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16 - あと数センチ、そしてその先。h×r

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2025年04月23日

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ライブの打ち上げ後。

メンバーやスタッフが引けたスタジオの片隅。

残っていたのは、涼架と滉斗だけだった。





「あ〜疲れた〜……って、何それ?」



「これ?打ち上げの差し入れ。お菓子詰め合わせの中にポッキー入ってた。」





テーブルの上には、開けかけのポッキーの箱。





「……なぁ、滉斗。」



「ん?」



「ポッキーゲーム、しない?」



「は?」




唐突すぎる提案に、滉斗は目を丸くした。




「いやいやいや、何を言い出すかと思えば!」



「だって、今2人きりだし。暇じゃん?」



「……お前、ノリでそういうこと言うと、後悔するぞ?」



「ふふ、しないよ。」





その挑発的な笑みに、滉斗はわざとらしくため息をついた。




「じゃあ……やってやるよ。」




1本のポッキー。

両端から咥えるふたり。


カリッ、カリッ……

わずかに近づいていく唇。




「……けっこう、来るな……」




「ね、ドキドキしてきた?」




「……してるのはお前の方じゃないの?」




ほんの数センチ。

相手の吐息が頬にかかる距離。


けれど、涼架は目を逸らさなかった。




「……滉斗、逃げないんだ。」



「逃げたら……負けだろ?」




その瞬間、ポキン——


ポッキーが折れたのは、どちらの唇か分からなかった。




「……っ」



「……あっぶね……キス、するとこだったじゃん……」



「そうだね……もうちょっとで、しちゃってた。」




沈黙。


そして——




「もう1回、やってみる?」




涼架の目が、今度は本気だった。




「今度は、折らずにいこう。」


「……お前さ、本当にズルいよ。」




でも、ポッキーを持つ滉斗の手は、止まらなかった。






つづく


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