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バイクは数分後、オフィス外を突き抜けファッションビルが立ち並ぶ大通りに着くと、ある大型デパートの前で止まった。
「この最上階のビアガーデンで吾妻団体のショーが行われるよ」
「ビアガーデン……」
「まあ、未成年の君は入れないから、俺が連絡してあげよう」
そういって、ヘルメットを外して顔を数回降った瞬間だった。
大通りを歩いていた女性たちから黄色い声が上がった。
「あ……やば。日本に帰国したことニュースに流れてたっけ」
黄色い声と共に押し寄せる女性ファン。
もしかして彼の行動をマークしていたのか、車で追ってきているファンもいる様子。
「私、自分であとは行けます! ありがとうございます」
「……ごめんね。久しぶりに要とデートだから、行かせてもらうよ」
再びヘルメットをかぶり、数回ふかすとバイクにまたがり消えてしまった。
少女漫画ばかり見ていたから、自分の国のスポーツ選手さえもよく知らなかったのは私が本当に無知で悪い。
私は本当に、自分の興味のないことには耳も目も閉じて見ていなかったんだ。
小さな世界の中、恋愛漫画の自由さに憧れた。
自分がどれだけ井の中の蛙だったのかを知る。
私もたまに行くファッションビルの屋上。カフェがあるのは知っていたけど、夏はビアガーデンになるのは知らなかった。私は水咲と来たとしても流行り物の食べ物のテナントの回転の速い地下のフードコートに行くことが多かったし。
バーゲンとか初売り以外ではあまり足を運ばない、少し大人っぽいブランドが多いビルだ。
エレベーターの前で屋上を襲うとしたらボタンが黒いテープを貼られ消されていた。
エレベーターに乗り込もうとしたら、中に警備員がいて飛び上がりそうになった。
「屋上はいけないよ。何階?」
「あの、えーっと、あ! 一慶さんのお見合い相手です」
咄嗟に出てきた言葉が、散々否定したお見合いってワード。
都合が良い自分に情けなくなるが、今じゃあお見合いは免罪符になる時代だし、今回だけ許して欲しい。
怖そうな警備員の顔が一瞬緩んだが、私の腕を見て再び怖い顔になった。
「ブレスレットしてないじゃないか」
「私の意思で外したんです」
すると警備員は深いため息を吐き、私の肩をつかむとやんわりとエレベーターから押し出す。
「いるんだよね。自分は恋人だの、奥さんだの、お見合い中だの。それに君、学校は?」
「お見合い中は、学校より優先できるんです」
「学業よりお見合いが優先ねえ」
母たちより年配だろう警備員は、きっとお見合いがそこまで普及していなかった世代に違いない。全く話にならないので仕方なくエレベーターから出て一慶さんに電話をしてみた。
でも仕事中でやはり出られない様子なので、メッセージを残し一人で向かうことにした。
ので、孔一くんの家に向かうと送ってビルを出たが、そこで気づく。
「宗亮さんに送ってもらうんだった!」
ものすごい勢いでファンが押しかけたし、先輩との久しぶりのデートだったから逃げてもらったけど、私の馬鹿。行き当たりばったりで無計画で無駄な行動が多すぎる。
相変わらず一河と水咲からは連絡がないので、お財布の中と相談してバスに乗り込んで住所を探そうと思った。
「出待ちってこっちじゃなくない?」
「吾妻団体はヒールじゃないから堂々とこっち来るって」
が、私とすれ違ってビルの中に入っていった三人組の女性に気づいて視線を追ってしまう。
色紙とタオル、名前入りの団扇。大人っぽい女性たちの指にはそれぞれ、婚約指輪や結婚指輪がはめられている。
ち ょ こ 。
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鷹槻れん

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#シークレットベビー
夏目萌*優しい彼~コミカライズ
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「最近、一慶のブログが匂わせ半端ないよね」
そしていきなりの一慶さんへの話題に、足が完全にとまる。
「今更匂わせる必要あるう? うちらファンには初恋の人がいるからお見合いしないって散々宣言してたのに」
「匂わせっていうより、私らファンに、初恋の君に再会できたってアピールじゃね?」
「ああ、じゃあまだ一慶の片思いってことかあ」