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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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時は過ぎ、今日は愛花と伊織、そして私でイベント撮影がある。内容はe-sportsと言われる最近話題のゲームに関するイベントだ。愛花と伊織がしているFPS「Take over the island(T・O・T・I)」という所謂バトルロワイアル全国大会だ。このゲームは単純明快で、一つの島に集められたプレイヤー達を倒し、その島を乗っ取るという内容。ソロ、若しくは2人組で参加でき、ソロの場合は1/96、タッグの場合は、1/48チームの大バトル。一日目はソロ。明日は県代表バトルの全2日間構成だ。因みに私達は初日のみの出演だ。んで、今回そのゲームをしているという事でゲストオファーが掛かった。じゃーなんで私も参加かというと、ちょくちょく互いのゲーム実況に参加しているのと、実は愛花と伊織はこの大会に別々で参加しており、なんとお互い全国出場を果たしている強者なのだ。つまり私はMCの相槌役として出演する事になった。


「さぁ始まりました、記念すべき1回目の大会です。今回はアイドル歌手でおなじみのrainbowから、藤井愛花さん、徳富伊織さん、上原咲楽さんのゲストでお送りします。そして愛花さんと伊織さんは、ゲーム実況でT・O・T・I のプレーヤーとしてされており、なんとこの大会に密かに参加し、互いに全国出場しているという強者なんですよねー」

大会MCの方が話を愛花に振る。

「そうなんですよー、まさか互いにこの舞台に立てるとは思ってもいませんでしたが、これだったらチームで出れば良かったと思ってます(笑)」

「確かにそうですね。伊織さんはどう思いますか?」

「そうですね、私とか直ぐにやられる時と生き残る時の差が激しいのに、偶然にも大会予選では生き残ってしまって(笑)」

「とはいえ、今大会はキル数も大事ですので、なんとキル数では全国で5位の数値ですよ?」

「ありがとうございます。エイムじゃ勝てないので、索敵にマジで重視していて、その為に良いヘッドフォンを使ってますから、先手必勝的な感じでこのゲームは意外と先打ちすれば勝てたりしますからね」

へー…私は所謂ガチ勢ではないので勉強になる。

「へー、素晴らしいですね、自分の苦手を補ってると。それを聞いてどうですか咲楽さん」

ここに来て私だ。まぁ順番的にそうだ。ていうか、このゲームあまりやらない私からはかなり戦力外な感じがするが、ゲームをしている2人が選手として出る場合、折角のゲストが不在状態になるので、大会側はそれを防ぐ為らしい。とはいえ、2人のゲーム実況で知っているのでそこだけ助かってる。

「そうですね、私自身はFPSゲームは苦手なんですけど、今織ちゃんの話を聞いて、ゲーム外の所でもしっかり準備しないといけないんだなって、なんか勉強になりました」

するとMCは思いだしたかの様に

「そう言えば咲楽さんはお二人のゲーム実況に参加されてますけど、実況者としてはやられてないんですよね?」

「そうですね、私もゲームは好きなんですが、実況となると変に緊張するので、ローカルでガヤガヤしてた方が楽なんです」

そうなんです。なんか”上手くやらないと…”的な感じになるので、もし失敗したらとか、余計な事を考えてしまって自分では処理できない気がするから。するんだったらフォローしてくれる人、つまり愛花達がいればオッケー。

「へーそうなんですね。そんな中でチームのお二人が今大会で、しかも全国大会に出てる事はどう思いますか?」

「二人を目の前して言うのも照れますが、二足のわらじみたいで、決して私には真似できない事ですので、とても誇りに思います」

すると、それを聞いた伊織が、

「咲ちゃんからそう言った言葉を聞くなんてなんか気持ち悪い(笑)」

「なんでよ(笑)」「アハハハ、面白いですね伊織さん」

私のツッコミの後に笑い出すMC。

「いつもこんな事言うんですよねー、ツッコミの天才かって」

「お笑い好きだからね」

「良い仲ですね」

MCは私達を褒め称える中、試合が始まる。 会場では30分の休憩タイムが入った。私たちも少し休憩に入る。又、それに伴って愛花と伊織の二人は試合が迫っているので、ゲスト席から離席して試合会場へ向かう。私はトイレ込みの身体を伸ばす為にちょっとしたテラスに出る。

ふ―…。いつもと違うからかな?ただ座って喋ってるだけだけど疲れるなー。家ではそうでもないのに…

そんな事を思いながら少し歩き、途中の3人掛けのベンチに少し座ると、私はちょっとしたストレッチをする。

「お疲れ様です」

ベンチに座って1、2分後だろうか。右後ろから聞き覚えがある声が聞こえる。私は咄嗟に振り向くと、なんとそこにはいる筈がない西君が存在していた。

「うぇ!なんでいんの!?」「うぁ、びっくりしたー、そんなに驚かなくても…」

私はあまりの驚きで思わず座っていた席を立ってしまう。その驚きに驚いた様子の西君は同じタイミングくらいでそう言った。

「だ、だって、急に後ろから声が聞こえて、振り向いたらいる筈ない人が居るんですもの!」

すると西君は当たり前の様に

「いゃいゃ、この試合は観客ありですし、しかもこう見えて一応rainbowのファンなんですから、別に居ても可笑しくないと思いますけど?でもまさかこのテラスに来るとは思ってませんでしたが」

どうやら私が来る前に西君が偶然にもこのテラスにいた様子。続けて西君は

「あ、ここであまり男子と喋るのは不味いですね、知らないフリしながら話しますね」

そう言うと彼は、ベンチの約2m先にある囲い部分に肘を置き、周りの景色を見る。そう見ながら”どうぞ座って下さい”と言われたため、私は軽く会釈して座った。

「それで、今日は私達を見に来たんですか?」

私は疑問を尋ねると西君は

「実は、友人がこのゲームに参加してるんですよ。その応援も兼ねて来ました。まぁ俺にとっては大好きな咲良さんが見れるし、一石二鳥な感じですけどね」

”大好きな咲良さん”だって、嬉しすぎます。

「うぁー嬉しい!」

私がそう言うと西君は景色を見ながら

「言われ慣れてるでしょ?」

その声は何処か寂しさを感じた。確かにアイドルとファン。ファン=好きだから、確かに言われ慣れている部分はあるので否定できない。でも、西君はなんか違う…分かんないけど。私は咄嗟に

「いゃ、お世辞とかじゃなくて西君の場合は本当にで嬉しいですよ?」

「俺の場合?」

西君は思わず私の方を向く。私は何故”西君の場合”と言ってしまったんだろう。咄嗟だっただけに思わず口を押さえながら、アイドル的な対応策を探る為に脳内をフル回転させる。

「あ、いゃ…変な意味じゃなくて、お世辞とかではないって事です」

回転できなかった。同じような事を言っているだけなので、今すぐ回転ずしを食べたい。

「ちょっと何言ってるかわかんないっす」

「あ、それ私もです」

お互いにそう言って少しの沈黙があり、

「「ブハッ!アハハハハハハ」」

お互いに笑い出す。

「ちょっとツボりました今のやり取り」

先に西君がそう言った。いつの間にか知らないフリ会話をしていない事に気付いた私は、ジェスチャーで”向こう向いて”と伝えると、”あ!”と言いながら再び外を向く。その後に私が話し出す。

「そうですね、まぁよくわかんないですけど、兎に角お世辞ではないって事だけは事実なんで。そろそろ時間なんで戻りますね、いいリラックスが出来ました」

「わかりました。良くわかんないですけど、お世辞ではないって事だけは受け入れます、頑張ってください」

「真似しましたね?」

「メールの仕返しです(笑)」

一瞬なんの事だか分からず、直ぐに愛花達のゲーム配信の時の事を思い出し、小声とリアクションで思い出した事を伝えて、そのまま小さく手を振って西君と別れて試合会場へ戻った。

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