テラーノベル
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降り注ぐ光の雨の中、貴方は首を傾げて純粋無垢な子供の笑みを浮かべ、ジットリとした風が私達の髪の毛先をふわりと中に浮かせ、貴方はゆっくりと手を差し伸べた。
「ようやくこの地獄から抜け出せる、貴方は私の天使なのだから、きっとこのまま私を神様のもとへ連れて行ってくれるんだよね。
だって私、ずっとイイコにしてたもの。
だから、次、神様に会った時は私がこの手で神様を地獄に堕とすの。
イイコな私を地獄に落とした最も罪深い罰を与えるの。」
私の手を引いて歩き続く貴方は、話す私の方を見向きもせずに前を向いていた。
ただただ何も話さず、 後ろを振り向かない貴方が、どんな表情をしているのかよく分からなかった。
地面を見つめると、貴方の影の隣に、人間では無い影が浮かんでいた。
貴方は私をずっと信じてくれてる。私はそう信じてたの。
だから、なぜ貴方が私をそんな目で見るのかがよく分からなかった。
空を見上げると、私たちを大きな木々が取り囲んだ。
ヒラヒラと自由に空を飛んでいた蝶が、虫籠の中に囚われ、羽を激しく動かし、籠の網目から見えるあの広く広がる空に向かって飛び出そうと藻掻いている。
貴方は羽を掴むと、貴方の蝶を掴む指先には、次第に蝶の羽の美しい色の鱗粉が色濃くつき、掴まれた蝶の羽は、透明な薄い膜が露出し、貴方は少し驚いた顔をして言った。
「蝶々、溶けちゃった」
一度無くなってしまえば、蝶は以前の輝きを取り戻すことはできない。貴方はその事を知っていないのか、まだ羽を掴もうとする。
やめて、やめて!
逃げ出そうと蝶は貴方の手のひらから逃げ出そうとしたが、また虫籠に閉じ込められ、蝶はフラフラと籠の中で飛んだ。
背中が熱くて痛い…痛い…
貴方は私の救世主ではなかったの?貴方に何かをかけられ、私はもう飛べない。地に落ち、這い蹲る蝶に向かって、貴方は優しく、不気味な笑みで言った。
「貴方はあたしにとっての天使だった、だけど…まさかこんなにも哀れな天使だとは考えてもいなかったの。だからね?あたしは貴女を救済ってあげるのよ。」
貴方が何を言っているかが分からず、私は自分目掛けてやって来る1匹の蟻を見つめることしか出来なかった。
「可哀想な天使…自分で自分のその美しい羽さえ毟らなければ、まだ空を自由に舞うことができたのにね」
雨が激しく降り始め、貴方の髪を濡らし、自身の羽が本格的に溶け始めるのが嫌でもわかる。
なんで?私はずっとイイコにしてきたのに──
涙なのか雨なのか…よく分からなかった。
「また会おうね。この醜い世界で、地に落ちた天使さん」
貴方のその声は、今まで聞いた事のないくらいに優しく、暖かかった。
#謎
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