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#マフィアパロ
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朝の光がカーテンの隙間から差し込む。
「……すち、起きる時間」
らんが小さく声をかける。
布団の中で、すちは丸まったまま動かない。ぴくり、と指先だけが動く。
「すちー、朝だよ」
もう一度。今度は少し近くで。
「……や」
小さな声。顔はまだ隠したまま。
その様子をドアにもたれて見ていたいるまが、ため息をついた。
「ほらな、こうなると思った」
「うるさいな、今やってるから」
らんは慣れた手つきで、布団の端を少しだけめくる。
「今日はね、パンあるよ」
ぴく。
反応。
「……チョコ?」
「うん、チョコ」
一瞬の沈黙のあと、布団の中からそっと顔が出る。
寝ぐせだらけの髪と、まだ半分閉じた目。
「……ほんと?」
「ほんと」
そのやり取りを見て、いるまが小さく笑う。
「現金なやつ」
「いいの、それで起きるなら」
すちはゆっくり起き上がると、らんの服の裾をぎゅっと掴んだ。
「……いっしょ」
「うん、一緒に行こ」
立ち上がるときも、手は離さない。
リビングに行くと、テーブルの上にパンが並んでいる。
すちは一直線にチョコパンに向かう……かと思いきや、途中で止まった。
「……」
視線はテレビ。ついていない黒い画面。
「どうした?」
いるまが聞く。
「……きのうの、つづき」
「あー、アニメか」
「みる」
すちは真剣な顔で言う。
「先にご飯」
らんがやさしく言うが、すちは首を振る。
「みる」
少し強い声。
空気がぴんと張る。
いるまが口を開こうとした瞬間、らんが軽く手で制した。
「じゃあね、10分だけ」
「……10ぷん?」
「うん、10分見たらご飯」
すちは少し考えて、こくんと頷いた。
「……やくそく」
「約束」
らんがリモコンを渡すと、すちは大事そうに受け取る。
テレビがついて、昨日の続きが流れ始める。
その横で、いるまが小声で言った。
「甘くね?」
「これくらいがちょうどいいの」
「わがままになるぞ」
らんは少しだけ笑う。
「違うよ。“安心する”の」
「……」
「すく笑っている。
「……まぁ、泣かれるよりはマシか」
ぼそっと言う。
10分後。
「すち、約束の時間だよ」
らんが声をかける。
すちは一瞬だけ固まる。でも、すぐにリモコンを見て、テレビを消した。
「……できた」
少し誇らしげな顔。
「えらいじゃん」
らんが頭を撫でると、すちは少しだけ目を細める。
「……えへ」
その様子を見て、いるまがそっとパンを差し出した。
「ほら、チョコ。冷めるぞ」
「……いる、ありがと」
小さな声。
いるまは一瞬だけ目を逸らす。
「……別に」
ぶっきらぼうだけど、少しだけ優しい声だった。
朝の光がカーテンの隙間から差し込む。
「……すち、起きる時間」
らんが小さく声をかける。
布団の中で、すちは丸まったまま動かない。ぴくり、と指先だけが動く。
「すちー、朝だよ」
もう一度。今度は少し近くで。
「……や」
小さな声。顔はまだ隠したまま。
その様子をドアにもたれて見ていたいるまが、ため息をついた。
「ほらな、こうなると思った」
「うるさいな、今やってるから」
らんは慣れた手つきで、布団の端を少しだけめくる。
「今日はね、パンあるよ」
ぴく。
反応。
「……チョコ?」
「うん、チョコ」
一瞬の沈黙のあと、布団の中からそっと顔が出る。
寝ぐせだらけの髪と、まだ半分閉じた目。
「……ほんと?」
「ほんと」
そのやり取りを見て、いるまが小さく笑う。
「現金なやつ」
「いいの、それで起きるなら」
すちはゆっくり起き上がると、らんの服の裾をぎゅっと掴んだ。
「……いっしょ」
「うん、一緒に行こ」
立ち上がるときも、手は離さない。
リビングに行くと、テーブルの上にパンが並んでいる。
すちは一直線にチョコパンに向かう……かと思いきや、途中で止まった。
「……」
視線はテレビ。ついていない黒い画面。
「どうした?」
いるまが聞く。
「……きのうの、つづき」
「あー、アニメか」
「みる」
すちは真剣な顔で言う。
「先にご飯」
らんがやさしく言うが、すちは首を振る。
「みる」
少し強い声。
空気がぴんと張る。
いるまが口を開こうとした瞬間、らんが軽く手で制した。
「じゃあね、10分だけ」
「……10ぷん?」
「うん、10分見たらご飯」
すちは少し考えて、こくんと頷いた。
「……やくそく」
「約束」
らんがリモコンを渡すと、すちは大事そうに受け取る。
テレビがついて、昨日の続きが流れ始める。
その横で、いるまが小声で言った。
「甘くね?」
「これくらいがちょうどいいの」
「わがままになるぞ」
らんは少しだけ笑う。
「違うよ。“安心する”の」
「……」
「すく笑っている。
「……まぁ、泣かれるよりはマシか」
ぼそっと言う。
10分後。
「すち、約束の時間だよ」
らんが声をかける。
すちは一瞬だけ固まる。でも、すぐにリモコンを見て、テレビを消した。
「……できた」
少し誇らしげな顔。
「えらいじゃん」
らんが頭を撫でると、すちは少しだけ目を細める。
「……えへ」
その様子を見て、いるまがそっとパンを差し出した。
「ほら、チョコ。冷めるぞ」
「……いるにぃ、ありがと」
小さな声。
いるまは一瞬だけ目を逸らす。
「……別に」
ぶっきらぼうだけど、少しだけ優しい声だった。