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3話❀.*・゚
夜になり、白西の病室に戻った。ベッドの横に座ると、彼女はふと窓の外を見て微笑んでた。
「颯馬、さっきの花火、きれいだったね」
「…お前、ずっと見てたんだな」
「あたりまえじゃん、来年も見れたらいいなって思ってたし」
白西は小さく笑ったけど、少し寂しそうだった。来年なんて、俺たちには遠すぎる未来なのかもしれない。それが分かってるからこそ、笑顔がどこか切ない。
「来年も、また一緒に見よう」
無意識に口から出た言葉に、自分でも驚いた。叶うかどうかも分からない約束を、こんなにも簡単にしてしまう自分が少し嫌だった。
「ねえ、颯馬」
「なんだよ」
「もしさ、もし私がいなくなったらさ、泣く?」
「当たり前だろ笑 」
「ふふ、そっか。じゃあ、少しは安心かな」
白西はそう言いながら、俺の手をぎゅっと握った。その手は驚くほど小さくて、少し冷たかった。
「颯馬、まだ生きたい?」
急にそう聞かれて、少し戸惑った。
「…さあ、わかんない。でもお前がいるから、まだ生きてたい」
「そっか。私も同じかな」
白西は少しだけ笑って、再び窓の外に目をやった。暗闇の向こうには、まだ花火の煙が残っていた。
「痛くないといいな、死ぬとき」
ぽつりと白西がつぶやいたその言葉に、胸がギュッと締め付けられる。
「バカ、痛いとか考えんな」
「だってさ、怖いじゃん。死ぬのって」
「…おれがいるから」
白西はしばらく黙ったまま、俺の手を握りしめてた。
その夜、白西が眠るまでずっと手を握り続けた。
「俺もこわいよ…」白西が死ぬのが。
一人ごとのように呟やき、夜空を眺めていた。