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「顔をちょっと隠しているからって、みんな気付かないんでしょうか?」
「今日は沢山集まってるし、もしバレても……何とかなるよ!」
手を引かれるがまま付いていくと、いろんな種類の出店があって、お祭りの割には優しい値段だった。
「僕これ好きなんだ。きっと日本も好きな味なんじゃないかな、一本買ってあげる」
「これは、焼きとうもろこしですか」
砂糖と醤油だろうか? 全体的にあまじょっぱくて、焦げた砂糖が飴みたいになっていて美味しい。
「ちょっと食べにくいかな?」
「確かにそうですね。でも、美味しさに比べれば些細なことですよ!」
「そう? なら良かった!」
祭りもクライマックスに入ってきて、打ち上げ花火が空で花開き始めた。赤、金緑など、色とりどりだ。
とは言っても、長い時間飛ばし続けるようなものに比べたら、比較的質素なものだった。
でも、凄く綺麗だった。日々の苦しみから救われたようにも感じた。それはきっと、台湾が隣に居るからだ。
「その……もっと華々しいのを想像してたと思うんだけど、あくまでこの後上げるランタンがメインでさ」
「いや、凄く綺麗です。これまで見てきたどれよりも」
「それは流石に言い過ぎだよ!」
台湾の目を見つめていると、目を逸らされてしまった。そのまま両手を取った。夜の冷たい風の中、その手だけは温もりがある。
紅色に染まった頬が花火に照らされていて、 とても可愛い。
「……これから飛ばすランタンにはね、願い事を書くんだ。ねぇ、日本は何を書くの?」
「正直、迷いますね。沢山ありますから」
「うん、そうだよね。僕にも……沢山ある」