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カイランにそれとなくリリアン様の話を聞いてみた。遠くに離れても平気なのか気になっていた。私に悟らせないだけで寂しいのかもしれない。私の言葉に固まり黙ってしまった。物語のよう、と羨ましく見せたけど固まったまま。悪いことをしてしまったわ。話題に出すのは止めたほうがよさそうね。
ペラルゴニウムの束を見つめる。私はハンクに色目を使ったと見えるのね。色目ってどうやるのかしら。湯から上がり私の髪を拭いているジュノに聞いてみる。
「ねぇジュノ、私は毒婦?娼婦?悪女?あとは何かしら…毒婦って毒を持っていると毒婦と言われるのかしら?よく知らないのよね。勉強不足だわ」
ジュノは目を丸くして止まってしまった。
「お嬢様、どこでそのような言葉を覚えてきたのですか!」
あら珍しい、ジュノが声を荒げるなんて。そんなに悪い言葉なの?
「前に書物で読んだのを言っただけよ。陛下に色目を使ったって言われたけど色目ってどう使うの?」
鏡に映る自分の顔を見て睨んだり横目で見たりしてみせる。ジュノは微笑みながら香油を塗り込む。
「先程の言葉は忘れてください。お嬢様には縁のない言葉です」
忘れられないけど、きっとジュノも知らないのよ。ソーマかハンクに聞いてみようかしら。陛下はハンクより年上なのにそうは見えなかったわね。あれを若作りと言うのかしら。髪を乾かし終わり寝台へ横になる。お休みなさいませ、とジュノが言う。扉が閉まるとまた直ぐに開く音が聞こえた。顔を上げるとハンクが立っている。私は起き上がり燭台の蝋燭に火を灯す。
「閣下、いらしてくれたのですね」
ハンクは扉を閉め私に近づく。まだ夜着ではなく風呂上がりでもない。
「何かありましたの?」
ハンクは私から燭台を取り上げ机の上に置いた。私の手を引きソファに座らせ、自身も隣に腰かける。私の手を撫でながら聞いてくる。
「何を言われた?」
私は首を傾げ、しばし考えて答える。
「閣下に色目を使う話ですわ」
ハンクは止まり考えているようだ。
「私が閣下に色目を使っていると、でも私は使い方を知りませんの。毒婦も悪女もよくわからなくて。娼婦は知っています。男性を慰めるお仕事をしている方達ですわ」
ハンクは眉間に皺を寄せ目元が険しくなる。
「あいつがそう言ったのか?毒婦悪女娼婦」
誤解をさせてしまった。書物に出てきた女性が色目を使ったと言われていて、それが毒婦や悪女、娼婦と言われた人物なのだから。
「陛下が仰ったのは色目を使うだけです。他は私の知ってる言葉を言ってみただけなのです。毒婦をご存じ?毒を持つ女性かと思っていたのですが」
ハンクは私の頭を撫で耳をくすぐる。
「あいつの言ったことは気にするな」
そんなことを言われても気になるのよね。ハンクは教えてくれないようだから本屋で答えを探そうと決める。
「心配して来てくださったの?」
ハンクは答えず私を撫で回す。私の脇に手を差し込み持ち上げて膝に乗せる。私はハンクの胸に頭を預け、したいようにさせておく。
「陛下はゾルダークを心配してくださったのです。私がカイランの心を掴んでいれば、閣下を巻き込むこともなかったのですから」
言葉にして悲しくなってくる。女性として魅力がなかったと自分で言っているようなものだもの。こればかりは仕方ないわよ。カイランの好む魅力を持っていなかっただけ。
ハンクは私の顎を掴み上を向かせる。黒い瞳が不安そうに私を見つめている。
「俺では不満か?」
そんなこと言ってないわ。そんな風に聞こえた?私はハンクの頬に触れ、黒い瞳を見つめる。
「そんなこと思ったこともないですわ。閣下とこうしていると満たされます。不満ならこんな気持ちになりません」
ハンクは微笑み私と口を合わせる。私は頭を抱き込み、口を開け舌をねだる。互いの舌を絡ませ唾液を流し込まれ飲み込む。お尻の下の陰茎が存在を主張する。私は腰紐を外しトラウザーズを下げ陰茎を取り出す。もう大きくて硬い。私は股がり下着をずらして秘所へ陰茎を当てる。まだあまり潤みが足りないが早く中に欲しかった。そのままゆっくり腰を落とす。痛いのか上からハンクの声が漏れる。でも欲しくて腰を少しずつ落としていくと、大きな手が私の腰を掴み下へ押し込んだ。陰茎が奥へ当たり体が震え息が止まる。私はハンクに抱きつきなすがままになる。
まだ濡れが足りないが中はきつく締め付けてくる。我慢できずに押し込んでしまったが、これの中は悦んで震えている。いきなりの衝撃に声も出せず小さな口を開けて固まっている。その口に食らいつき、掴んだ腰を上下に動かす。動かす度に口が離れるが舌は触れあっている。喘ぎ声が俺の口へ流れて聞こえる。それにも滾り自身の腰も動かし中を突いてやる。もう中は濡れそぼり、俺の好む泥濘に浸る。口から飲み込みきれない唾液を垂れ流す様は美しい。空色の瞳が俺を捉えて見つめる。お互い服を着たまま秘所で繋がる。最奥を突き刺したまま腰を回すと悦んで達している。その締め付けを乗り越え小さな体を上下に動かす。淫らな音が秘所から流れる。奥に刺さる度声を漏らす。ずっと達しているのか締め付けが終わらない。我慢できず腰を激しく動かし最奥へ注ぎ込む。細い体を腕の中へ抱き込み注ぎ続ける。嬌声も止み腰を持ち上げると子種が垂れ出す。もう服は濡れているから問題はない。これは下着を横にずらしただけらしい。子種が下着に溜まるな。横抱きにし抱き締める。
「閣下、服」
俺の服が汚れていないか聞いているらしい。片手で抱き上げトラウザーズを上げる。扉を叩きソーマを呼ぶ。着替えを持ってこい、と扉越しに命じる。抱いたままソファに座る。少し時間がかかるだろう。それまでこうしていればいい。
「色目を使ってみろ」
空色の潤んだ瞳が俺を見つめる。色目なぞ知らんだろうに、使っている自覚はないらしい。
「使えません」
それでいい。何も知らなくていい。小さな口を塞いで、扉が鳴るまで今より唇を赤くしてやる。
風呂に入りソーマが差し出す強い酒を一気に呷る。喉が焼けるように熱くなる。注げ、と器を差し出す。
「お話をするだけでは?」
ハンクは答えず酒を呷る。そういう日もある。
「俺に色目を使ったと言われたようだ」
端から見たらそう見えて当然。若い娘に骨抜きにされている主を見てソーマは頷く。
「少し控えませんと、まだ早い時間でしたよ」
近くのカイランが起きているかもしれないとソーマは話す。
「それならそれで構わん。孕めば知るんだ」
キャスリン様は自分から告げたいと話していたがとソーマは思い出していた。あの頃は怒りが勝っていたが今は朗らかに過ごしていらっしゃる。今の心中はどのようなのか。
シャルマイノス王宮は城下を見下ろせる位置にある。王宮の庭園が見えるテラスに座り、一人夜空を眺める国王。王家の秘薬を渡すのだから、その原因を見ても許されるだろうと、偵察させていた騎士から日課を調べさせ、勉強までして入り込んだゾルダークの庭園で見たのは、女性とも言えない少女だった。体のせいだろうか幼く見える。少しつり目の空色の瞳は勝ち気な印象を持たせて形のよい小さな鼻に唇は赤く、俺の手でも掴めそうな小さい頭。あいつは少女趣味だったのか。セシリスはブライ伯爵の長女で俺と同じ年のきついつり目の夢見がちな女だった。学園の頃は陰から俺を見つめ、近づく女に嫌がらせをする面倒臭い令嬢。当時ハインス公爵令嬢の現王妃ジュリアンと婚約期間中の俺にとって何かと煩わしい存在だった。目が合ったり挨拶の返事をしただけで俺がセシリスに惚れてると思い込み、ジュリアンに絡む。わざとぶつかり抱きつく、愛の手紙を送り続ける。面倒臭い令嬢。ハンクは俺よりも三つ年が下でまだ婚約者が決まっていなかった。それをいいことに当時のゾルダーク公爵と裏取り引きをして、ブライ伯爵を丸め込み婚約させて婚姻まで進めた。あの女を引き取ってくれたゾルダークにジュリアンは今でも感謝している。その結果、ゾルダークが今の状況になったのは、まさしく俺の責任だ。消しておけばよかったな。全くなんて女だ、話を聞いて戦慄いたぞ。あんな噺まで作って、相当ハンクを恨んだんだな。俺への呪いかよ、怖いなぁ。国を滅ぼしてやる…って夢に出てくるかもしれん。ハンクと話したことはないが、俺に対してあの態度は俺との密約を知っているのかもしれない。当時のゾルダーク公爵の提示した条件は『王家はゾルダークへの不当な王命を禁ず、不当な不敬罪を禁ず』そんなことでいいならと印を押してしまった。効力は俺の代だけだから軽い気持ちで了承したが、俺の後押しであの女と婚姻したなんて怖くて言えない。その上あの子をどうにかしようと俺が動き、老公爵から当時の真相を聞いたら、この国滅ぼしてあの子と隣国へ行ってしまうな。あんな顔で女を見つめるなんてハンクじゃない。日差しが強いからなんだってんだ。日傘差してたろ。あんな怖い顔して怒ってよ。大人気ない。しかし、あの子はハンクの顔が怖くないのか?年々酷くなっているのに、微笑ましく話をしてさ。下心無しでハンクに笑いかける女なんて今までいたか?あの小さな体を好き勝手に蹂躙してるのか…羨ましい。無垢な少女を上級指南書の通りに?それでもハンクに好意を寄せてる?羨ましい…一度見せて欲しいな…殺されるな。余計なことはしない。カイランには同情するが、怖いからハンクの邪魔はできない。それが俺の償いだ。
ドイルは手の中にある読みかけの上級指南書を読むため部屋へと戻る。