テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
199
44
中也が男装女子の話。
2人はアラサーくらいだと思ってください。
男装女子って最高にメエロ(メロいとエロいの略)くないですか???
今日学校休みだったんで2個投稿します。
月明かりが、ポートマフィア幹部・中原中也の執務室を青白く照らしていた。
窓辺に腰掛け、空になったワイングラスを弄んでいた太宰治が、不意に視線を向ける。その先には、ベッドの端で硬直したまま動かなくなった中也の姿があった。
「どうしたの? 中也。そんなに怯えて」
甘い、溶けるような声で太宰が問う。今日という日は、二人が長年抱えてきた「相思相愛」という言葉を、ようやく形にするための夜だった。ポートマフィアを離れ、自由の身となった太宰と、それを追うようにして距離を縮めていった中也。五年という歳月をかけて、ようやく辿り着いたこの場所で、中也は今、逃げ出したいという衝動と戦っていた。
「……やっぱ、無理だ」
掠れた声が、静寂に落ちた。中也は顔を伏せ、俯いたまま拳を握りしめる。
「駄目に決まってるでしょ」
太宰は呆れたように笑い、流れるような動作で中也の元へ歩み寄った。中也が拒絶する間もなく、その細い指先が中也のシャツのボタンにかかる。
「おい、待てッ! 太宰、今日はやめだって言ったろ!」
「ダメ。私が今、中也を求めているんだもの。それに……」
太宰は一度だけ言葉を切り、中也のシャツの襟元に手を差し込んだ。そこで、中也の身体がビクリと震える。太宰の指先が、中也の胸元を締め付けていた特製のナベシャツの布地に触れたからだ。
ポートマフィアの重力使いとして、男として振る舞い続けた十年。十五歳の頃、荒くれ者たちが集う「羊」という組織の中で、女というだけで舐められ、牙を剥かれたあの日々。自分を認めさせるためには、強靭な男として生きるしかなかった。その仮面は、マフィアの幹部という地位に就いても外すことはできなかった。首領の森鴎外や、尾崎紅葉には勇気を出して打ち明けたが、一番近くにいた相棒にだけは、どうしても言えなかった。
幻滅されるのが怖かった。強くて、少しばかり短気で、信頼できる相棒。そう思っていてくれる太宰の視界から、「女」である自分が消えてしまうのが怖かった。
「……ッ!」
太宰の手が、迷いなくナベシャツのフックを外していく。脱がされるたびに、中也の視界が涙で滲んだ。晒される肌の冷たさと、心臓が爆発しそうなほどの緊張。やがて、拘束を解かれた肌が露わになり、中也は自分の身体を両手で必死に隠した。
「見るな……っ、気持ち悪いだろ、こんなの。今まで、ずっと騙してて悪かったよ。……男だと思ってた相棒が、こんな女だったなんて、幻滅するよな」
ぽろり、と溢れた涙が太宰の手に落ちた。中也は、かつて自分が作り上げた「強い男」の残骸を抱え、惨めに震えていた。身長だって、男にしては小柄だと笑われてきたけれど、女だと知れば納得がいくだろう。今まで積み上げてきた誇りが、音を立てて崩れていくような感覚だった。
しかし、太宰は怒ることも、笑うこともなかった。
ただ、中也が顔を覆っていた腕を、慈しむように、ゆっくりと解いていく。
「隠さないで」
耳元で、その囁きが響く。太宰の大きな掌が、中也の肩を優しく、愛おしそうに包み込んだ。
「ずっと、知っていたよ」
「……え?」
中也は呆然と、潤んだ瞳で太宰を見上げた。
「戦いの中で、背中を合わせるたびに感じていた。中也の鼓動は、私よりずっと繊細で、柔らかくて……何より、愛おしかった。私がマフィアを抜ける前、中也が抱えていたその重荷に、私は気づいていながら何も言えなかった。臆病だったのは、私の方だよ」
太宰は中也の華奢な肩を抱き寄せ、その胸に顔を埋めた。太宰の温もりが、中也の冷え切った肌に染み渡る。それは、どんな言葉よりも深く、魂を救う儀式のように感じられた。
「女だからとか、男だからとか、そんなものは関係ない。私が愛したのは、重力使いの中原中也。その中身が何であれ、私が選んだ唯一の存在であることに変わりはないんだ」
太宰はゆっくりと顔を上げると、中也の額に、頬に、そして濡れた瞳に、代わる代わる口づけを落とした。先ほどまでの恐怖が、嘘のように消えていく。中也は堰を切ったように、太宰の背中に手を回し、そのシャツを強く握りしめた。
「……太宰、バカ野郎」
「ええ、愛する相棒のバカだよ」
太宰は優しく微笑むと、中也を抱きかかえるようにしてベッドへと倒れ込んだ。重なり合う身体の温かさが、これまで二人を隔てていた透明な壁を完全に溶かしていく。
もう、隠すものはない。
「男」の仮面を脱ぎ捨てた今の自分を、太宰はそのまま受け入れてくれた。
暗い夜の闇の中で、二人の呼吸が重なる。互いの鼓動が、早鐘のように刻まれる。言葉にせずとも伝わる、溢れんばかりの情熱。中也は太宰の髪に指を絡め、その胸に身を委ねた。
五年という空白の時間も、言えなかった秘密も、すべてはこの瞬間のためにあったのだと中也は悟る。幻滅されるどころか、今までよりもずっと深く、太宰の瞳が自分を映していることを確信して、中也は幸福感に身を震わせた。
「……愛してる、太宰」
最後の一線を超えようとする瞬間、掠れた声で囁いた言葉に、太宰はこれ以上ないほど幸福そうな笑みを浮かべ、中也の唇を塞いだ。
部屋の空気は甘く、切ないほどに熱い。
二人の夜は、まだ始まったばかりだった。互いのすべてを確かめ合うように、二つの魂が溶け合い、一つになっていく。それは、どんな運命の悪戯よりも強く、確かな愛の形だった。
外の街並みは静まり返り、夜の帳は二人を優しく包み込んでいる。中也の肌に刻まれる太宰の指先が、言葉よりも饒舌に、その愛を証明していた。男として生きた十年も、女として愛されるこれからの未来も、すべてが愛おしいと思えるほどの幸福が、そこにはあった。
太宰の指先が、中也の肌を愛撫するたびに、小さな震えが連鎖していく。かつて「羊」の王として荒波に揉まれ、マフィアの幹部として血の匂いを纏ってきた身体が、今は一人の女として、ただ太宰の愛撫だけを求めて熱を帯びていた。
「っ……だざ、い……っ」
先ほどまでの強がりなど見る影もなく、中也の声は甘く溶けていく。太宰は中也の敏感な場所をあえてじっくりと愛で、中也が身をよじるたびに満足げに目を細めた。中也の喘ぎ声には、隠しきれない濁点が混じり、耳元をくすぐる。それは、どんな命令や叱責よりも、太宰にとっては甘美な旋律だった。
「中也、そんなに鳴いて……もっと聞かせてほしい」
太宰は妖艶な笑みを浮かべ、中也の吐息を吸い取るように深く接吻する。中也の指先が太宰の肩に食い込み、布地を歪めた。今までどれだけ隠そうとしても隠しきれなかった女性としての感度が、太宰の触れる場所から次々と開花していく。
「あ、ぁ……っ! だめ、そこ、っ……んぐ、ッ!」
中也が頭を振って拒もうとするが、太宰はその動きさえも抱きしめて封じる。太宰の重みが、中也の身体に確かな「自分への執着」を刻み込んでいく。男の姿でいれば決して向けられることのなかった、恋人としての慈愛と情欲。その全てを、太宰は中也の身体に注ぎ込んでいるかのようだった。
「大丈夫だよ、中也。全部、私だけのものだ」
太宰の言葉は、中也の理性を焦がすほどに甘い。中也は潤んだ瞳で太宰を見つめ返し、抗うことすら忘れてその胸に顔を埋めた。太宰の肌の温もりと、自分を求める強引さが、たまらなく愛おしい。自分が女として見られることに抱いていた恐怖は、とっくに快楽の波の中に消え去っていた。
「……ッ、はぁ、っ……ずるい、よ……」
中也は途切れ途切れの声でそう言った。何がずるいのか、自分でも分からない。けれど、こんなにも無様に、こんなにも甘く溺れさせられて、太宰という人間に心を丸ごと喰らわれていることが、何よりも恐ろしく、そしてこの上なく幸せだった。
太宰は中也の反応を一つ残さず愛でるように、ゆっくりと、しかし容赦なく繋がっていく。中也の身体が弓なりに反り、濁点の混じった切ない喘ぎが夜の静寂を震わせた。
「っ……あ、あぁっ! だざい……ッ、あッ……」
名前を呼ぶたびに、太宰は嬉しそうに微笑み、中也の身体をより深く支配していく。重なり合う鼓動はもはや一つに溶け合い、誰がどちらの痛みを感じているのかさえ曖昧になる。
十五歳で誓った、男として生きるという決意。マフィアとして塗り固めてきた誇り。その全てが、この夜の悦楽の中で溶けて消えていく。中也にとって、太宰の腕の中は、世界で唯一、自分を「中原中也」という一人の人間として、そして一人の女として愛してくれる聖域だった。
何度も何度も、名前を呼び合う。
触れ合う肌が熱を持ち、二人の愛は飽和点を迎えて溢れ出す。中也は太宰の髪を強く引き寄せ、その唇を求めた。太宰はそれに答え、今この瞬間、二人を隔てるものは何もないということを、肌の触れ合いで確かめ合う。
「中也……愛しているよ」
その囁きは、これまでのどんな言葉よりも重く、深く、中也の魂を揺さぶった。
涙で滲む視界の先、自分だけを見つめる太宰の瞳に、中也はただ、自分も同じ気持ちであることを伝えるように、その胸に深く沈み込んでいった。夜の明けるまで、二人は互いを貪り、愛を確かめ合うようにして、ただひたすらに熱を交わし続けた。
コメント
5件
性別関係なく、中也自身を愛してる太宰さんの姿が素敵
どんな中也でも受け止めて愛してくれる太宰さんと、そのおかげで安心出来た中也……話が素敵すぎる お二人とも末永く幸せになってくれ...!!