幸せだった瞬間は、あっという間に壊れ血の匂いに染まった。
(なんでこんなことに)
血の匂いがする。手の温もりが感じない、生きてほしかった。この人たちは、生きてほしかった。なんでなんでどうして。俺から幸せを奪ったやつを絶対許さない。
(絶対に殺す、殺す殺す殺す殺す殺す殺す殺す…)
「お兄いちゃん」
隣に、涙目になった妹がいる。ぎゅっと抱きしめた。この子は、俺が必ず守る。そして、あいつを殺す。そのためなら、俺はなんだってする
(ほんと、俺の人生は、めっちゃくちゃだな)
(疲れた…)
今日も、ブラックだったな。上司に怒鳴られ続き、残業続き。やっとの思いで家に帰ることができる。休みは何ヶ月前にあっただろう。連勤続きそれも、気がついたら一週間ぐらい帰ってないんじゃないか
(でも、家に帰っても一人…さみしいな)
親は、いない。生まれたときから孤児院暮らし、しかも就職先はブラック会社。顔は、平凡中の平凡。スポーツは、昔いろいろあってもうやってない。彼女いない。ここ最近ずっと、ねてない。なんという、人生だ。生まれ変わったら、のほほ~んとした田舎で暮らしたいな。畑でも耕して、犬でも飼って家族と幸せに暮らして
(うわ~、頭がふらついてきた。このままじゃ信号待ちの中ぶっ倒れちまう)
そういえば、ちゃんとした飯をずっと食べていなかったな。俺の体はエナドリで出来ているといっても過言でないほどエナドリで過ごしてきたようなものだ
『ピヨピヨ、ピヨピヨ』
(青だ。進まなくちゃ)
一歩が重い
ふら…ふら…
ここで倒れるわけにはいかない。帰ったら、たまった異世界アニメを見て好きなアイドルがでてる番組を全部見て休み(1日だけの)を満喫するんだ。アイドルのライブにもいきたいな。ヲタ芸は十八番だ。俺の推しであるアイドルやキャラの特徴は白髪の美少女だ。白髪の神秘的な女性に憧れる。結婚するなら、そんな人がいいな。彼女いないけど。なら一層、異世界の方に行くか
『ブーー』
なんか、遠くから聞こえてくる。
『ブーーーーーーーーーーーー』
目の前に、信号を無視したトラックが突っ込んできた。
「あ…」
やばい、死ぬ
『ガッシャーーン』
ドサッ
痛い。痛い。苦しい。寒い。タスケテくれ。目の前が暗くなってきた。意識が遠のいてくる…
『…〜…〜〜〜…〜 』
歌がきこえる…安心するうただ…
意識を戻すと、真っ暗なところにいた。
(……うわー、死んだよなこれ。えーやり残したことだらけなのに、あーあ。…………?てか何この状況、真っ暗なだけで何もない。えっ、まさか一緒これ……)
目の前は、真っ暗で体は動かない。何も見えない、何も聞こえない、何も感じない。どうしたものか。普通死んだら、なんかあると思っていた。例えば、真っ黒い死神が出できて
『お前の魂を貰うぞ』
とか異世界転生の場合は超〜美女の女神またはツルピカの髭の長いおじいさん神様的な人が出てきて
『この世界を救う、勇者になってくれ』
『哀れな魂よ、最強チートを授けよう』
てきなやつ。だが何も無い死んだら終わりか。
すると、目の前に一点の光が見える。それが突然、あたり一面眩しくなった。
(眩しい、なにこれなにこれ)
『○○○○○』
どこから、声が聞こえる
「○○○○○○○○」
(え、なんて)
「おめでとうございます。元気な、双子ですよ。」
「やった…やったー」
助産師の声、男性の声、女性の笑顔そして、 双子の赤ん坊の泣き声が辺り一面響き渡る。
俺まさかの、転生。