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保育園生の🐙🤝🐺の話
ある日のめちゃつえー保育園、朝の陽光が窓からさし、教室ないの絵本やカラフルに彩られているブロックを照らし、そよ風はカーテンを揺らしていた。
「おはょ!!!ねぇ!!こやなぎくん!るべちゃん、きょうねー!!」
登園してきたばかりの藤色の髪がゆらゆら動く、その髪を持つ主は小さい手を元気に振り回しながら成長しきれていない呂律で友達に話しかける。
「ほしるべ、朝からうるさい」
そう言うのは教室の隅でブロック遊びをする名家 小柳の坊ちゃん。幼いにしては落ち着いていてどこか達観している様子で星導に釘を刺す
「だって!るべちゃん、こやなぎくんとお話したいもん!!じゃあさ!じゃあさ!外で遊ぼっ!」
「…………いいよ。」
星導の誘いにブロック遊びする手を止め長考の末承諾した小柳はどこか楽しそうに笑う、星導はそれを見てどんどん楽しくなっていく。
「いいなぁ………。」
ーーー遠くで小さく聞こえてくる羨望の声
教室の隅でスモックの裾を触りながら紫の猫の人形を抱え呟くのは最近この幼稚園にやってきたばかりの佐伯だった
元から内気な彼は羨ましそうに2人の様子を眺める
「ぼくも話しかけたいな……」
ふと彼の後ろに影が落ちる
「どうしたの?テツ、そんな落ち込んだ顔して」
「っわぁ!!うぇ……うぅ。な、なんだライせんせいか。」
「ふふっ、ごめんね驚かせちゃって」
ケラケラと笑うのはこの保育園のひよこ組の先生、ライ
彼はイッテツの気持ちを察したのか優しく寄り添う
「テツはさここに来たばかりでしょ?だったらさ先生とお外で遊んでみる?」
「……っ!いいの、?で、でもせんせいって忙しいんじゃないの、??ウェンくんが言ってたよ!せんせいは忙しいお仕事だから困らせちゃダメって……」
「んふふ、全然テツのためなら忙しくても遊ぶよー!!ほらっ!お外行くぞー」
ライは佐伯と手をそっと繋ぐと外に向かって歩いていく、暖かい日差しと爽やかなそよ風を一身に受ける。
「っわぁ!」
「どうしたの?大丈夫?」
「ううん!へーき。少しびっくりしたの風がつよかったから。」
2人が笑っていると遠くの遊具からてとてと という足音が2つ迫る
「ねぇ!ライー!その子だあれ?」
藤色の髪を揺らして問う その姿にイッテツはすっかり驚いてしまった。ライの肩に顔を埋め小刻みに震える姿はなんだか心が痛む
「先生をつけろって星導、この子はね、最近来た なんて言うっけイッテツ〜?」
ライは星導に答えつつイッテツ自ら答えるように誘導する、たまに顔を覗き込んで様子を伺う
「さ、さいき……い、いってつです。」
顔を埋めたまま答える、答える内にだんだん声が小さくなっていく。
「いってつ?いい名前だね!るべちゃんはね!ほしるぇって言うの!」
「おれはこやなぎろう。よろしくな、いってつ」
イッテツは2人の言葉にパァっと晴れ渡る空のように顔が明るくなっていく
まだどこか恥ずかしそうにイッテツは返す
「よ、よろしくねっ…るべくんっ!ろうくんっ!」
イッテツは2人に不安そうに震える手を差し出す
星導と小柳は互いの顔を見合った。
「これってお友達の握手、?」
「さぁ?わかんない」
いつまでも握り返されないことにだんだん不安になっていくイッテツの目には涙が溜まって行く
ぎゅっと 2人から返されたのは暖かいハグだった
急なことに驚いたイッテツの目には藤色と銀色のそれぞれ綺麗な色の2人の頭が映る。
「てつ!これからよろしくね」
「よろしくな、いってつ」
「……うん!!よろしくねっ!ろうくんっ!るべくんっ!」
3人は早速みんなで手を繋いで園内の遊具へと走っていった。
ーーーーー夕方
日もやや傾いて空が朱色に輝いてきた頃
「星導〜お迎えだよ〜」
「おむかえー!」
1番初めのお迎えは星導だった
ドタドタと元気にライのいる玄関に走っていく。
「るべ〜!ええ子にしてたかー?!」
星導の元気に負けないようなハツラツとした関西弁が腕を広げ星導を待つ。
「うんっ!今日ねー?るべちゃんお友達できたの〜!」
マナに抱きつくと同時に喋り出す星導にライとマナは思わず笑みがこぼれる。
「友達ー?!良かったやん!!てか!今日のお弁当どうやった?」
「美味しかったよ!!かまぼこがお花みたいな形だったからライに自慢したよ」
「ショウくんったらすごく嬉しそうに見せてきて可愛かったですよー」
「そうなん??!でもるベが喜んでたならええわ!ほなるへ、せんせーにまたねーしよか!」
「うん!ライばいばーい!」
マナに抱っこされながら元気よく手を振る、1日中ずっと元気だったのにまだ元気が残っていることにライは子供の体力に尊敬を抱く
「はい!星導もまたあしたね〜」
星導達が園を後にする直後星導は思い出したかのように降りようとうごうごと暴れ始めた
「うわぁっ!どうしたん!?るべ、危ないやん!」
「ごめんなさい!マナねぇ!」
星導はドタドタと保育園の中に靴を放り脱いで走ってく
その先には佐伯と小柳がいた
「こやなぎくん!いってつ!また明日ね!ばいばいっ!」
「うぃ、また明日なほしるべ」
「!る、るべくんも!ま、また明日!」
ニコッ!っと笑い2人とハイタッチしてマナの元にまたドタドタと元気に戻ってくる。
その姿を見てマナは泣いていた
「ライ!見たか!?ウチのるべを…!!あんなええ子に育って……っ!アカン、今日は祝杯をあげなあかん。」
「うわっ、出たよ。確かに喜ばしいけど祝杯まででは無いでしょ、マナ。」
「何言うてんの!他人に不干渉やったるベがやで、?!祝杯やろ!!😠」
マナの親バカ度合いに圧倒されつつライは内心確かに園に来た当時の星導より成長している情緒にとても嬉しく思う。
「まぁ確かに成長を感じるよね。」
「マナねぇー!!早く帰ろ!お腹すいた」
「さよか、ほなライまたなー!」
ーーーーーーーーーーー
星導達が帰った数十分後
「小柳〜お迎えだよ」
「うぃ。」
小柳を呼ぶと淡白な返事が返ってきたすぐにてくてくと足音が聞こえてきた
「はいっ、お母さん来たよロウ」
「母上! おれ今日友達できたよ」
「あら、そうなの?それはいい事ね!」
ライは小柳が自ら友達の話をすることに驚きつつ星導の時と同様子供たちの成長に内心とても喜んでいた。
「ロウくんお友達できたのが嬉しかったみたいで、自分のお弁当も分けてましたよ。ねーロウ?」
「は?ちげーし。てか!勝手に言うなよ!!ライ!」
母親の腕の中でライの発言に抗議するようにジタバタと暴れる。ライは小柳との少々プロレスのような掛け合いをするのが楽しく好きだ。
「こら。ロウ腕で暴れるのはおやめ!落としてしまったら怪我をするのはアナタなのよ?」
「いいよ!おれ強いし。」
「まぁまぁ、ロウも落ち着こうねー?」
「それじゃあ先生今日もありがとうございました。」
小柳母はロウを抱えお辞儀をし園を後にした。
ーーーーー
日も傾いて薄暗くなったころーーー。
「テツ、お母さん遅いね。」
「……うん。」
外より明るくなった教室でライはイッテツと二人でブロック遊びをしていた。ブロック同士がカチっ!っと当たる音が教室によく響いていた。
イッテツの顔を見るとどこか寂しそうな顔をしていたのが心痛く思う。そんなことを考えていると。ドタドタと足音が聞こえてきた
教室の扉をバンッ!と力強く開けて入ってきたのは
桃色のような髪と同じカーディガンを羽織肩で息をしている学生だった。
「っあ、あの」ーーー
ライが口を開くより先にその声は聞こえてきた
「っあの!っおくれて!ごめっ!なさい!!テツ!!ごめんねェ!!予定ではこんなに暗くなるハズじゃなくてさぁ〜!!」
男性にしては少し高い声でハイテンションに捲し立てるその姿にライは何も出来ずにいたライより早く動きだしたのはイッテツだった。
「ウェンくん!!今日お迎え来てくれてありがとう…来てくれないと思っちゃって……ごめんなさい」
「そんなことない!テツ!!こっちこそ遅くなったよね、でもその分今日は僕特製の唐揚げだからネ〜!!」
唐揚げと聞くとテツの顔はみるみる明るくなっていく
「っ!!ホント!?やったー!!!ウェンくんありがとう〜!!」
「あ、あのーテツくんの保護者様ですか、??」
おずおずと聞くと彼は思い出したかのようにこちらに喋り捲し立てる。
「あー!!ごめんね!?センセ〜😭 部活終わりに半額セール凸ったらなんかマジでやばくて、てかセンセーも唐揚げウチ食べくる??」
「え!先生来るの!?」
「いや、行けないよ?!俺まだ仕事残ってるし。保護者さん来たからテツくんばいばいだよ」
「え、う、うぅ。」
そう言うとイッテツはモジモジとしょんぼりしてしまった。確かに唐揚げなどのワードには惹かれるがさすがにそれは何かしらの誤解を保護者間に与えかねない……特に噂好きの緋八家は、!!
「でもさ!テツ?明日もセンセーに会うからその時唐揚げの自慢しちゃお?!お弁当に入れたげるし!」
「いいの!!ウェンくんさいこう!!!」
子供というのは実にチョロかった。ウェンの話を聞いたら目をキラキラ輝かせている、唐揚げ美味しいもんね。
ウェンという学生はイッテツを抱き上げると颯爽と帰ったかと思うと遠くで止まってこちらに振り返ってブンブンと元気に手を振っていたイッテツもそれを真似て彼の腕の中でブンブンと手を振っていた。
思わず笑うと2人してハイタッチしていた、イタズラが成功したらしい顔だった。
「ライせんせーー!またねー!!」
大きな声で手を振るイッテツに手を振り返すと満足したように2人は帰っていた。
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