎え入れる恋人(中島敦)の姿がそこにあった。

寒さで凍える真冬の夜に恋人をずっと家の前で待っていだろう。鼻や耳、手が寒さで赤く悴んでいた。


「 おい敦、来るならちゃんと連絡しろ。何時からここにいたんだよ、、、あと合鍵渡したろ?何処やったんだよ 」

「 ごめんなさい。でも明日ポートマフィアは休みだって太宰さんが言っていたので、、、」

( …ッ太宰の野郎、余計なこと言いやがって )


「 迷惑でしたか? 」


不安げな顔でこちらの様子を伺う恋人は仕事で疲れた身体に染みる。

自然と笑みが零れた。

買い物袋を持っいる反対の手で頬に手を添える。


「 ありがとな、俺の為にこんな寒い中待たせちまって。今日は泊まってけよ。 」

「 !! 」


不安げだった顔が一気に明るくなった。

感情の変化が分かりやすい。いい意味でも悪い意味でもそのままでいて欲しいと思う。

家の鍵を開け、部屋に入る。恋人をソファに座らせて軽い食事の準備をした。

先程買ってきた酒をグラスに注いだ。熱いお茶を入れて恋人に手渡す。

ドサッ(ソファにもたれる音)


「 今日も一日疲れたな 」

「 お疲れ様です、中也さん。」


恋人はそういって微笑んでいた。

恋人はいつも忠実で律儀で一途で少し鈍感な部分や頑固な部分もあるが、誰よりも優しい。

横目で恋人を見て一口酒を飲んだ。

自然と笑みがこぼれるのが分かる。このかけがえの無い時間を人は幸せと呼ぶのだと思う。


「 いつもありがとな、敦 」

「 いえ、こちらこそありがとうございます。中也さん 」


その言葉を聞いて、誤魔化すようにもう一度酒を口に含んだ。

目の前のテレビの電源をつける。

最近話題の恋愛映画が丁度流れていた。天然で失敗ばかりだが真っ直ぐなヒロインとその上司との恋愛を描いたよくある話だった。


「 映画なんて久しぶりに見ます、、、 」

「 そうか?金曜の夜なんてよく流れてるだろ 」

「 僕は孤児だったのでテレビをちゃんと見たのも探偵社に入ってからだったんです 」

「 、、、今住んでる探偵社のアパートにもなかったのか? 」

「 あー、有るにはあるんですけど太宰さんが自殺に使って壊しちゃって、、、でもこうやって好きな人と一緒に映画を見ながらゆったりできるのは嬉しいです///  」

「 、、、// 」

「 ? 」


( これが無自覚ってやつかよ// )


 それから2人で時々談笑を挟みながら映画を見た。

 どこかに出かけるのもいいが、こうやって家でゆっくりするのも悪くない。

 映画もクライマックスに差し掛かり、自然と2人とも黙り込んで映画に集中していた。


 ラストのキスシーン。

 主人公が自分の気持ちを相手に伝える。トラブルがあって気付けなかったり、正直に慣れなかった自分の思いにようやく答えを出した。

 その世界で自分達が最も幸せだと証明するかのような笑顔を見せて映画は終わった。


「 、、、面白かったな。」


 ぼそりと呟く。

 人の幸せを見ると、自分の幸せと比較したくなるのが世の道理というものなのだろうか。

 無性に愛を語り合いたいと思った。都合よく、この世で最も自分が愛している人物が横にいる。

 この感情を止める理由が見つからなかった。


「 敦……// 」


 ゆっくりと横を向き、恋人を見つめると恋人は寝息を立てていた。 ずっと寒い中恋人を待っていたんだ。暖かい 家で腹を満たせば眠くもなるだろう。

 寝顔すらも可愛らしい。そう思えるこの時間がまさに幸せだったが、あわよくば口付けをしたいという思いは儚く散った。

「 愛してる。」


 恋人を起こさないように呟く。

 唇には無理だが、額に願いを込めるように優しく口付けをした。

 なんだか恥ずかしくなり、酒を口に含んだ。


 中原中也は幸せであった。



 …… ᴛᴏ ʙᴇ ᴄᴏɴᴛɪɴᴜᴇᴅ




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