「大島佐喜子。心理学部の高嶺の花だ」
高嶺の花、その言葉に俺は懐かしさを感じた。
大島佐喜子、まさに高嶺の花と言われるに相応しい美しい人だ。
周りからチヤホヤされ、人生イージーモードで恨めしかった。
だからこそ俺は佐喜子を落とした。
「ねぇ、結局なんのようなの?」目の前に佐喜子がいる。
今度は文字通り堕とすのだ。
地獄に。
*
「今週俺は外せない用事がある。
おまえが殺せ。」
「は?俺が殺人なんてできるわけないだろ」
「おまえから殺して欲しいと言ってきたんだろう?」
「っ‥それは‥」
「いいか、まず大島佐喜子を学校近くの公衆トイレに誘い込む。そしてこのナイフで心臓を刺せ。」
「俺には‥刺すなんて‥できないっ」
「うるせーなおまえから頼んできたんだろ!?情報収集と殺す状況は作ってやったんだから1人くらいおまえが殺せ!」
「くっ……わかったよ‥」
*
現在
「ふー、ふー、」
「ねー息荒いよキモいんですけど。
今更ヨリを戻そうなんて思ってないよねぇ?」
「‥いや‥」
「言っとくけどいまあんたと付き合ったこと黒歴史になってるんだからね?」
怒りが込み上げてきた
「うあああああああああああああ」
「え?なに怖い」
俺はおおきく振りかぶって
大島佐喜子の胸を刺した。
「きゃあああああああ」
刺した。
いきなり冷静になってきた。
刺した。刺してしまった。
慌てて倒れた。
持ってきたブルーシートで
死体を覆う。
包んで外の車の後部座席に乗せる。
血はホースで洗った。
ハンドルを動かして出発しようとしたら後部座席から声が聞こえた。
「ッテ‥ヤル‥」
ビクッとして後ろを見ると
ブルーシートが動いていた。
「ノロッテヤル」か細い声で言い放った。
急いで脈を測るとまだあった。
右、右胸を指していた。
盛大に心臓から外れている。
もう一度、刺さなければいけないのか、
また息が荒くなってきた。
「なんで‥」
大島佐喜子は悲しそうな
声で言った。
「なんで私のこと捨てちゃったのぉおしゃれもメイクも‥体型維持するために食事制限までしたのに‥」
涙が溢れてきた。
「別に高嶺の花なんかにならなくてもよかったのに‥」
「っ!佐喜子っ」
「痛い、痛いヨォ。」
彼女はほったらかしにすれば自然に出血多量で死ぬだろう。
しかし、痛みは消せない。
せめて苦しまないように、俺は
佐喜子の心臓を刺した。
*
紅上に連絡すると「よくやった。」
と言われた。
死体は紅上直属の執事に引き取ってもらった。
その夜は眠れなかった。佐喜子のことが頭から離れなかった。
「呪われたのかな‥」
と、俺は思った。
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