テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
「 夢をみせて - Cö Shu Nie 」
🎸 ✖️ 🍫
夕暮れの公園。
オレンジ色の光が二人を包む中、
いつもなら他愛もない話で笑い合うはずの時間は、
重たい沈黙に支配されていた。
誰が見ても、これから何かが終わるのだと分かるほどに。
やがて、うりがゆっくりと口を開く。
ur「ごめん。
ur「俺…夢があるんだ。
ur「だから…
その言葉だけで、えとはすべてを悟った。
彼はずっと夢を追いかけてきた。
誰よりも努力して、
何度転んでも立ち上がってきたことを、
彼女は一番近くで見てきた。
だからこそ、止められない。
止めてはいけない。
えとは精一杯笑った。
et「うん。今までありがとう。
うりは何も言わず、そっと彼女の手を握る。
何度も繋いできた手。
初めてデートした日も。
喧嘩をした帰り道も。
仲直りした夜も。
その温もりを、二人とも忘れられなかった。
et「楽しかったよ。
1人の笑顔と
1人の涙。
この時間はあまりにも奇妙だった。
次の瞬間。
うりは彼女を引き寄せて
泣きながらキスをした。
短い口づけ。
それなのに、
今まで交わしたどんなキスよりも
切なくて。
愛おしかった。
唇が離れると、うりは耳元で囁く。
ur「俺のこと忘れないで、
その一言で、
えとの中に張り詰めていた感情が一気に溢れた。
et「ふざけんな!
乾いた音が夕暮れの公園に響く。
えとの手が、彼の頬を強く叩いた。
涙でぐしゃぐしゃになった顔のまま、
彼女は叫ぶ。
et「忘れられたくないんなら、
et「テレビとか雑誌にたくさん載ってよ!!
肩を震わせながら、
息を詰まらせる。
et「一緒に来いってすら言えないのに….!!
その叫びには怒りではなく、
行き場のない愛しさと悔しさが詰まっていた。
本当は止めてほしかった。
『 一緒に来よう 』
その一言だけで、
何もかも捨ててついて行けたのに。
うりは何も返せない。
夢を選んだ自分も、
彼女を手放す自分も、
全部許せなかった。
静かに一歩近づく。
泣き続けるえとの頬に触れると、
その涙を親指で優しく拭った。
悲しそうに目を細め、
耳元へ顔を寄せる。
そして小さく囁いた。
ur「だいすき
たった四文字。
それだけで、
えとの涙はさらに溢れた。
et「ばかっ、そんなのいらない…!!
et「ふたりの”夢”をみせてよっ、
夢を選んだ彼。
恋を選びたかった彼女。
二人は最後まで、
お互いを愛したまま手を離した。
コメント
3件
まじ天才すぎる 間がまじでいい
つな缶のなかでちゃんと生きてます。 更新遅いのは許して(
んー、今回のエピソード、すごく切なかったです…。夕暮れの公園のオレンジの光、沈黙、そして「夢があるんだ」の一言で全てが変わってしまう瞬間。えとの「ふざけんな!」からの「テレビとか雑誌にたくさん載ってよ」って叫び、あれは怒りじゃなくて行き場のない愛情だなって思いました。最後の「ふたりの“夢”をみせてよ」が、タイトルとも綺麗に繋がってて、余韻がすごい。二人の選んだ道が違っても、お互いを想う気持ちは本物だったんだなと感じさせる、とても繊細な別れの描写でした。
♥♥♥
11,536
240