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頭のなかに鳴り響く声
『思い出して!』
………『ああ そうか』
『わたしはずっと 待っている』
………『帰ってきたよ』
『ここに 来て』
………『やっと見つけた 』
『一緒に行こう 』
………『そうだね』
『鎖を引きちぎって 』
………『ぶっ壊そう!! 』
『二人で外の世界へ』
………『ぶっ潰そう!! 』
『もう とっくに二人は
一つに結ばれていたんだよ』
『二人を引き離したこの小さな世界
をぶっ殺せ!!!』
エレベーターに 走り込み 上へ
そこには 赤い傘の男が立っていた
広げられた腕のなかに飛び込む
『ごめん… ごめんね』
『たくさん 待たせたね』
『大丈夫』『信じる あなた』
『ストーカー扱いしてごめんね』
『ヒドイ それ 』
アカガサは笑った
さて二人初めての(初めてじゃない)
協同作業です
二人で赤い傘を手にとり
エレベーターに突き刺す
ガチャン!! バリバリ
ガシャーん!!
空間が砕け飛び 無数の破片が
身体に切りつけた
二人は血だらけになったが
それだけだ
世界の抵抗は 無かった
ムカつく!! 前はあんなに拒否
したのに!なんなの?!
アカガサを縛っていた鎖は
あっさりと切れたのだ
『ぶっ殺す!!』
わたしは 衝動にまかせて
この世界に わたしたちの牙を
突き立てようとした
『待って!』 『行かないで!』
『わたしも連れていって!』
聞き慣れた声がした
少し 離れた 隙間から
這いばい男さんが 現れた
そうだ…この小さな世界を壊したら
這いばい男さんたちはどうなって
しまうんだろう?!
!! わたしに大切な人をつくって
人質にしたのか!!!
『卑怯者!!』
わたしは 隙間に向かって叫んだ
『わたし 違う 』
『わたし これ 役目』
隙間の男が答えた
まぁ そうだろう 彼の意思では
ないことは 想像がつく
でも 以前わたしたちを引き裂いた
のは カレの力だったと思う
隙間の男は しゃべり出した
逆恨みで 赤いヤツに追いかけ
回わされて 大変迷惑している
業務にも支障が出ている!!
オレが上に直談判してやったんだ
代わりの案内人を作れと!!
感謝しろ!!! (意訳)
ん?! 代わりの案内人?
ちょっと 頭に浮かんだ
あいつだと
レッツ ゴー!
🎉ハロウィンパーティーナイト
みたいな かんじにならない?
大丈夫?
わたしは 這いばい男さんを
抱きしめて頭をなで回す
……そして言った
『ごめんなさい 連れていけない』
『わたしは ここの 住人には
なれなかった』
『行かなくちゃいけない』
呆然とわたしを見上げる
這いばい男さん
わたしが泣くべき ではないけど
涙がとまらない
わたしはヒドイことを言っている
『あなた わたし すき どこ?』
這いばい男さんが答える
やさしい手 がすき
見つめてくれる 目がすき
おやすみのチューしてくれる 口
いい匂いのする髪
ほかにも……
続けようとした這いばい男さんを
わたしは遮った
『ありがとう たくさん
ありがとう 大好き!!』
嘘じゃない 本当の気持ちだ
メキっ!! ブチブチっ!!
わたしは 右手を引きちぎった
鮮血したたるソレを這いばい男さん
に 渡して言った
『ソレ は あなたにあげる
あなたのものだよ』
わたしは アカガサを見上げる
ザ ザ ザザっ ジッ………
ノイズが走り わたしたちは
そこを 離れた
残された 這いばい男は
潰れた両目から涙を流して
佇んでいた
なんて 酷いことをするんだろう
ボクはどこへでも 着いていく
覚悟だったのに………
一人置いて 行くの?
もう 帰って………来ない…の?
ソレ って何?
野良犬に 最後の餌でも
恵んだつもりなの?!
怒りの感情が 沸き上がる
でも ソレを叩きつけることは
出来なかった
白く冷たい手をとって 口づける
ぎゅうと抱きしめると
ソレ は動き始めた
驚いて落としそうになるが
あわてて 抱き直す
それは やがて小さな 白い人型
になった
『あれ? なんでわたし
小さくなったの?』
『這いばい男さん 泣いてるの?』
『大丈夫? よしよし』
ああ ソレは わたしへの気持ち
だったのか
ありがとう! ずっと一緒だよ!
わたしは あなたを守るよ
わたしは ブチ切れ アカガサ
を 宥めていた
わたしも あなたの手
好きだったのに!!
あげたものはもとには戻らない
わたしの右手は怪異の手に なった
『小さい男は 嫌われるよ』
笑うわたしを まだ 睨んでいる
わたしは わたしたちは
神出鬼没の『赤い傘の怪異』に
なった
血まみれの白いレインコートに
赤い傘をさして
(バールもあるよ)
さあ! どこへ行こう
END
赤い傘の怪異
『選択肢にもどる』『過去にもどる』