昼休みの中庭には、まだ文化祭の余韻が残っていた。
教室の窓からは、グラウンドで笑い合う生徒たちの声が聞こえてくる。
その穏やかな空気の中で、葵は凛の机に身を乗り出した。
葵:「ねぇねぇ、凛。今週の図書委員、金曜も残るんでしょ?」
凛:「うん、そうだけど……なんで?」
葵:「じゃああたしも一緒に残ろっかな〜って思って!」
凛:「……別にいいけど」
そう言いながらも、凛の声は少し柔らかい。
文化祭以来、二人の距離は確実に近づいていた。
放課後に図書館で話すのが、いつの間にか二人の“習慣”になっている。
葵:「ふふっ、やった。あ、そういえばさ──」
葵が楽しそうに話し始めると、凛の視線も自然と彼女に向かう。
笑い合って、冗談を言って、些細なことで顔を見合わせる。
そんな時間が、何よりも心地よかった。
(……この時間が、ずっと続けばいいのに)
ふとした瞬間に、凛の胸にそんな想いがよぎる。
自分でも気づかないくらい自然に、葵と過ごす時間が特別なものになっていた。
その日の放課後。
凛は図書館へ向かう途中、廊下でクラスメイトの男子・中村に呼び止められた。
「白石さん、ちょっと……話、いいかな?」
その声に、凛は少し驚いて足を止めた。
中村は同じクラスの明るい男子で、文化祭のときもよくクラスを盛り上げていたタイプだ。
凛:「え、うん……なに?」
「……ここだと人多いし、ちょっと裏庭来てくれない?」
その表情と声色で、凛は何となく察してしまった。
胸がざわつく。でも、逃げることもできず、彼のあとをついていく。
──そして、その裏庭へと続く廊下の角。
図書館に向かっていた葵は、偶然そこを通りかかっていた。
(……ん? 凛?)
何気なく足を止めた葵の目の前で、
中村が真剣な顔で凛の前に立ち、深呼吸をするのが見えた。
「白石さん……! 俺、ずっと前から白石さんのことが好きでした!」
空気が一瞬、止まった。
放課後の廊下の静けさの中に、男子の真剣な声が響き渡る。
(……え……)
角の影に隠れた葵の心臓が、ドクンと跳ねた。
まさかこんな場面に遭遇するとは思っていなくて、声も出せない。
凛:「……ごめんなさい」
少し間をおいて、凛の静かな声が聞こえた。
はっきりとしたその言葉に、中村は目を見開いた。
凛:「……好きな人がいるから」
葵の目が、驚きで大きく開かれる。
(……好きな人……!?)
その瞬間、自分でも抑えられないくらい胸の奥がざわめいた。
ショックとか、嫉妬とか、いろんな感情がぐちゃぐちゃになって、
気づけばその場を離れていた。
凛は、葵がそこにいたことに気づいていない。
でも、葵の胸の中では、もう止まらない気持ちが渦巻いていた。
さてさて、これからどうなっていくのでしょうか、、!皆さんも予想してみてね~
じゃ、また次回!♡、コメント、フォロー、よろしくお願いします。
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