夜の風は少し冷たくて、制服の上からでも肌を撫でるとゾクッとした。
でも、その冷たささえも、今夜は心地よく感じた。
――だって、これが「最後」になるかもしれない夜だから。
校門を抜け、人気のない廊下を一人で歩いていく。
昼間はいつも騒がしい場所なのに、夜の学校はまるで別世界のように静まり返っていて、足音が妙に響く。
その音を聞きながら、胸の奥で何度も自分に問いかける。
本当に、いいの?
これで、いいの?
答えは――とっくに決まっていた。
あのとき凛が手を差し伸べてくれた日から、ずっと。
図書館の前に立つと、少しだけ深呼吸をした。
この扉を開ければ、もう後戻りはできない。
でも、怖くはなかった。
むしろ、ようやく凛と「同じ場所」に立てる気がして、胸の奥が少しだけ温かくなった。
葵:「……凛、来るよね」
小さく呟いて、扉に手をかける。
この夜が終わっても、凛と出会ったこの図書館だけは、きっと私の心の中で永遠に残る。
そんな気がした。
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