テラーノベル
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しばらく泣き続けた阿部は、ようやく呼吸を整えた。
目黒の胸に寄りかかったまま、小さく笑う。
「……ごめんね。」
目黒は優しく前髪を撫でる。
「何が?」
阿部は少しだけ視線を逸らした。
「俺さ。」
「別れたって嘘ついた。」
「前の家にも戻った。」
「めめの幸せのためだって、自分に言い聞かせて。」
「でも……。」
「今思えば最低だったよね。」
目黒は何も言わず、続きを待つ。
阿部は苦笑しながら続けた。
「めめ。」
「何回も言ってくれたのに。」
『一緒に生きていく。』
『何があっても隣にいる。』
『一人で抱え込まない。』
その言葉を何度も聞いてきた。
「ちゃんと教えてくれてたのに。」
「俺、全然分かってなかった。」
「また、勝手に一人で答えを決めちゃった。」
目黒は静かに息を吐いた。
「うん。」
「悲しかった。」
その一言に、阿部は肩を震わせる。
「事故で記憶をなくしたのは仕方ない。」
「でも。」
「目が覚めたら。」
「大好きな人が、自分が悪いから別れたって言う。」
「家からもいなくなってる。」
「俺。」
「どれだけ不安だったと思う?」
阿部は何も言えなかった。
「ごめん……。」
そう謝った瞬間だった。
「っ!」
首筋に鋭い痛みが走る。
「いたっ!」
目黒が阿部の首筋へ強く噛みついていた。
「め、めめ!?」
ようやく口を離した目黒は、少しだけ意地悪そうに笑う。
「お仕置き。」
阿部は首を押さえながら涙目になる。
「痛いよ……。」
「まだ終わってない。」
目黒は真顔で言った。
「俺の気が済むまで。」
「一歩も歩いちゃダメ。」
「……え?」
「仕事も。」
「お風呂も。」
「トイレも。」
「全部。」
目黒は当然のように言い切る。
「俺が運ぶ。」
「えぇ!?」
「そんなの無理!」
「無理じゃない。」
「抱っこすればいいだけ。」
「いやいやいや!」
阿部は真っ赤になって首を振る。
「仕事中どうするの!?」
「スタッフさんに見られる!」
「見られてもいい。」
「そういう問題じゃない!」
必死に抗議する阿部を見て、目黒はくすっと笑った。
「じゃあ。」
「早く許してほしい?」
阿部は何度も頷く。
「うん!」
「お願い!」
「じゃあ、お詫びして。」
「……お詫び?」
阿部は首を傾げる。
「何すればいいの?」
目黒は少し考えるような仕草をしてから、優しく笑った。
「あべちゃん。」
「サプライズ、得意でしょ?」
「え?」
「俺が、世界で一番嬉しくなるようなお詫びを。」
「あべちゃんが自分で考えて。」
「それまでは。」
目黒はもう一度阿部を軽々と抱き上げる。
「歩行禁止。」
「ちょっ、めめ!」
「本当に運ぶの!?」
「もちろん。」
「罰だから。」
そう言って笑う目黒の表情は、記憶を失う前とまったく同じだった。
阿部は困ったように笑いながら、その胸にそっと額を預ける。
「……分かった。」
目黒は満足そうに頷き、二人の穏やかな笑い声が久しぶりに家の中へ響いた。
___________
翌日。
番組収録のため、メンバー全員がスタジオへ集まっていた。
「おはようございまーす!」
佐久間が元気よく入っていく。
その後ろから現れたのは――
「おはようございます。」
阿部を横抱きにした目黒だった。
「……。」
「……。」
誰一人、驚かない。
「おはよー。」
深澤はコーヒーを飲みながら手を振る。
「お、今日も抱っこ?」
渡辺も当たり前のように頷く。
「床に下ろす気ないじゃん。」
ラウールは苦笑する。
「もう見慣れちゃった。」
康二も笑う。
「最初はびっくりしたけどな。」
阿部は目黒の腕の中で真っ赤になっていた。
宮舘が穏やかに笑う。
「昨日の時点で覚悟はしてた。」
岩本も腕を組みながら頷いた。
「なんとなく、こうなると思ってた。」
目黒は阿部をソファへ座らせる……かと思いきや、そのまま抱っこしたままだった。
目黒はメンバー全員へ頭を下げた。
「ありがとうございました。」
「みんなのおかげで、全部思い出しました。」
その一言に、部屋の空気が柔らかくなる。
佐久間が笑う。
「よかったな。」
深澤も安心したように息をついた。
「佐久間の作戦、大成功。」
「本当にありがとう。」
目黒はもう一度頭を下げた。
「でも。」
そう言って腕の中の阿部を見る。
阿部は嫌な予感しかしなかった。
「め、めめ……?」
目黒は真面目な顔で話し始める。
「あべちゃん。」
「俺に別れたって嘘をついて。」
「勝手に前の家へ出て行った。」
「しかも。」
「俺の幸せのためとか、一人で全部決めて。」
メンバー全員が阿部を見る。
阿部は小さく縮こまった。
「だから。」
目黒は堂々と宣言する。
「俺の気が済むまで。」
「歩行禁止。」
「仕事でも。」
「移動でも。」
「全部俺が運びます。」
「異議なし。」
岩本が即答した。
「賛成。」
渡辺も手を挙げる。
「それくらいしないと反省しない。」
深澤も真顔で頷く。
「あべちゃん、今回は完全に有罪。」
「ちょっと!」
阿部は慌てる。
「みんな俺の味方じゃないの!?」
「今回は無理。」
佐久間が笑った。
「俺でも怒る。」
「俺も。」
宮舘が珍しくきっぱりと言う。
「一人で抱え込みすぎた罰。」
ラウールも苦笑した。
「めめがかわいそうだった。」
康二は阿部の肩をぽんと叩く。
「今回は反省や。」
阿部は返す言葉がなく、しゅんと肩を落とした。
すると目黒がもう一つ付け加える。
「あと。」
「首のお仕置き。」
「絆創膏も。」
「メイクで隠すのも禁止。」
阿部は反射的に首を押さえた。
「えっ!?」
「今日テレビだよ!?」
目黒は首を横に振る。
「だめ。」
「ちゃんと反省して。」
阿部は恥ずかしさで両手で顔を覆った。
「もう収録行けない……。」
そんな阿部を見て、メンバー全員が笑う。
その時、マネージャーが控室へ入ってきた。
「そろそろスタジオへお願いしまーす……って。」
状況を見渡し、一瞬だけ固まる。
「阿部さん?」
「歩行禁止です。」
目黒が真顔で説明する。
「お仕置きなので。」
事情を聞き終えたマネージャーは、少し考えてから笑った。
「なるほど。」
「目黒さん。」
「そのままで大丈夫です。」
「えっ!?」
阿部が顔を上げる。
「マネージャーさんまで!?」
「今回は阿部さんが悪いですね。」
周りにいたスタッフまで笑いながら頷く。
「目黒さん。」
「移動もそのままで大丈夫です。」
「ありがとうございます。」
目黒は礼儀正しく頭を下げた。
「ありがとうございますじゃないよ!」
阿部は真っ赤になって抗議するが、誰一人助けてくれない。
収録スタジオへの移動。
リハーサル。
休憩。
衣装替え。
楽屋への往復。
その日一日、目黒は約束どおり阿部を一度も歩かせなかった。
「降ろして!」
「だめ。」
「すぐそこ!」
「だめ。」
「五歩だけ!」
「だめ。」
そのやり取りが一日中続き、スタッフたちは微笑ましそうに見守り、メンバーは「反省するまで続くんだろうな」と笑い合っていた。
阿部は恥ずかしさで何度も顔を隠しながらも、目黒の腕の中が嫌ではなく、どこか安心している自分に気付き、小さくため息をついて目黒の肩へそっと頭を預けた。
kaede🍁
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みら

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#AI
みら

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コメント
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いやあ、もうこの回は最高だったわ…! お仕置きの「歩行禁止」が甘すぎるし、しかもメンバー全員が味方じゃないって言うの笑うw でもそれだけ阿部ちゃんがやらかしたのが伝わってくるし、めめがちゃんと怒れたってことが胸熱だよ。最後にスタッフまで巻き込んで一日中抱っこされてる阿部ちゃんが恥ずかしそうだけど安心してる顔、想像しただけでニヤけるわ。この距離感、戻ってきて本当によかったな🔥