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タボちょん、捏造有り
ちょんまげはテーブルに肘をついてぼんやりと窓の外を眺めていた。
今の会社に就職して二年目。
とはいえ、まともな経歴とは言い難い。
一年前までちょんまげは完全なニートだった。 外にも出られず、昼夜も逆転して、何をしても意味がない気がしていた。
そんな時、久しぶりに再会したのが幼馴染のターボーだった。
昔から頭が良くて、行動力があって、何でもできる奴。気づけば会社を立ち上げて社長になっていた。
そんなターボーが、ニートだったちょんまげを見て言った。
「うちで働けばいいじゃん」
軽い口調だったけど、あの時の言葉は本当に救いだった。
あのまま放っておかれていたら、多分ちょんまげは本当に壊れていたと思う。
外に連れ出してくれたのも、仕事を教えてくれたのも、調子が悪いときに無理させず帰らせてくれたのも、全部ターボーだった。
だからこそ――
(好きになるに決まってるよ…)
ちょんまげは小さくため息をつく。
ターボーはモテる。 背は高いし、顔も整っているし、なにより社長だ。
会社の女性社員からも、取引先からも好かれている。
それに――
(男同士だしな…)
そんなの、ありえない。
だからこの気持ちはずっと隠してきた。
ーーー
その夢を見たのは、ある夜だった。
仕事で疲れて帰ってきて、風呂にも入らずそのままベッドに倒れ込んだ日。
夢の中で、ちょんまげは会社の会議室にいた。
夜の会社。電気は半分消えていて、静かだった。
パソコンを閉じて立ち上がろうとした時、後ろから声がした。
「まだ帰ってなかったのか?」
振り返ると仕事終わりの少し気の抜けた顔をしたターボーが立っていた。
「ターボー…」
「最近頑張ってるじゃん」
そう言って、いつものように笑う。
その笑顔だけで胸が苦しくなる。
「そ、そんなことないって」
誤魔化すように目を逸らすと、ターボーが一歩近づいた。
距離が、近い。
「…ちょんまげ」
低い声で名前を呼ばれる。
その瞬間、腕を引かれた。
「え?」
気づいた時には、ターボーの胸に抱き寄せられていた。
強く、ぎゅっと。
「タ、ターボー…?」
「俺さ」
耳元で囁かれる。
「ずっと好きだった」
思考が止まる。
「……え?」
顔を上げた瞬間、唇が塞がれた。
優しく触れるだけじゃなく、しっかりと重なる。
「ん…っ」
逃げようとしたけど、腰を引き寄せられて動けない。舌が触れてきて、頭が真っ白になる。
「ちょ、待っ…」
息が乱れる。
ターボーは少しだけ唇を離して、困ったように笑った。
「逃げんなよ」
そう言うと、またキスされた。
今度はもっと深く。
頭がくらくらする。
「…帰るぞ」
ターボーがそう言った瞬間、場面が変わった。
気づけば、ちょんまげの家。
玄関のドアが閉まる音。
そのまま壁に押し付けられる。
「ターボー、待って…」
「無理」
即答だった。
「ずっと我慢してた」
真剣な目。
その視線だけで体が熱くなる。
「ちょんまげ」
名前を呼ばれて、またキスされる。
首筋に唇が触れて、ぞくっとした。
「っ…」
「可愛い」
耳元で囁かれて、背中を撫でられる。
そのまま抱き上げられた。
「え、ちょ…!」
ベッドに押し倒される。
マットレスが沈む。
ターボーが上から覆いかぶさる形になった。
「ほんと、好き」
髪を撫でられる。優しい手。
なのに、目は完全に男の目だった。
ドキドキが止まらない。
「ターボー…」
「ちょんまげ」
顔が近づく。
またキスされる。
その瞬間。
ーーー
「……は?」
目が覚めた。
天井。
自分の部屋。
朝だった。
「……夢……?」
布団の中で固まる。
数秒後。
「うわああああああ!!」
枕に顔を埋めた。
「なっ…なにあの夢!!」
顔が熱い。
心臓もまだバクバクしている。
(キスとか…押し倒されるとか…!)
思い出してまた枕に顔を押し付けた。
(僕どんだけ欲求不満なの…!)
しかも相手はターボー。
ありえない。
絶対ありえない。
……でも。
夢の中のターボーの声が、妙にリアルだった。
『ずっと好きだった』
胸がぎゅっと痛くなる。
「……現実なわけないか」
小さく呟いた。
「はぁ…」
少しだけ、落ち込んだ。