ー・・・今日もいい朝だ…。
朝日に照らされながら僕はいつもの道を歩く。
『ッ!』
…危ない。承太郎の家に近づくにつれて口角が思わず上がる。…今僕はどんな顔をしていた?まだ昨日の余韻が残っている。思わず頬を両手で叩く。
『気を抜かないようにしなければ…。こんな顔、承太郎には絶対見せられなー』
『俺に何を見せられないんだ?』
『うわっ!承太郎!お、おはようございます。』
『?…おう。』
なんと僕はとっくに承太郎の家の前を通り過ぎていたのだった。これでは自分にも呆れてしまう。
『き、昨日は…楽しかったよ!』
引きつった(多分)笑顔でさっきの出来事をかき消すように誤魔化す。
『俺も楽しかったぜ。』
はあ…君はどれだけ僕を揺さぶれば気が済むんだ。やっぱり彼の微笑みに勝るものなどないのかもしれない。
今朝もたわいもない会話をしながら学校へ向かった。
承太郎と分かれ教室へ入って早々読書を始める。
何やら嫌な噂話が聞こえる。読書に集中するフリをして、静かに聞き耳を立てた。
『~なあ。知ってるか?この前、2ー△クラスの真田が、殺されかけたんだってよ~!!
なんてったって相手は超能力を使うらしい ぜ…』
″超能力″という言葉に反応しそうになった。
『え〜?何それ怖…!?超能力…って、一体誰がやったんだよ?』
『あ!俺も似たような話知ってるぞ!俺が聞いたのは1年だったかなあ?』
『目撃者によると、犯人はグリーンの学ランに赤毛だったとか聞いたぜ?』
噂話で盛り上がるクラスメイトがこちらをチラッと見た。
『お、おい…それって…』
『バカッ!!んな訳あるかよ!』
『さ、3年の空条先輩に言ったらそんな奴きっといちころだぜ!!』
『でも、超能力って…まあ、ジョジョならきっとやっつけてくれるな!』
嫌な予感がする。
4時間目のチャイムがなり、僕を呼ぶ聞き慣れた声がみんなの注目の的となる。
『花京院いるか?』
女子の黄色い声を聞き流し、彼の元へ向かう。
僕達は屋上へ上った。
『花京院。ひとついいか?聞きてえことがある。』
やっぱり聞かれた。噂は広まっていたようだ。
『超能力を使う、グリーンの学ランに赤毛の殺人鬼。…の事でしょう?』
『お前、知ってるのか。』
『ええ。きっと、もうとっくに学校中に知れ渡ってると思いますよ。僕も朝聞いたばかりですが。おかげで誤解されまくりですよ。』
『だろうな…。お前はそんなことするようじゃないってわかってるんだが一応、な?』
『僕が聞いた話、真田君?だかなんだか知りませんが、その生徒が襲われた日にはアリバイがある。その日も君といた。』
『襲われたのは1人ではないそうですが、それなりに僕ではない証拠はある。』
『だな。疑って悪かった。お前も気をつけろよ。』
『承太郎…。お言葉ですが、君は僕を軽く見すぎですよ。超能力を持っているというのが引っかかりますが、スタンド使いでない限りは所詮は一般人。大丈夫ですよ。』
『パンピー殺すんじゃねえぞ』と、承太郎が微笑する。
『君ねえ…。』
呆れながらに、彼との会話の幸せを噛み締めながら、お弁当を食べた。
ゆっくりと時間が流れていく。
ー花京院もあの噂を知っていたのか。
昼間の会話を思い出しながら、母親の使いに行く。”疑って悪かった”なんて言ったものの、まだ引っかかる事がある。
俺はこの目で見てしまったのだ。
あいつがうちの高校の生徒を殺す所をー…
コメント
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1コメ!面白いです! 何だかシリアスな雰囲気…?花京院はなにもしてないといいんですけど…