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#⛄️
kaede🍁
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その夜。
目黒は一人で、静かな部屋にいた。
何ヶ月経っても。
阿部のいない生活には慣れなかった。
もう一度会いたい。
ただ、それだけだった。
目黒はキッチンから包丁を取り出した。
そして――
自分の胸に刺した。
___________
次に目黒が目を開けた時。
そこは自宅ではなかった。
音もなく。
光もない。
どこまでも暗い世界。
「……ここ、どこ……。」
身体を起こした瞬間。
遠くから。
コツ。
コツ。
足音が聞こえた。
誰かが歩いてくる。
黒いドレス。
手には、身体よりも大きな鎌。
長い髪が揺れる。
その顔を見た瞬間。
目黒の目から涙が溢れた。
「あべ……ちゃん……?」
「……めめ。」
ずっと。
聞きたかった声だった。
「あべちゃん……!」
目黒が駆け寄ろうとすると。
「めめ!」
阿部の強い声に止められた。
「どうして!」
怒っていた。
でも。
阿部の目にも涙が溜まっていた。
「どうしてこんなことしたの!」
「だって……。」
「俺がどんな気持ちで来たと思ってるの?」
阿部の手が。
大きな鎌を強く握り締める。
「最愛の人の命なんて……。」
声が震えた。
「狩りたくなかった。」
「……。」
「めめのところに迎えに来る日がこんなに早いなんて思わなかった。」
とうとう。
阿部の目から涙が落ちた。
「こんな再会、したくなかったよ。」
「……ごめん。」
「謝ってほしいんじゃない。」
阿部は泣きながら目黒を叱った。
「もっと生きてほしかった。」
その言葉に。
目黒も泣いた。
「あべちゃんがいないのに……どうやって?」
「……。」
「俺、頑張ったよ。」
仕事にも行った。
ご飯も食べた。
眠ろうともした。
何ヶ月も。
阿部のいない家へ帰った。
「でも無理だった。」
目黒が阿部を見る。
「俺には、あべちゃんしかいなかった。」
「……めめ。」
「会いたかった。」
阿部は。
何も言えなくなった。
目黒は阿部の姿を見た。
黒いドレス。
大きな鎌。
「あべちゃん。」
「何?」
「死神になったの?」
阿部は少しだけ困ったように笑った。
「……うん。」
「あの日から?」
「そう。」
人の命が終わる時。
その魂を迎え。
次へ送り届ける。
それが。
今の阿部の仕事だった。
目黒は少し考えてから言った。
「じゃあ俺も死神になる。」
「……え?」
「俺もあべちゃんと一緒にやる。」
「駄目。」
阿部は即答した。
「なんで?」
「簡単に言わないで。」
阿部の表情が悲しくなる。
「死と向き合い続ける仕事なんだよ。」
昨日まで笑っていた人。
まだ生きたいと泣く人。
大切な人を残していく人。
そんな魂を。
何度も迎えに行かなければならない。
「辛いよ。」
「……。」
「それに死神になったら、転生できなくなる。」
目黒が阿部を見る。
「普通なら、いつかまた別の命として生まれられる。」
「でも死神になるって決めたら、それを捨てることになる。」
阿部は目黒へ近付いた。
「だから、めめは転生して。」
「嫌だ。」
「めめ。」
「嫌。」
目黒は一歩も引かなかった。
「じゃあ、あべちゃんは?」
「……俺はもう死神だから。」
「だったら俺もなる。」
「だから――」
「転生しても、あべちゃんはいないんでしょ?」
阿部が黙る。
「違う人生になって。」
「違う場所に生まれて。」
「あべちゃんのことも忘れて。」
目黒の目から涙が落ちた。
「それを俺の幸せって言わないで。」
「……。」
「俺はあべちゃんといたい。」
「めめ……。」
「死神の仕事が辛いなら、一緒に辛くなりたい。」
「……。」
「一人でやらせたくない。」
阿部は俯いた。
「俺のせいで、めめの次の人生までなくなるんだよ……。」
「違う。」
目黒は阿部の手を握った。
冷たい。
それでも。
懐かしい手だった。
「俺が選ぶの。」
「……。」
「今度こそ、ずっと一緒にいたい。」
阿部の涙が。
握られた手へ落ちた。
「……ずるい。」
しばらくして。
阿部が呟いた。
「何が?」
「そんなこと言われたら……。」
泣きながら。
少しだけ笑った。
「俺、めめに弱いの知ってるでしょ。」
目黒も泣きながら笑った。
「知ってる。」
「もう……。」
阿部は大きな鎌を消した。
そして。
目黒を強く抱き締めた。
「……わかった。」
目黒も阿部の身体へ腕を回す。
久しぶりだった。
ずっと。
この温もりを探していた。
「あべちゃん。」
「何?」
「今度は離れないで。」
阿部は目黒の胸元へ顔を埋める。
「……めめもね。」
「うん。」
「死神になったら、途中でやっぱり嫌とか言えないからね。」
「言わない。」
「何百年でも、何千年でも働くかもしれないよ。」
「いいよ。」
「俺とずっと一緒だよ。」
その言葉に。
目黒はようやく。
心から笑った。
「それがいい。」
阿部は困ったように。
でも。
少し嬉しそうに笑った。
そして二人は。
生きていた頃には叶えられなかった約束をする。
来世ではなく。
いつかでもなく。
これから先。
終わりのない時間を。
二人で歩いていくことを。
コメント
5件
毎話読ませていただく度に思うんですが、なにをどうしたらこんな素敵な物語が思い付くんでしょう🤔❔みら様本当に凄いですね…😳✨

今晩は⭐️ 一気に読みました。 悲しい話ではあるけど あちらでまた会えて 押し問答があったけど又一緒に入れる どんな事があってもいつも一緒が2人には幸せなんだろうな😄 続き待ってます♪
凄い悲しい話しだけどある意味羨ましい、生も死も共に居たいと思える最愛の人と出会って愛し合って苦しい程の想いってなかなか出会えないから…この作品が終わった時のメンバーの鑑賞会とのギャップで癒されます。