今回の登場人物︰鎌田詩織(主人公。耳が聞こえない)、白鳥凪(主人公の友達)、遠藤拓也(詩織と凪の友達)、その他(姉)
※主人公目線でお送りいたします
土曜日、ようやく補聴器が手に入った。今日は補聴器が手に入って初めての登校。
「補聴器、買ったんだな」
凪くんが話しかけてくれた。私は、
「そうだよ。これで、少しは音が聞こえるよ」
と頑張って話した。凪くんは優しい笑顔だった。その時、
「あ!詩織ちゃん!補聴器買ってもらったんだ!」
拓也くんが元気に話しかけてきた。拓也くんはキラキラした笑顔だった。
「そうみたいなんだよ。やっと詩織の声が聞こえる」
凪くんは拓也くんにそう言った。声が聞こえるっていいな。凪くん達と私は中学生からの同級生で、本当に仲がいい。そんな2人の声が聞けて、私は本当に嬉しかった。
(この補聴器、大切にしよう)
私はそう決意した。補聴器で2人の声が聞こえたのは、記憶では初めて。多分、覚えてないだけで聞いたことはあると思うけどね。
「ねぇ!放課後空いてる?3人でパーティーしない?詩織ちゃんが補聴器を買ってもらった記念で!」
拓也くんはそう言った。私は耳が聞こえる状態でパーティーをするのは初めて。放課後が待ち遠しくなった。パーティーは私の家でするらしい。
―放課後―
全ての授業が終わって、ようやく放課後。
「パーティー、楽しみだね」
私が言うと、
「うん!すっげー楽しみ!」
拓也くんが言った。2人も友達とパーティーをするのは初めてみたいだから、ますます楽しみ。1度解散してパーティーの準備をした。
―約1時間後―
『ピーンポーン』
インターフォンが鳴った。きっと凪くんたちが来たんだ。私は玄関へ走って向かった。ドアを開けると、前には拓也くんだけが立っていた。
「凪くんは?」
私が拓也くんに聞くと、
「後ろ!ちょっと遅くなったから全速力で走ってきたの!」
と言った。どうりで汗だくなわけだ。凪くんは呆れた顔をしながら小走りでこっちに来た。
「お待たせ。拓也、そんな走るなよ」
凪くんは不満そうな顔で拓也くんにそう言った。その時、
「いらっしゃい2人とも。さぁ入って」
と言いながらお姉ちゃんが話しかけてきた。
「すみません、お邪魔します」
凪くんたちは挨拶をして中に入った。2人とも、パーティーに必要なものが入っているであろうバッグを持って私の部屋に行った。少し緊張してきた。やっぱりこのメンバーでするのは初めてだからかな?飾り付けをして、早速パーティーの開始!
「補聴器おめでとー!」
と言う言葉と共にクラッカーの音が部屋中に鳴り響く。クラッカーの音は、パーティー開始の合図。私達は音楽にノッたりお菓子を食べたりジュースを飲んたりして楽しんだ。
―約2時間後―
もう20時になった。そろそろ帰る時間。楽しい時間はあっという間に過ぎた。
「今日は楽しかったよ。また遊ぼうね」
私は頑張って話した。すると凪くんが、
「もちろん。また遊ぼうな」
と言った。2人を見送って部屋に戻った。パーティーの片付けはある程度はしたけどまだ少し残ってる。正直、ずっとこのままにしたい。初めてのパーティー。思い出として残したい。でも片さないといけない。私は今の状態を写真で残して片付けを始めた。とっても楽しい一日だった。
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