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瀬名 紫陽花
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「やっほーちさと。気が重そうな顔だね。」
君はにこにこしている。
「あまのは今から逃避行する割には楽しそうだね。」
「もちろん。ちさとは私と逃げるのがいやになったの?」
「ううん。全然いやじゃない。」
「よかった。ちさとが居なかったら私…」
「ん?」
「いや、なんでもない!」
ぼくらの逃避行はまだ、はじまったばかりだ。
僕らは公園を出て歩きはじめた。
夏休み前ということもあってかなり暑かった。
ここは田舎だからお店なんかひとつもない。
「あのさ、あまの。あまのは逃げて何をするつもりなの?」
君は答えた。
「んー?私はねちさとと話せるだけ話して遊んで楽しんで。そしたら死ぬ。」
君は両手を上に伸ばしながら呑気そうだ。
「え?」
僕は動揺した。
「だってどの道この逃避行には終わりが来る。そしたらまたお父さんのとこに戻らなきゃ行けない。逃避行は今のことを先延ばしにしてるだけだから。」
「ちさとは一緒に死んでくれるの?」
「え、それは。」
「冗談だよ。私は死なないしちさとを巻き添いに死ぬなんてことはしないから。」
いたずらっ子みたいに笑ってた。
あの時の僕はあの言葉が冗談だって信じてた。
自分に信じ込ませてた。
あれは冗談。ほんとじゃないって。
まぁ、ほんとになっちゃったけどね。