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「アウレーリア! あんた、なにしたの!」
お母さんはすでにお怒りモードだった。玄関前で腕を組んで負のオーラが立ち上がってる。
……怒るのちょっと早すぎない? カルシウム不足だよ。今度牛乳でもを勧めてあげよう。
「ただいまー」
「お帰り……。もう一度聞くわよ、なにしたの? 正直に話せば、日付が変わるまでのお説教で許してあげる」
……それって許されてるのかな? 日付が変わるまでって、まだ4時間近くあるんだけど……。 ユリ姉さん、出番だよ! 本部のお偉いさんの力を見せてやって!
「はは、まあいいか。……初めまして、アウレーリアさんのお母さま。私は民兵組織レクルシア所属のユリカと申します」
おおー、凄い! ユリ姉さんの社会人モードだよ!
行け! お母さんなんかやっつけちゃえ!
おお、名刺渡してる! 凄く社会人っぽい! 行けるよ!
「ご丁寧にありがとうございます。うちの娘が迷惑を掛けたみたいで、申し訳ありません」
「そのようなことはありません。こちらこそ、無理を言って引き留めてしまい、娘さんを帰すのが遅れてしまい申し訳ありませんでした。遅くなりましたので、安全を考慮してこのような形でお送りさせて頂きました。仰々しくなってしまったこと、お詫びします」
……凄いよ、ユリ姉さん! お母さんの怒りが引いてる!
性悪女なんて思ってごめんなさい! 尊敬してます!
「今日のこと、そして今後のことをお話させて頂きたいのですが、この後、少しだけお時間を頂けないでしょうか」
「……はい、構いません。ここではなんですので、中へどうぞ」
「ありがとうございます、失礼します」
……よし、お母さんはユリ姉さんに任せて、さっちゃんと部屋に行こう。このあとはさっちゃんの家に行くって言ってたし、部屋で終わるのを待ってよう。
「アウレーリア、あんた、どこ行く気? 部屋に戻るのは許さないわよ。こっちに来なさい」
「わかったよ……」
目が据わってた。怒りは消えてないみたい。
これは逆らっちゃダメな奴だ。大人しくついて行こう。
「……と言う話がありまして、レクルシアとしては将来、アウレーリアさんとザナーシャさんに、ぜひとも入団して頂きたいと考えております」
「……そうですか」
「勿論、お子様の将来を強制する気はありません。お子様はまだ小学生。今後、沢山の人と出会い、様々な経験をするでしょう。その中で将来の希望が変わっても何ら不思議ではありません。その場合もこちらは否定しません。そちらの道に進めるように全力でサポートさせて頂きます」
……え、いいの? 支援金とかを貰ったら強制就職じゃないの?
「アウレーリア、あんた、本当に民兵になるの?」
「うん。わたしはさっちゃんと一緒に働きたいから、民兵になる」
「そう……。さっちゃんは良いの? うちの子に巻き込まれる形みたいだけど」
巻き込む? 違うよね? わたしの夢とさっちゃんのしたいことが同じなだけだよ。
……ずっと一緒にいたい。それだけだよ。ね、さっちゃん。
「私の夢はアリアちゃんと一緒にいることです。それ以外はありません」
うん、ありがとうさっちゃん。わたしも同じ気持ちだよ!
「……はぁ、何でこんなにいい子がうちの娘なんかに引っ掛かっちゃたのかしら……」
「アリアちゃんは私の全てです。なんか、ではありません」
「そうね、ごめんなさいね……。アウレーリアのこと、これからもよろしくね」
「はい」
それからユリ姉さんとお母さんが何か話してたけど、わたしにはよく分からなかった。お母さんが納得してくれれば何でもいいよ。わたしはさっちゃんと一緒にいたいだけなんだから。
「……と言う訳ですので、また後日、ファルメリア支部長のブリギッテと共に伺わせて頂きます。では、今日はこれで失礼いたします」
「娘のこと、よろしくお願いします」
「組織の総力を持って、全力でお応え致します」
やっと終わったみたいだね。
堅苦しい言い方ばかりで疲れたよ。
「さっちゃん、わたしもさっちゃんの家に行こうか? おじさんとおばさん、きっと怒ってるよね?」
「大丈夫だよアリアちゃん、ユリ姉さんが来てくれるから。それに今日は疲れたでしょ、ゆっくり休んだ方がいいよ。クレアおばさんとも、もう少し話をした方がいいと思うし」
「……そうだった。お母さんの目が据わってたし、少し怒られておいた方がいいかも。日付が変わるまでのお説教はやだし」
「うん、それじゃ行くね。また明日」
「うん、また明日!」
さっちゃんが魔動車に乗ったのを見送った。
魔動車の窓越しに見ると、どこかの令嬢みたいで凄く可愛く見える。
……わたしもこんな風に見えてたのかな? 明日のご近所さんの反応がホントに怖い。
「今日はお疲れ様、アリアちゃん。私はこれからサっちゃんを送って来るから、アリアちゃんはお母さんとよくお話をしとくんだよ。あとはこれ、私の名刺。裏にファルメリアにある道場の住所を書いておいたから都合のいい時に来てね。私やお姉ちゃんはいないかも知れないけど、道場主には話を通しとくから」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃまたね、アリアちゃん」
「はい、また」
普通の住宅地で立派な魔動車が走る姿には違和感があるね、注目されるはずだよ……。
……そうだ、名刺。道場ってどこにあるのかな? 遠くないといいな……。
あれ? この住所って近所、だよね……。あの辺に道場なんてあったかな?
「アウレーリア、話があるからこっちに来なさい」
お母さんの存在を忘れてた。
怒りモードのお母さんを忘れるなんて失敗だね……。