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Mrs. GREEN APPLE/ひろぱが亡くなるお話/若井さん視点/もとぱ
何かきっかけがあった訳じゃない。
頭が痛むのは昔からだし、悩みも全て小さなこと。
でもそれが積み重なって俺は俺じゃなくなった
若井「……….」
大森「なんか最近さ、笑うことなくなったよね若井って」
若井「え?そう?」
大森「うん。前ならもっと笑顔だったのに。俺はお前の笑ってるとこ好きなのになー」
大森「最近疲れてるんじゃないの?大丈夫?」
若井「大丈夫」
恋人の元貴は俺の変化に気付いたのだろうか。
俺の膝に座りながら拗ねたような顔をする
若井「別に笑ってなくてもいいでしょ」
大森「えー?……まぁね。でも冗談抜きでなんかあったらすぐ言えよ」
気を遣った元貴はすぐに俺から離れ、なるべく1人の時間を作ってくれた。
笑顔が少ない。それは自分でもわかってる
最後に笑ったのは何時だったか思い出せない
でもそれと逆に、泣くことも無くなった。
前まではささいなことで泣いていたのに
だから俺はまだ “出来る” と思い込んでいた
でも突然、その思い込みがフッと消え去った。
細い糸の上に独りで立たされているような、強い不安が襲ってくる。
誰か助けて欲しい。手を差し伸べて欲しい。ぎゅっと、それはもう強く。
でも助けなんかやってこなかった
当たり前だ。俺はあの日、彼に “大丈夫” と言ってしまったのだから
そこからは時間の流れが信じられないほど早く感じ、ふと気付けば俺は橋の上に立っていた
せめて彼が俺の残骸を見ることがないように。
少しでも迷惑をかけないために。
もう、この川に飛び込んで水と共に流れてしまおう
本当に大丈夫な人は心配された時、「何が?」って答える。
だいぶ昔に涼ちゃんはそんなことを話していた
今思うと、確かにそうなのかもしれない。
でもそんなの、周りからすると知ったことじゃないだろう。
大丈夫って言われたんだから大丈夫なんだ。
気付かなくていい。涼ちゃんにも元貴にも、そういう言葉の “裏” に気付かず過ごしていてほしい
若井「幸せに」
そう願うしかなくて、俺は勢いよく水の中へ飛び込む。
ちっとも冷たくない。息苦しさも、恐怖も何も感じない。
何が俺をこうさせたんだろう。
忍耐力は人並みにあったはず。
自分の限界なんか、訪れたことなかったのに
後悔すら微塵もない自分が少し嫌になる。
これで楽になれるなんて、最低で身勝手な思考回路だろう
俺はきっと、空の上じゃなくて地面の下に行く。
俺はそこから2人を見守るから、どうか2人は俺がいる地を踏むことがないよう生きて。
もう二度と、俺を思い出さないでよ
俺を思うと、その人の思考も汚れてしまう気がするから