「 友達以上恋人未満の関係なんて捨てちまえ 」
俺にはたった1人だけの友達がいる。
そいつは俺以外にも友達が当たり前のように居る。
もちろん俺以外と話すことだってあるし放課後帰ったりしている。
そんな彼女に俺はずっと友情とは別の感情を抱いている。
桃「…あ、りうら?帰ろうよ〜」
赤♀「ぁ…まって!?りうら日直じゃん…!?」
赤♀「手伝ってー!」
ずっと小さい頃から過ごしてきた彼女にとってはこれくらいのスキンシップは普通になってきているのだろう。
他の男はまだしも俺に関してはずっとずっと一緒だったから尚更。
そんな彼女に俺は友達として今日も受け止め続けるだけ。
赤♀「ありがと〜〜っ!」
黒板消し、日直日誌の手伝い。
なんて手伝いをしていたらすっかり遅い時間になっていた。
教室の窓から見える外の景色は真っ暗で街にぽつんぽつんと置かれた街頭が寂しく光を放っている。
桃「よし、帰ろ〜」
赤♀「今日もりうらのおうちまでね!」
桃「はいはい…」
…でも、俺だけが見えるりうらの一面っていうのがたくさんある。
今みたいなわがままなとこ、実は気の強く誰かが誰かに嫌がらせを受けたら放っておけないとこ。
人に寄り添うことが大得意で悩み相談とか本当はたくさんしてあげたいとこ。
ひよこが大好きなとこ。照れると口が悪くなるとこ。
今出しただけでもたくさん出てくるしもちろんこれの他にもりうらが見せていない俺。
………と親族だけが知っているりうらの一面。
桃「……」
でも最近は俺にも見せていない「友達」だけが見える一面があるっていうことをよく耳にする。
クラスメイトがよくりうらの話をする。
「りうらちゃんって本当に可愛いよね。よく甘えてくるし」
なんて俺の知らない話をしていたのが頭に思い浮かんでくる。
俺に甘えてくるなんて無い、こんなにわがままなのに結局やってほしいことは自分で完結してしまう。
完璧主義者で負けず嫌いのりうらだからこそ甘えるなんてことはしないと思ってた。
心がもやもやしてしょうがないまま玄関口へ2人足揃えて向かう。
外に出ると日中の暑さは過ぎ去り、少し冷え込む秋の前触れを感じさせる。
赤♀「え、さむ。」
桃「寒いの…?(笑)」
隣の彼女は口元に手をやって息を「はぁ…」と吹く。
そんな行動を横目に俺の持ってきておいたカーディガンを取り出し彼女に羽織らせる。
赤♀「わっ……」
赤♀「えへ…っ、ありがと…」
優しくふにゃっとした笑みを浮かべてこちらに礼を言ってくる。
…そんな顔されたら俺もう、わかんなくなっちゃうって…
なんて自分で自分の理性を抑え込み、一歩一歩前へ進む。
赤♀「今日のないくん黙り込み過ぎじゃなーい?」
赤♀「ほらもっと喋ろうよ〜」
俺がようやく落ち着いてきたかと思ったら沈黙だったその間を引き裂くように口を開く。
かと思えば俺の腕にぴたりとくっついてくる。
…だめだ、無理すぎる。
桃「…ねぇ、りうら。」
赤♀「ん?」
桃「ごめんね。」
そう吐き捨てた後、彼女の思考の処理が追いつく前に彼女の口を奪った。
end
コメント
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え?え?え? これで終わりなんすか?? めっッッちゃモヤモヤするんですけどッ!?🙄 🐤ちゃんの一面がいちいち、可愛いんだよなぁ~っ、......💕