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ライブの打ち上げ後。
メンバーやスタッフが引けたスタジオの片隅。
残っていたのは、涼架と滉斗だけだった。
「あ〜疲れた〜……って、何それ?」
「これ?打ち上げの差し入れ。お菓子詰め合わせの中にポッキー入ってた。」
テーブルの上には、開けかけのポッキーの箱。
「……なぁ、滉斗。」
「ん?」
「ポッキーゲーム、しない?」
「は?」
唐突すぎる提案に、滉斗は目を丸くした。
「いやいやいや、何を言い出すかと思えば!」
「だって、今2人きりだし。暇じゃん?」
「……お前、ノリでそういうこと言うと、後悔するぞ?」
「ふふ、しないよ。」
その挑発的な笑みに、滉斗はわざとらしくため息をついた。
「じゃあ……やってやるよ。」
1本のポッキー。
両端から咥えるふたり。
カリッ、カリッ……
わずかに近づいていく唇。
「……けっこう、来るな……」
「ね、ドキドキしてきた?」
「……してるのはお前の方じゃないの?」
ほんの数センチ。
相手の吐息が頬にかかる距離。
けれど、涼架は目を逸らさなかった。
「……滉斗、逃げないんだ。」
「逃げたら……負けだろ?」
その瞬間、ポキン——
ポッキーが折れたのは、どちらの唇か分からなかった。
「……っ」
「……あっぶね……キス、するとこだったじゃん……」
「そうだね……もうちょっとで、しちゃってた。」
沈黙。
そして——
「もう1回、やってみる?」
涼架の目が、今度は本気だった。
「今度は、折らずにいこう。」
「……お前さ、本当にズルいよ。」
でも、ポッキーを持つ滉斗の手は、止まらなかった。
つづく