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「……ぅ、ん……っ」
那央は、眉をひそめながらゆっくりと目を覚ました。
カーテンの隙間から差し込む朝の光が、容赦なく目に入る。
(……あれ、なんで、ベッドで……)
ぼんやりとした頭。
重たいまぶた。
そして、ジンジンと火照る腰と太もも。
「……っ、あ゛……」
思わず吐息を漏らした瞬間、
身体にじわっと広がる鈍い痛みと、どろっとした感触。
(……っ、そ、そうだ、昨日……)
ベッドの上、掛け布団の中、まだ身体がべたついていて、
動こうとするたびに肌がピリピリした。
(や、ばい……あまぎ先輩……あんなに……っ)
「ん、起きた?」
リビングからふわっと漂ってくる、トーストの匂いと共に、
軽快な足音が近づいてくる。
「おはよ、コンちゃん。調子はどう?」
「……っ、最悪、です……」
那央は毛布を頭までかぶって、声を潜めた。
「うん、声が元気なら良さそうだな。てか、顔見せてよ」
「やだ……ぜったい今、変な顔してる……っ」
「昨日のあの顔よりはマシじゃない?」
「っ……バカ!! やめっ……っ、ほんとに……っ」
ぴしゅっと枕を投げようとしても、腕に力が入らない。
「てか、起きれない? 腰とか……重い?」
「……っ、しんどい、むり……っ、昨日のせいで……っ」
「……ごめん、ちょっとやりすぎたかも」
悠馬は少しだけ申し訳なさそうに笑って、
ベッドの端に腰掛けると、優しく那央の額を撫でた。
「でも、ちゃんと最後まで可愛かったよ。全部」
「……うるさい……っ」
「はいはい、朝ごはんはベッドまでお届けするからね、コンちゃん姫」
「……もう黙ってて……ばか……」
布団の下で顔を真っ赤にしながら、那央はふてくされたように目を閉じた。
でもその口元は、ほんの少しだけ緩んでいて――
(……なんで……そんな優しいんだろ)