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俺が黄に助けを求めたあと、何故か黄の家に行くことになった。
「あのー、もしかして、黄の家に向かってたりする?」
「ああ、向かっとる」
平然とした顔で言われ、驚きつつ、理由を聞くと俺を一人にしたくないらしい。どれだけ心配してるのだろうか。
「いや、まあ、俺を一人にしたくないのは分かった。でも、黄の家族、家にいるでしょ?それに、年上が年下の子の家に泊まるのってどうかと思うんだけど………」
「別に、赤は俺と同い年くらいに見えるから大丈夫やって。なんか聞かれても適当に誤魔化せばなんとかなる……気がする」
そうこうしているうちに黄の家に着いてしまった。
「ほら、中入るで」
「う、やっぱり俺帰る……」
「ダメや。赤が自分の家に行くっていうなら俺もついてくからな」
ここまで言われたら諦めるしかないと思い、黄の家の中に入った。
「おかえり。あら?お友達?」
家に入ると黄の母親が出迎えた。めっちゃくちゃ黄と似てると思ってしまった。
「うん。あのさー、今日泊めてもいい?」
「急ね。でも、もう夜も遅いからいいわよ。お洋服は、あなたの貸しなさいね」
「分かった。ほら、行くで」
「あっ、うん。えっと、お邪魔します」
簡単に黄の母親は俺が泊まることを許してくれたけど、世の中の家庭はこれが一般的なのだろうか。
黄に手を引かれ、二階に上がり、黄の部屋で少し話すことになった。
少しの沈黙の後、黄が口を開いた。
「あのな、赤。ほんまのこと言うと、公園で見たとき、色がめっちゃ薄かった」
真剣な顔で言われ、やっぱりなと思う。
でも、返す言葉がない。今の俺は、謝る事しかできない。
「そうなんだ……ごめんね」
「謝らんでや!別に、赤が悪いってわけじゃないやん!」
「でも……ッ!」
俺が謝ろうとした瞬間、黄が俺の言葉を遮った。
「今、少しずつやけど、俺が最初に見た赤の色に戻ってきてるんよ」
「えっ……?」
戻ってきてる?なんで、俺はもう誰かのために何かをできるようなやつじゃ無いのに?
そうマイナスな考えが俺よ頭の中をぐるぐる回った。
下を見た俺の頬に黄は優しくふれ、目を合わせるように俺の顔を持ち上げた。
「なあ、赤。いつから我慢してたん?」
「………我慢?」
「これは、俺の勝手な考えなんやけど、赤はずっと前から我慢してたんやないの?」
我慢?俺は我慢なんてしたことない。だって俺はお兄ちゃんだから、率先して弟たちのためになることをするのは当たり前だから、俺は我慢なんかしてない。俺は、“普通”の事しかしてない。
「俺は、我慢なんかしてないよ」
「そんなことない!!…今の赤は、きっと今まで溜めてきた我慢がもう溜めきれなくなったからこうなったんやないの?俺、今日赤と行動してて薄々気づいとったんよ。ずっと作った笑顔だなって」
「ッ………!」
嘘だ、今まで誰にもバレたこと無かったのに?なんで、バレた?
「俺、今まで色が見えない分、大体は勘で人の表情を読み取ってた。だから、色が見えたからこそ、赤の表情がはっきり分かった。頼むから、俺には本当のことを話してや!俺らは、どちらかが一方的に助けるって言う関係じゃなくて、互いに助け合える関係になりたい。だから、教えてや」
泣きそうな顔だけど、どこか暖かい声で俺に語りかけてくる黄。互いに助け合える関係。今まで言われたこともなかった言葉。
「ほんとに、いいの?本当の俺を知ったら、きっと、黄だって……」
「大丈夫。俺は、どんな赤だって受け入れる。今日会ったばっかりだけど、俺は、赤のことが好きだから」
突然の告白。でも、その言葉は嘘だと思えなかった。
「赤、俺のこと、信頼してな?」
その言葉を聞いた瞬間、目が熱くなっり、頬を水滴が濡らした。
「本当に裏切らない?俺のこと捨てたりしない?」
何度も何度も繰り返し聞いた。その度に黄は「裏切らない。絶対に捨てない」そう言ってくれた。
だから、俺は少しづつ黄に今までのことを話した。
「……あのね、俺には、いや、俺たちには親がいないんだ。俺が、小六くらいの時に、まだ一歳にもなってない弟二人を置いて両親が逃げたんだ。なんか、めっちゃ莫大な借金してたらしくて」
「小六で、赤ん坊の弟二人世話しとったん?相当きついやん。それに、借金して逃げるって、最悪な親やな」
びっくりした。だって、黄は俺のことを可哀想って言ってこないから。今までこの話をしたらやっぱいいやと断るか可哀想で済ましてくる人がほとんどだった。でも、黄は俺のことを可哀想で終わらせないで、親に対して怒ってくれて。いい子すぎるよ、ほんと。
「ッ……実はさ、弟たち、今入院してて、しかも、全然病気治らなくてさ、俺、どうしたらいいのかな。病院代に学費、それ以外のお金も自分で稼がないといけなくて」
「そうとうキツイやん。今まで頑張りすぎやで。そりゃ、限界迎えるわ。いいか?これからは絶対に無理しないこと!これ破ったら、俺怒るからな?」
ちょっとした説教。でも、これは怖くない。黄だからってのもあるかもしれないけど、威圧感がなく、小さい子供に優しく怒るように言ってくれる。
「ゔっ、…はい。気おつけます」
「よし!」
笑顔で頭を撫でてくる。きっと、俺のことを信用してくれたんだろう。
「そや、赤、風呂入るか?」
「出来たら?」
「じゃ、服貸すから入ってき!えっと、赤に合うサイズは〜」
楽しそうに服を探す黄。色がわからないはずなのに、俺に似合う服を探すところが少し抜けてる。
「俺、赤色が良いんだけどー?」
「はあー?じゃあ手伝ってや!俺色わかんない言うとるやん!」
ちょっとした会話。今まで義務的にやっていたものが楽しく思える。
「はいはい、手伝ってあげますよ」
「上から目線やな、まあ、そんなにふざけたこと言えるくらい俺のこと信用してくれたんやな」
「…!当たり前じゃん。だって、好きなんだから」
「はっあ?………///」
ついつい告白してしまったが、これで良かったと思う。だって、黄も俺のことが好きやはずだから。
あれから数年が経った。黄は、第一志望のダイス大学に受かって、楽しい大学生生活を送っている。かく言う俺も特に留年することもなく卒業して、まあまあ給料のいい会社で働いている。
「今日は何時に帰ってくるん?」
「うーん、仕事終わり次第ってとこだけど、今日は、青たちも早めに帰ってくるって言ってたし、俺も早めに帰れるように頑張る」
「おー、あんま無理すんなよ」
「分かってる。じゃ、行ってきまーす」
「行ってらっしゃい」
今は、まだ完全に色が見えていない黄と病気の症状がほとんどなくなった青と水と一緒に暮らしている。二人は今中学生になって、部活やら勉強やらで忙しくしてるみたい。でも、体を壊すこともなくなって、俺としてはとても嬉しいことだ。
ちなみに、黄は初めて会った時人見知りを発動して水ちゃんに笑われてたけど、今は仲良しでゲームをする仲になってる。
俺自身も職場で気の合う友達ができたし、黄からもしっかりと愛されている。これが、俺の求めていた『幸せ』なんだと思う。
色が見えるようになりたい。
病気を完全に治したい。
明るく、嘘なく生きたい。
こんな贅沢は今は言わない。
ただ、今の幸せが続くことを祈るだけ。それだけでいい。
「今日も一日、笑顔で!」
コメント
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うわあ…第7話、読み終わりました。黄くんの「どんな赤だって受け入れる」「好きだから」っていう言葉、本当に心に響きましたね。赤くんがやっと自分の過去を話せて、しかも「可哀想」じゃなくて親に怒ってくれる黄くんの優しさが沁みます…。数年後の穏やかな日常も含めて、「幸せ」の形がじんわり伝わってきて、読んでいて温かい気持ちになりました。いいお話をありがとうございます🌷