今は夏休み中
ここ数日同じ夢を見る
背が低い、オレンジ色の猫っ毛のやつが振り返って、俺の名前を読んでくる。そして大きめの声でトスを上げてくれとせがんでくる。夢はだいたいそこで終わる。顔は目から鼻の頭まで靄のようなものがかかっていて、どうしても見えない。何となくドコか出会ったような感じがする。だがどうしても思い出せないのだ。その日は珍しく親の呼ぶ声で目が覚めた。母親はこんな遅くまで寝てるなんて珍しいと笑いながら言っていた。母親の言葉を適当に流し、朝飯に箸をつける。今日は日曜日で部活も休み。なので時間も気にせず、ゆっくり食べた。
朝飯を食べ終わり、着替えをしてランニングに向かった。ランニング中も夢のやつが気になって集中出来なかった。アイツのことを、思い出せずなにも知らないままだと何故か恐怖が湧く。
やがて時間が過ぎ夜になる。寝たら多分またあいつに会うだろう。どうしてもそれが気になってしまい、なかなか寝付けなかった。あいつがこのことを知ったら笑うのだろうか。このまま行くとなぜだかもう、夢のやつに会えなくなる。何故かそんな気がした。そう思えてしまった。
今日は夢を見なかった。
それに昨日見た夢の内容もおぼろげにしか覚えていない。オレンジ色の猫っ毛のやつがなにか言っている。それしか覚えていない。声も、何もかも忘れてしまいそうだった。それと同時にそいつを忘れる前に探そうと思った。今日は午前練習だったので、練習が終わってしまえば午後は予定はない。それを利用してそいつを探すことにした。普段、俺は必ずと行っていいほど自主練をするのでチームメイトや先輩である菅さんも不思議がっていた。それでも俺はさっさと着替えて部室を出てあいつを探しに行った。殆ど覚えていないが直感で探すことにした。なんとなくで山に入り、山を登った。そこは人がほとんど通らないはずなのに、道は整備されていた。整備されている道を進み、頂上あたりに到着した。そこである手紙を見つけた。
『影山へ
お前残して先に逝ってごめんな?
また会えたら一緒にバレーやって
てっぺん目指そうな!
日向より』
短文だがその名前で思い出した。
日向、俺の相棒、孤独の王様から抜け出させてくれたやつ。
そんなやつのことを今まで忘れていた。
そして忘れていた記憶も思い出した。
坂の下で肉まんを買い食いして帰ってたときに、トラックが来ていた。
そこには信号もなく、運転手も気づいていない。
もちろん俺も気づいていなかった。
日向の呼ぶ声が聞こえたと同時に背中に衝撃が走った。
そのまま俺は、体制を崩し倒れた。
後ろを見てみるとそこには真っ赤に濡れた日向が居た。
なにが起こったのかわからず呆然としてしまい、体から力が抜けそのまま頭を打って気絶した。
目が覚めたとき複雑な感情を失っていた俺は日向の元へ向かった。
そこには沢山の管が繋がれた日向が居た。
俺はただただ泣き叫んだ。
なんとか正常に戻るために今感じる感情を数えた。
気が狂っていた俺にはそんなことしか思いつかなかった。
感情を数えていくうちに俺の体はドンドン冷えていった。
日向がくれた熱も全部なくなっていくような気がした。
そこで今まで目を覚まさなかった日向が目を覚ました。
「かげやま手紙残したいんだ。紙取ってくんね?」
言われたままに俺は紙を取り日向に渡した。
日向は震える手でなにかを書いた後、俺に手渡した。
コレは山の頂上にある祠に入れてほしいと言われた。
中身は今は見ちゃだめだと言われた。
気になってはいたものの見ないと約束したので、封筒をポケットに仕舞った。
それを確認すると日向はゆっくりと目を閉じた。
そして息を引き取った。
全部思い出した。
そして夢のやつは日向。
日向はもう死んでいるからもう会えない。
永遠に会えないのだ。
俺は山の中をひたすら走った。
周りなど気にせずに走り続けた。
そこで崖のような場所に出た。
ここで死ねばあいつに、日向に会えるだろうか。
そう考え崖の下を覗く。
今いる場所から下まで結構な高さだった。
ここから落ちたら確実に死ねるだろう。
そう思いながら一歩進める。
_影山
遂に日向の幻聴まで聞こえるようになっていた。
_影山、まだ生きて?
_今から記憶を消す。バイバイ影山
_もう永遠に会えないはずだ
_バイバイ
日向は確実に呼んでいた。
俺の名前を。
日向の『バイバイ』を最後に俺の記憶はなくなっていた。
目を覚まし目の前にはオレンジ色の髪の少年がいる。
「あなたの名前は?」
終わり
追記2022年8月25日
↓解説
えっと最後の方でも影山が思い出してたんですけど
変人コンビが二人で帰ってたら交通事故に合い日向がなくなっちゃったんですよ
影山はショックで記憶を塞ぎ込んでた
でもやっぱり忘れられなくて夢に出てきた
でもドンドン夢の中でも忘れていたからこのままだと会えなくなるんじゃって思ってた
でどうにか思い出すために直感で探しに行き思い出す
全部思い出した影山は日向のところに行こうとするけど
そこには幽霊になった日向がいて幽霊の日向が死のうとした影山の記憶ごとけす
そしたらもう自殺する必要がないし自分のことも覚えてないから一石二鳥みたいな
でも影山は何回も思い出すから無限ループにはいっちゃうって言う感じです
すみません解説乗っけ忘れてました
以上バイバイ!
コメント
1件
これって永遠に続く感じですかね???二人の関係がもう、最高ですね…! 好きです!((真顔