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〇公園
三人の男が漫才をしている。
金髪でイケメン。ホスト風のレイ(23)。
ビジネススーツで銀行員風のケン(24)。
袈裟を着た、恰幅の良い僧侶姿のテツ(25)。
10人ほどの人が足を止めて漫才を観ている。
梨沙と結城も漫才を観ている。
× × ×
梨沙、結城、ケン、レイ、テツが雑談している。
梨沙「貫禄ある思たら、ほんまもんのお坊さんなんや」
テツ「私の実家は京都の寺で、仏教大学に進学したあと、お笑いに目覚めました」
ケン「僕は、元市役所職員。就職したけど夢が捨てられへんねん」
レイ「俺は、芸人ていうより俳優志望」
梨沙「どこの人?」
レイ「山口。東京に向かう[途中下車]って感じかな」
ケン「僕らは事務所に所属してへんから、コンクールやオーディションで頑張るしかないんや」
梨沙「養成所とか入らへんの?」
顔を見合わせる、ケン、レイ、テツ。
梨沙「どしたん?」
ケン「それがな」
〇公園(夜)
一年前
漫才をするケン、レイ、テツ。
オチと同時に、山田(30)が拍手する。
洒落たネクタイを締めて、垢抜けた雰囲気の男。
山田「面白かった! どこで仕事してるの?」
ケン「ショーパブとか、仲間とのライブです」
山田「事務所に入って無いんだよね?」
ケン「もうすぐオーディション受けます」
山田「君達なら今すぐ舞台に立てるよ。ウチに来ない?」
山田が名刺を出す。
『ミラクル・プロダクション・スカウト部部長』の文字。
山田「ウチはモデル事務所だから知らないと思うけど、業界では有名だよ」
テツ「モデルになれると思いませんが」
山田「実はね。お笑いブームに乗ってコメディアンと契約することになったんだ」
レイ「契約してくれるんですか?」
山田「いまスカウトが全国を廻ってる。関西は本場だから期待したけど、こんな凄い才能に会えるなんて!」
ケン「スゴイって……」
山田「凄いよ! でも本場だけに競争が激しい。大手事務所には、若手でも実力者がゴロゴロいるだろ」
ケン「はい」
山田「だからウチに来い! 寮があるからすぐに上京できる。テレビ局との太いパイプもある。後押しは万全だ」
ケン「よし、やるで!」
レイ「ああ!」
テツ「よろしくお願いします」
山田「じゃあ、説明するね。君達は『特待枠』だから寮費は無料だ。ただし、」
〇公園
ケン、レイ、テツの話を聞く梨沙と結城。
ケン「ただし、の後がアカンかった」
テツ「レッスン料・登録料・紹介料・写真代など、一人、百万円請求されました」
梨紗「3人で三百万?」
レイ「俺たち金無いし、って言ったら、ドリーム金融を紹介されて」
ケン「そやけど、東京行ったら『ミラクル・プロダクション』なんか無かった」
テツ「借金は実家まで取立てが行って、結局、親が払いました」
レイ「俺は親も払えなくて、ケンの両親に借金したまま。ところがさ!」
レイ「そのスカウトとドリーム金融の女社長が、同じ車に乗ってるトコ見たんだよね。一瞬だったけど間違いない」
梨紗「 それってつまり?」
レイ「俺たちは、ドリーム金融から三百万円騙し取られたんだ」
テツ「ドリーム金融は『顧客の問題には関与しません』の一点張りです」
ケン「こっちは金を貸しただけ。どう使おうが関係ない、て言いたいんや」
梨紗「兄ちゃんが相談した経営コンサルタント、高岡さんが絵を買うた画廊、三人をスカウトした芸能事務所、ぜんぶ、ドリーム金融が金貸すために作った偽物なんや。あの詐欺師」
結城「パチンコ必勝法もやで」
梨紗「あ、そうか。結城さんも被害者や」
梨紗「他にもいっぱいおるんちゃう? あんな女、死んだらエエのに」
結城「死なれても困る。騙しには騙しや」
梨紗「そうや、ウチら六人であの女に復讐や。絶対、騙したる!